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Introducing ルイ・ヴィトンがレジェップ・レジェピと手を組んでLVRR-01 クロノグラフ ア ソヌリを製作(編集部撮り下ろし)

アクリヴィアによる世界初のチャイム付きクロノグラフが、ルイ・ヴィトンとの5つの限定コラボレーションの幕開けを飾る。


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Photos by Brandon Menancio

今日、我々はカリフォルニア州モンテシトで開催された、絶対にコラボするとは予想していなかった2ブランドによるコラボレーションモデルのお披露目会に来ている。でもそうすべきだったのだろうか? ジャン・アルノー(Jean Arnault)氏率いるルイ・ヴィトンウォッチと、レジェップ・レジェピ(Rexhep Rexhepi)氏が手掛けるアクリヴィアが手を組み、両メゾンの感性(スタイルとウォッチメイキングの理念の両面において)を真に魅力的な形で融合させた、極めて複雑なタイムピースを作り上げた。LVRR-01 クロノグラフ ア ソヌリにご注目いただきたい。これはある意味世界初の時計であり、LVの時計製造部門を刷新するというアルノー氏のビジョンに沿ったものでもある。そして、別の名前を使って文字盤を共有するのなら、地球上最もよく知られた若手独立系時計師をおいてほかにいないだろう。

LVRR-01 Chronographe à Sonnerie

ルイ・ヴィトンのロゴがほかのブランドと共有されたのは、この時計が初めてである。

 レジェップ氏といえば、クロノメーター コンテンポランやアクリヴィアを通じて大胆なデザインを手掛けることで有名だ。ジュネーブの旧市街にある彼の工房には何度か足を運んだことがあるが、その比較的小さなスペースで彼が成し遂げていることに、いつも驚かされる。時計学の歴史に目をそらすことなく、純粋に現代のウォッチメイキングを手がける。それはディテールであり、正確さの問題である。だからこそ彼は有名なケースメーカーであるジャン-ピエール・ハグマン(Jean-Pierre Hagmann)氏のような人物を迎え入れ、自らの作品のためにケースを作ってもらっているのである(詳細は近日中に)。

 その一方で、ジャン・アルノー氏と彼が最近率いたルイ・ヴィトンウォッチ、それにラ・ファブリク・デュ・タン(同ブランドの時計が製造される工房)がある。ほんの数カ月前、アルノー氏がウォッチ・ディレクターとして見せた最初の重要な取り組みは、ブレスレット一体型の改良型タンブールの発売だった。この時計は現在、LVコレクションの目玉となっている。今年の初め、Talking Watchesエピソードのために彼と一緒に時間を過ごす機会があったのだが、彼はそのとき、未来に何が待ち受けているかに興奮していたといっても過言ではなかった。今になって、彼がタンブールをすぐに発表できる状態にしていたこと、そしてこのまったく新しい超熱狂的なレジェップ氏とのコラボレーションも用意していたのだと気づいたのだ。

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このモデルはモダンとトラディショナル、ふたつの側面を備えている。

The LVRR-01 Chronographe à Sonnerie

レジェップ氏は可能な限り薄い、11.9mmのケースを作ることにこだわった。

The LVRR-01 Chronographe à Sonnerie

毛深いベン(・クライマー)の手首には、半透明の文字盤越しに反転したムーブメントが見える。

 LVRR-01 クロノグラフ ア ソヌリとは何のことか? ルイ・ヴィトン、レジェップ・レジェピ、ナンバーワン、クロノグラフ、ソヌリなど、その名が示すとおりのものが多い。だがもちろん、(文字どおり)それよりもはるかに複雑であり、ディテールにこそこの作品の真骨頂がある(これも文字どおり)。

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 メカニズムを深く掘り下げる前に、デザイン的な手がかりから始めよう。これは手首につけたときに見えるダイヤルと、外したときにしか見えないダイヤルの、ふたつの文字盤を備えた時計だ。表にはサファイア製の文字盤があり、内部のムーブメントを生き生きと見せている。こちら側にはAKRIVIAとだけ書かれているが、それほど単純ではない。よく見ると、アクリヴィアの“v”がLVの象徴的なエンブレムの形をしていることに気づくだろう。細かいことに思えるかもしれないが、これは非常に重要なことだ。有名なLVロゴが、ほかのブランドのロゴと組み合わされたのはこれが初めてなのだ。時計を裏返すと、ルイ・ヴィトンの歴史を物語る伝統的な手法でつくられたホワイトのグラン・フー エナメルダイヤルが目に飛び込んでくる一方、表側はアクリヴィアの現代性を想起させてくれる。

 しかしこの時計の正体は、レジェップ・レジェピ氏によってイチから開発されたまったく新しいトゥールビヨンムーブメントを搭載し、それをハグマン氏が製作・再設計したルイ・ヴィトン タンブールケースに収めた、チャイミング・コンプリケーションを備えたダブルフェイスクロノグラフなのだ。表面の半透明の文字盤には、プリカジュール(省胎七宝)と呼ばれるステンドグラスに似た技法を用い、半透明の焼成エナメルで満たされた6つのゴールドキューブを配置。これはジャンピングアワー表示を持つルイ・ヴィトン スピンタイムへのさりげないオマージュでもある。次に5分ごとに1回転するトゥールビヨンだ。これはクロノグラフ機能が作動すると、1分の経過時間ごとにソヌリのチャイム音が鳴る。LVとアクリヴィアは、クロノグラフの経過時間を知らせるソヌリ機構が腕時計に有効化されたのはこれが初めてであると考えており、今回のリリースをさらに興味深いものにしている。

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デザインも構造もまったく新しい時計だが、レジェップ・レジェピ氏初の時計であるAK-01をさりげなくほうふつとさせる。

 もちろん、これは昨年発売したオメガのクロノチャイムを思わせる。同じような価格帯の時計であり、技術的にも同じく経過時間を知らせるものだが、その方法はLV×アクリヴィアとは異なる。オメガではクロノグラフ機能を作動させて停止させ、チャイムプッシャーを押すと、合計でどれだけの時間が経過したかを音で知らせてくれる(さらに経過時間をダイヤル上で確認もできる)。LVRR-01では、着用時にクロノグラフダイヤルが見えなくなる。クロノグラフ機能を作動させると、ソヌリ機構が経過1分ごとに音を鳴らす。これは時計製造の観点からは非常に多くのエネルギーを必要とする快挙であり、実にユニークな試みである。

 この時計のために両ブランドが手を組んだのには理由がある。それは各ブランドが歩んできたウォッチメイキングの歴史にある。アクリヴィアの最初の時計、AK-01はクロノグラフとトゥールビヨンの両方を搭載していた。そしてルイ・ヴィトン初のコンプリケーションウォッチであるタンブール LV277はクロノグラフであり、初の“オート・オルロジュリー”の複雑機構はトゥールビヨンであった。彼らは協力して、このバックストーリーを1本の時計に与え、時計史上初の試みとして実現したのだ。

The LVRR-01 Chronographe à Sonnerie

かなりつけやすいと伝えただろうか?

 この作品のなかで新しい特注のムーブメントを生み出すには、スケルトンダイヤルが最大限の効果を発揮させるよう、いくつかの問題解決が必要だった。LVRR-01は反転式で、クロノグラフとチャイム機構が表面に表示され、ダイヤルを見るとムーブメントの構造が見えるようになっている。ムーブメントの各構成要素はアングラージュやブラックポリッシュなどの仕上げが特徴だ。文字盤には6つゴールドキューブが配され、そのなかに半透明の焼成エナメルが充填されている。これはLVスピンタイムのジャンピングアワー表示を意識したものである。

 もう1度ケースの裏側に目を移そう。すべてのクロノグラフ機能(スタート、ストップ、リセット)は、2時位置のプッシャーによって制御される。1分経過するごとに前述したチャイムが鳴る。このチャイムは、ブラックポリッシュ仕上げのスティール製ハンマーが、焼き固められた強化SS製のゴングを叩くことで鳴らされる。

The LVRR-01 Chronographe à Sonnerie

インデックスは、LVの時計製造が誇るもうひとつのモダンなアイコンへの敬意を表している。

 つまり、その複雑さは誰が見ても驚くべきものであるとわかっているが、それはどのように行われたのだろうか? その答えはツインバレルで、片方が計時とクロノグラフを、もう片方がチャイムを動かすというもの。まあそんな感じだ。レジェップ氏は、ふたつ目の香箱も輪列と連動するようにした。

 この時計のプレスリリースによると、“クロノグラフが作動し、ハンマーによって中央の可動部が解放されると、ツインバレルからの回転は妨げられなくなります。したがってクロノグラフとストライキング機構(ソヌリ)が動作しているときには、ベースギアにエネルギーが供給され、ムーブメントを邪魔することなく、複雑機構が適切に機能するのに十分なエネルギーが確保されるのです”とある。

 両ブランドはこの時計の機能と精度についてこう説明している。“ソヌリとツインバレルは、石で飾られたパレットを特徴とする2次脱進機と連動しています。この脱進機はふたつ目の香箱のエネルギーを周期的に放出し、ソヌリが正確かつ定期的にハンマーを受けることを保証します”。

The LVRR-01 Chronographe à Sonnerie
The LVRR-01 Chronographe à Sonnerie

 レジェップ氏とルイ・ヴィトンがこのような形で交わったことは驚き以外の何ものでもない。真の独立系イノベーターと、人類が知る最大級のラグジュアリーメゾンがタッグを組んだのだから。この出会いは、まさに限られたタイムピース(わずか10本しか製造されない)を生み出したが、それはまた、時計そのもの以上のものを表現している。

 このリリースの収益はすべてルイ・ヴィトン ウォッチ プライズに寄付され、レジェップ氏がこのリリースから得る資金が、彼の将来のクリエイションの実現に役立つことは想像に難くない。ここでお気づきだろうが、これだけ話をしながら我々の好きなふたつのカテゴリー、価格とサイズについてお伝えしていなかった。

The LVRR-01 Chronographe à Sonnerie

 ハグマン氏がタンブールケースを改良した結果、ケースの直径は39.5mm、厚さは12mm弱となった。これまで既存のタンブールを見たことがある人にとっては驚異的な数字である。このムーブメントで何ができるのか、しかもそれが40mm以下の腕時計に搭載されていると考えたらさらにクールだ。

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 たった10本しか作られないため、相当な値段がつくと考えざるを得ない。まあ、このコラボレーションコンプリウォッチは1本約45万スイスフラン(日本円で約7390万円)で販売されるのだから、あなたの想像は正しい。また、運よく手に入れることができた人には、エナメルダイヤルのクロノグラフ目盛りにインスパイアされたモチーフが手作業で描かれた、ルイ・ヴィトン特製トランクボックスも提供される。そしてトランクのなかには、レジェップ・レジェピ氏、ジャン-ピエール・ハグマン氏、エナメル職人のニコラ・ダブエル(Nicolas Doublel.)氏のサインも入っている。

The LVRR-01 Chronographe à Sonnerie

 過去10年以上にわたってリリースされてきた時計という文脈から見ると、マックス・ブッサー(Max Büsser)氏のハリー・ウィンストン オーパスシリーズを思い出さずにはいられない。似ているのはデザインよりもインパクトのほうだ。オーパスシリーズは、小規模な独立時計師に高級時計という名の大きなプラットフォームを与えた。ここではLVRR-01がそれを実現しているが、LV ウォッチ プライズとのタイアップにより、その収益がさらに多くの若い時計職人を支援することになる。

 今のところ、この時計が私の価格帯からは、まさにケタ違いとしか言いようのない差で外れていることを考えると、私ができる唯一のことは、時計を手に入れられないことを恨めしく思わずただ評価するしかないと言うことだ。このような時計には、ある種の勇敢さがある。サファイアのフロントやエナメルのケースバックのようなデザインセンスを組み合わせ、非常に複雑なムーブメントを新開発し、そのすべてをウォッチメイキングのために行う。そしてレジェップ氏とアルノー氏は自分たちがここで作り上げたものに大満足しているようだ。しかし、このリリースはレジェップ氏にとっての新章でもあり、これがアクリヴィアの名を冠した最後の時計となる。これはちょうど昨日、間もなくリリースされる予定の新しいポッドキャスト(続報をお見逃しなく)のレコーディング中に、レジェップ氏自らが語ってくれたことである。これはビッグニュースだ。

 しかし、ルイ・ヴィトンと今後のコラボレーションに関しては、これは始まりに過ぎず、次のコラボレーション(LVがほかの時計メーカーと進めている、5つのコラボレーションの第1弾なのだ)は来年発表される予定である。

 さあ、どんな予測を立てよう?

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ルイ・ヴィトンは、LVMHグループの一員です。LVMH Luxury VenturesはHODINKEEの少数株主ですが、編集上の完全な独立性を維持しています。