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Buying, Selling, & Collecting パネライの現行手巻き式モデルを一挙公開!

自動巻き時計全盛期の今でもなお、パネライは20世紀のルーツを忘れていない。その手巻き式モデルをコレクションしたいって? それなら、この記事を読もう。

パネライを部屋のどこに置いても見つけられるのは、その大きさのおかげだ。XXLケースとそれに対応するリューズガードは、ブランドの名刺代わりになっているし、いわゆるデカ厚時計へのトレンドを生み出すきっかけにもなったわけだが、ブランド黎明期からパネライを特徴づけている別の要素がある。それは、昔ながらの手巻き時計だ。

 パネライの北米社長であるフィリップ・ボネイ氏は、90年代後半にパネライが軌道に乗り始めた頃から在籍しているが、彼が販売しようとしたスポーツモデルのほとんどが手巻き式であったため、小売店が困惑したことを覚えているそうだ。彼らは、自動巻きムーブメントを選り好みするよう他ブランドからしつけられており、パネライにもそのようなムーブメントはあったものの、あくまで独自路線を追求していた。

 20世紀半ばにコルトベルト社製ムーブメントを搭載した、ロレックス製のヴィンテージウォッチから、アンジェラス社製8日巻きキャリバーを搭載したモデル、そしてのちにユニタス社製ムーブメントを搭載したモデルまで、パネライのリューズで巻き上げるムーブメントに対する偏愛は、ブランドの特徴として我々の脳裡に焼き付けられた。

 本記事では、パネライの自社製ムーブメントが採用されたコレクションから、現行の手巻きモデル14本を検証したい。2018年以降、パネライはETAムーブメントを使用する必要がなくなった。パネライの時計は、完成品をロレックスへ外注するところから、社外調達したムーブメントを組み込むブランドへと成長し、今や多様な自社キャリバー群を取り揃え、ムーブメント製造のニーズを満たすことができるようになった。ロレックスへの生産委託からスタートしたブランドにとって、自社一貫生産は大きな飛躍である。

 パネライには、ラジオミールとルミノールという2大シリーズがあることは、多くの読者がご存知の通りだろう。これらの違いは、ルミノールにはリューズガードがあり、ラジオミールにはそれがないことで、ひと目で見分けることができる。これらのシリーズには、それぞれに手巻きモデルがある。ここでは、以下のムーブメントを搭載したモデルを紹介する。P.3000、P.5000、P.6000、または複雑機構を搭載するP.2000系ムーブメントだ。


ラジオミール
バトン型マーカーを採用:ラジオミール S.L.C. 3デイズ PAM00425

 ラジオミール S.L.C. 3デイズ PAM00425は、パネライによると初期のモデルであるRef.2533をトリビュートしており、こちらに紹介するようなバトン型マーカーを備えたダイヤルを採用している。パネライは現代においても、プラチナケースのPAM00373、PAM00449、セラミックケースのPAM00577など、数多くの場面でバトン型マーカーを用いている。そしてもちろん、通常版のラジオミール S.L.C 3デイズ、PAM00425もそれに含まれる。カリフォルニアダイヤルと並んで、パネライといえばおそらく皆さんの頭に浮かぶであろう、アラビア数字の入った従来のサンドイッチダイヤルに代わるクラシックなモデルだ。余談だが、PAM00425は今年3月に製造中止を発表したばかりだが、パネライによると、まだ数本残っているそうだ。価格:97万9000円(税込)。

カリフォルニア・ラブ:ラジオミール カリフォルニア 3デイズ PAM00424

 ラジオミール カリフォルニアとは、Ref.3646に採用されていたダイヤルのことを指す。20世紀中盤にパネライの時計を製造していたロレックスも、ダイヤル上部にローマ数字、下にアラビア数字、12,3,6,9時位置にスティックマーカーを配したこのダイヤルデザインを採用していた(1941年に特許を取得したロレックスは、このデザインを“error-proof(エラー防止)”と呼んでいた)。S.L.C.ダイヤルと並んで、カリフォルニアは現代でも幾度か復刻されている。2012年にPAM00424が初めて発表されたとき、デイト窓があったが(上の画像を参照)、パネライはのちにデイトを廃し、よりすっきりとした外観とヴィンテージのパネライに近い外観を実現した。カリフォルニアダイヤルはパネライのイメージが強いが、今日では他の多くの時計でも見られる。タイメックスやアップルもこのデザインを採用している。また、HODINKEE×Swatch SISTEM51の最新コラボモデルにも採用されている。価格: 97万9000円(税込)。

フォティーナ仕上げモデル(第1弾):ラジオミール カリフォルニア 3デイズ PAM00931

 確かにヴィンテージの雰囲気はあるものの、このモダンな47mmのパネライはちょうど2年前に発表されたモデルだ。このカリフォルニアダイヤルの最新モデルは、上の時計と同じムーブメントを搭載しているが、ダイヤル、ケース、付属のストラップにはヴィンテージ加工が施されている。PAM00931のブルーの針には、フェイク・ヴィンテージ夜光が塗布されている。カリフォルニアダイヤルのマーカーや数字にも同じ夜光が施されている。また、風防にはサファイアではなく、ドーム型のプレキシガラスが採用される。パネライは、今でもPAMの一部にプレキシガラスを使用している数少ない存在だ。価格:105万6000円(税込)。

フォティーナ仕上げモデル(第2弾):ラジオミール 8デイズ 45mm PAM00992

 2019年に発表された1000本限定生産のPAM00992は、前世紀のパネライ製ミリタリーウォッチ、それも広義におけるミリタリーウォッチを思い起こさせる。そのケースの直径は、上画像モデルの47mmではなく45mmだ。ブルーの夜光入りの針が時、分、スモールセコンド(パネライらしく9時位置)を示し、3時位置の "8 Giorni Brevettato "のプリントとのバランスが美しい。ダイヤルにはフォティーナがふんだんに施されており、人工的に経年変化の風合いを施したケースとも相性がよい。100m防水のPAM00992は、シースルーケースバック越しに8日間ものパワーリザーブを誇るP.5000ムーブメントを眺めることができる。このムーブメントは、上記の47mmの大型PAMに搭載されているP.3000よりも約1mm小さい。P.5000は、2つの香箱を直列に連結することでロングパワーリザーブを実現した。価格:102万3000円(税込)。

ファンのための1本:ラジオミール ヴェンティ“パネリスティ”45mm PAM02020

 熱狂的コレクターのグループ“パネリスティ”は、現代パネライが人気を博し始めた2000年頃に設立された。彼らに会えば、パネリスティが地球上で最も熱狂的な時計界隈のクラスタであることがすぐにわかるだろう。彼らはパネライとともに食事し、呼吸し、眠り、そして生きている。長年にわたり、パネライはこのグループに敬意を表したスペシャルエディションを製作してきたが、最新作はパネリスティ設立20周年に因み、2020という適切なPAMナンバーが採番された。内部には、2018年にデビューしたP.6000が搭載されている。P.6000は、厚さ4.5mm、2万1600振動/時、3日間のパワーリザーブを備えた15 ½リーニュのキャリバーだ。価格は79万2000円(税込)。


ルミノール
自社製の伝統モデル:ルミノール1950 エクエーション・オブ・タイム PAM00670

 2016年に発表されたルミノール1950 8デイズ エクエーション・オブ・タイム GMT チタニオは、P.2000系ムーブメント、正確には2002年に開発を開始した2002/Eを採用しており、均時差表示が追加された。このシリーズの手巻きキャリバーは、パネライ初の自社製ムーブメントの一つであり、私がHODINKEEで仕事を始めた頃だからよく覚えている。P.2002をはじめとするP.2000系ムーブメントは、堅牢な構造とアーキテクチャを持ち、開発開始年がそのままキャリバー№に採番された。これらのムーブメントが登場してから数年のあいだに、パネライは多くのキャリバーを発表したが、同社のラインナップには現在でもこれらのムーブメントが残されている。価格:275万円(税込)

3Dプリント成型のハイコンプリケーション:ルミノール1950 トゥールビヨン GMT チタニウム 47mm“ロ・シエンツィアート” PAM00768

 ルミノール 1950 トゥールビヨン GMT チタニオ 47mm “ロ・シエンツィアート(イタリア語で科学者の意味)”の2019年グリーンバージョンは、パネライのトゥールビヨンムーブメントを、3Dプリントしたチタンケースで表現している。パネライのトゥールビヨンは当初から、文字通り、ダイヤルに対して垂直に回転し、通常の2倍の速さ(30秒)で1回転するなど、独自の方向性とペースで進化してきた。パネライのトゥールビヨンの構造は特に頑丈で、衝撃に耐えるように設計されている。この高い品質は、全体的な軽さによって強化され、補完されている。3桁の限定数(150本)と4桁の価格(1802万円)を誇るPAM00768は、イタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイに捧げられた“ロ・シエンツィアート”シリーズの最新バージョンだ。

 P.2000系には、モノプッシャー式コラムホイール・クロノグラフのP.2004など、他のムーブメントも存在する。このムーブメントは、つい最近生産中止になったセラミック製のPAM00317(まだ数本入手可能)や、つい先日発表された限定モデルPAM01135に搭載されていたが、こちらもセラミック製で、ダイヤルはサテン仕上げのブルーである。

 特に、このムーブメントは興味深い。現代のスポーツウォッチのクロノグラフといえば、ほとんどが自動巻きだ。今の時代、スピードマスター以外の手巻きクロノグラフは、大半がドレス・クロノグラフといっていい。44mm径のブラックセラミック製のPAM00317やPAM01135をドレスシャツの袖口に入れるのは自己責任でお願いしたい。価格:1802万9000円(税込)

クラシックな47mmのルミノール:ルミノール1950 3デイズ PAM00372

 ちょうど10年前に発表されたPAM00372は、現代の手巻きパネライを考えると真っ先に思い浮かぶ時計のひとつだ。47mm径の大型ケース、リューズプロテクター、そして大きくて読みやすい夜光のサンドイッチダイヤルが特徴だ。手巻きパネライのフラッグシップ的存在として長く君臨してきたPAM00372は、今年から段階的に姿を消す。パネライにはまだ数本残っているが、いつまで買えるかわからない。価格:108万9000円(税込)

スモールセコンド機の雄:ルミノール マリーナ 1950 3デイズ PAM00422

 2011年にプレビューされ、2012年のSIHH(ジュネーブサロン)で発表されたPAM00422は、PAM00372のルミノール マリーナ(スモールセコンド)バージョンだ。ムーブメントはP.3000系のP.3001を搭載し、9時位置にスモールセコンドを配したほか、シースルーケースバックからパワーリザーブの残量を確認することができる。ルミノール マリーナ 3デイズは、サンドイッチダイヤル、針とインデックスにはファティーナ加工されたスーパールミノバが使用されている。防水は10気圧(約100m)。価格は122万1000円(税込)。

左利き用モデル:ルミノール1950 3デイズ PAM01075“デストロ”

 PAM00372が発表された直後、パネライは47mmの3デイズモデルであるルミノール1950のデストロ、つまり左利き用モデルを発表した。PAM00557はその後生産中止となり(数本残っているようだが)、PAM01075に取って代わられたが、これはPAM00372を完全に再現できているといえるだろう。PAM00372/557がブラックサンドイッチダイヤルであるのに対し、PAM01075はアイボリーホワイトを採用している。ブラックダイヤルに比べて数は少ないものの、ホワイトダイヤルの伝統は脈々と受け継がれており、このクリーミーなオフホワイトもその一つだ。115万5000円(税込)。

1週間経っても動き続ける:ルミノールベース 8デイズ PAM00914 & PAM00915 (スモールセコンド)

 この44mmの8日巻きルミノールのペアは、2019年末に登場したものの、当初は目立たなかった。Cal.P.5000と正真正銘サンドイッチダイヤルを搭載したこのモデルは、パネライを探している人が求めるチェック項目の多くを満たしている。“8 Giorni”とプリントされたサンドイッチダイヤルや8日間のパワーリザーブを持つ自社製ムーブメントに加え、ねじ込み式のスティール製ケースバック、300mの防水性を備えるからだ(ただし、オンライン上の初期の写真では、シースルーバックになっている個体も存在した)。経年加工されたルックスには賛否両論があるものの、それを好む人にとっては、77万円と83万6000円(ともに税込)というそれぞれの価格に見合うだけの価値があるといえるだろう。

手巻き入門機: PAM01086とPAM01084

 新しいルミノールベース ロゴとルミノール ロゴは、メインラインのルミノールシリーズへの伝統的な入門機だ。モンブランとミネルバの蜜月のような専門性の高いムーブメントのみ外部供給に頼る場合を例外として、パネライは、2018年のP.6000ムーブメントの登場により完全に自社内製化を果たした。

 2020年に発表されたこれらの時計は、ルミノール ロゴの前世代モデルだ。ルミノール ロゴはパネライのクラシックな外観を備えているが、例えば上記のP.3000ムーブを搭載する時計に盛り込まれるサンドイッチダイヤルなどの意匠の一切が省かれている。価格はすべて税込で次の通りだ。 61万6000円(PAM01086)、67万1000円(PAM01084)。

パネライの手巻き式モデルに関する詳しい情報は、パネライ公式サイトへ

撮影:ティファニー・ウェイド

動画撮影:デビッド・オジェロ、ウィル・ホロウェイ

動画編集:デビッド・オジェロ