Just Because NATOストラップの付け方に関するライフハック

　着け心地のよくないNATOストラップを解体する前に、まずはNATOスタイルストラップの問題を考えよう。昨年秋のある日、スティーブンとストラップの話をしていたとき、僕は彼の「IWC　パイロット・ウォッチ・マーク XVIII HODINKEE エディション」に似合うような、黒の金具を備えたグレーのNATOを送ってあげたいと言った。実際に渡してしばらくすると、彼は、手首上での装着感、特に生地の厚みが気にいらないと言ってきた。

　僕は「重なった下のストラップをカットしたら？」と答えた。そしてその結果が彼にとってあまりにも腑に落ちたようで、「記事でも書いたら？」とまで言われた。僕の中では、NATOストラップはいつでも簡単かつ入手しやすいものであるべきだと思っていた。しかし、従来のNATOストラップは、
①時計のラグ間にある2本のバネ棒に通すナイロン本体
②時計を固定し、ナイロン本体を差し込む下層のストラップ
という二重構造がほとんどである。

　この「アンダーキーパー」構造は、ストラップを手首から外したときに時計がNATOから滑り落ちるのを防ぐ安全構造となっている。ケースからバネ棒までの間隔が広いヴィンテージウォッチにはまだ便利だが、多くのモダンな時計は、その隙間が狭いため、NATOで時計を固定するのに十分にタイトだ。この場合、「アンダーキーパー」は厚みを増やす余計な部分になってしまう。だから、古典的なNATOストラップを手に取り、それを爽やかでクールな、そして「痩せた」NATOに変えてみよう。ハサミを手に取って！

　僕のように、手首を抱きしめるような時計が好きなら、アンダーキーパーはカットするべきだろう。もし僕とは違って、あなたが厚みのあるNATOストラップを好む場合、今回こそが"ダイエット"NATOストラップを味わうチャンスだ。ハサミを掴み、縫い目の近いところで、アンダーキーパーをカットしよう。うまくできたら、その部分の擦り切れを防ぐために、ライターを柔らかい生地の端に当てることで、軽くエッジを溶かし、施術は終了だ。あとは、好みの腕時計に痩せたNATOストラップを通して、余分な厚みが無くなった軽快感を楽しむだけだ。

　さあ、どうぞ。たったこれだけのDIYで、あなたのNATOストラップが唯一無二になった。一枚のナイロン構造のストラップを買うことはもちろんできる。でも、もし既にNATOストラップを持っているなた、1000円くらいは節約できると思うよ。時計のストラップは、全て自分でカットした方が良いと言えないが、NATOは安いから良しとしよう。このカットひとつで、使い心地のことだけを考えられるようになる。何と言っても、僕はあなたの味方だから、快適に感じてもらえたら嬉しい。

　これは僕が発明したDIYではないし、そしておそらく読者の方の多くは既に同じことをしたかもしれない。けれどほんの何人かのためだけでも、僕はこの「決して革命的ではない」小さな裏技を共有したかった（役に立つといいね！）。なぜならこれからの時期、臭くなりやすいNATOストラップの爽やかさを可能な限り保てたらと思うからだ。