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Business News オメガCEOをはじめとする高級時計業界幹部、関税に関する不透明さが一部の消費者たちの購入を鈍らせる可能性を指摘

予期せぬ関税の発表により販売は難しくなっているものの、オメガはNASA認証60周年を記念し、新モデルを通じてプロモーションを展開すると、レイナルド・エシュリマンCEOが語った。

アメリカの通商政策における劇的な変化(スイス製時計への関税を含む)によって生まれた経済的不確実性は、消費者が高級時計の購入を先延ばしにする要因となり得る、とオメガの最高経営責任者であるレイナルド・エシュリマン(Raynald Aeschlimann)氏は語った。“世界は揺さぶられた”と、エシュリマン氏は語る。これはスイス・ビールにて、オメガが有人宇宙飛行に携わる宇宙飛行士に支給され、月面で最初に着用された時計であるスピードマスターがNASAの認証を受けてから60周年を迎えることを記念するイベントでの発言である。

Omega CEO Raynald Aeschlimann

オメガ SAの最高経営責任者(CEO)、レイナルド・エシュリマン氏。

 「揺さぶられたというのは、経済がどうなるのか、あらゆる人々の成長がどうなるのかという不確実性があるからです。そしてそれは、私たちにとって“買い物の瞬間”を創出する助けにならないのです」とエシュリマン氏は述べた。

 現在10%に設定されているアメリカの関税および、4月の突然の発表以降スイスフランがドルに対して上昇していることを受けて、オメガは一部市場において5月1日付で価格を引き上げた。アメリカでは5%の値上げとなっている。売上トップのロレックスを含む複数のブランドも、関税を受けてアメリカ市場で価格を引き上げている。

 トランプ政権が4月に発表した、スイス製品に対する当初31%の関税は、その報道を受けて株式市場と債券市場が急落したことから90日間の猶予措置が取られた。現在、関税の影響を受けた各国の通商当局は、10%の課税が継続されるなかで新たな貿易協定の締結を目指して協議を進めている。オメガの最高経営責任者であるレイナルド・エシュリマン氏は、関税が高水準のまま続くようであれば価格をさらに引き上げざるを得なくなり、現在の平均販売価格である7500ドル(日本円で約110万円)を超えることになるのではないかと懸念を示した。

 今年はオメガにとって大きな節目の年である。同社のスピードマスターが1965年にNASAの宇宙ミッション用として認証され、ロレックスやロンジンをはじめとする競合ブランドを打ち破った出来事の記念年を迎えているのだ。

an Omega speedmaster in hand

 オメガは、売上高ベースでスイスの5大時計ブランドのひとつに数えられており、2024年にはスウォッチ グループ AG 傘下ブランド全体の売上の約3分の1を占めたと、スイスのヴォントベルによる推計で示されている。

 経済政策の変化がもたらす影響がより明確になるまで、一部の消費者は本能的に防衛的な姿勢をとり、時計の購入を再考するようになるだろうとエシュリマン氏は述べた。そうした困難があるにもかかわらず、オメガはこの記念の年を祝して宇宙探査との長年の関わりを強調するプロモーションや新モデルの発表を行う予定である。

 「私たちは踏み込み、創造していきます。資金も投入しますし、イベントも実施します。さらに新製品も予定しています」とエシュリマン氏は語った。なお、オメガが今年NASA認証を記念して新たな“スヌーピー スピードマスター”モデルを発表するかどうかについては、明言を避けた。

an Omega Speedmaster chronograph

 オメガが“ピーナッツ”のキャラクターをテーマにした新バージョンのタイムピースを発表してから、今年で5年が経つ。このモデルは依然として人気が高く、入手困難な時計として知られている。今年のマスターズ・トーナメントで優勝し、キャリアグランドスラムを達成したゴルファーのローリー・マキロイ(Rory McIlroy)選手は、“シルバー・スヌーピー・アワード スピードマスター”を着用していた。

 オメガの最高経営責任者による“揺さぶられた”消費者心理についての発言は、ほかのスイス高級時計ブランド幹部による最近のコメントとも一致している。オーデマ ピゲの最高経営責任者、イラリア・レスタ(Ilaria Resta)氏は、先月スイスのIMD(International Institute for Management Development、国際経営開発研究所)が主催したオンラインカンファレンスにおいて、2025年に創業150周年を迎える独立系スイスブランドとしてラグジュアリーウォッチ市場の長期的成長には引き続き強気であると語った。一方でアメリカの通商政策の変化によって生じている不確実性が、短期的には消費者の購買意欲を鈍らせているとも述べた。

 「時計やクルマのような高額商品をこれから購入しようとしている人々は、“スタンバイモード”にあります」と、レスタ氏は話す。

 オーデマ ピゲの広報担当者は、通商政策の変更および金価格の過去最高値更新を受けて、同社がアメリカ市場において“選択的な価格調整を実施した”ことを認めた。

 続けて、「この決定は、世界的な貿易情勢の変化と原材料コストの上昇に対応するために下されたものです。こうした価格の見直しは、世界中で最高水準のクラフツマンシップとサービスを提供し続けるために不可欠なのです」と、オーデマ ピゲの広報担当者は述べた。

AP royal Oak blue ceramic

 さらに主要な時計オークションハウスの幹部たちも、関税によって生じた不確実性が今月開催されるジュネーブのオークションにおける価格や需要に影響を及ぼすかどうか注視しているという。アンティコルムのマネージングディレクターであり、時計専門家でもあるジュリアン・シェーラー(Julien Schaerer)氏は、アンティコルムの顧客のおよそ3分の1がアメリカに拠点を置いており、仮に時計に対して31%の関税が実施されれば、それは壊滅的な影響をもたらしかねないと語った。「こうした政治的な嵐は毎日のように起きています。だから私は、何かが本当に決定されるまでは慌てたりはしません」とシェーラー氏は述べた。

 詳しくは、オメガオーデマ ピケアンティコルムの公式サイトをご覧ください。