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僕たちは、スイスが時計製造の世界的な中心地であったわけではないことをしばしば忘れがちです。19世紀後半、アメリカは工業用時計製造の分野で主導的な役割を果たしました。イギリスは大航海時代をとしてクロノメーターを製作。また、フランスでは、アブラアン-ルイ・ブレゲのような伝説的な時計製造技術と芸術的な時計製造技術が融合し、新たな高みを目指しました。
テオ・オフレ氏(Théo Auffret)は、今日のコレクターのために、自国の歴史的な時計の過去を再解釈し、独自のスタイルで真にハンドメイドの時計を作り出そうとする若きフランス人です。彼の経歴は既に印象的で、25歳という若さで独自のデザイン言語を開発し始めています。歴史上の巨匠たちに敬意を表して、彼は現在、スースクリプション(受注生産)の形で連続生産される最初の時計コレクションを制作。
テオ・オフレ氏とは?
年齢: 25歳
出身地: ポワシー、フランス
生い立ち: オフレ氏が初めて時計を知ったのは、週末の遠足で、故郷ポワシーからセーヌ川を挟んで30分ほど離れた隣町ポントワーズに行った時でした。父親がアルピナとエテルナの時計を見ている間に、彼は時計店に入り、奥のスタッフとおしゃべりしました。彼は、午後や週末になると、できるだけ多くの時間をその時計店で過ごし、やがて全てを吸収するようになるまでに、それほど時間はかかりませんでした。
最終的には、伝統的な工学系の学校に通うかわりに、時計製造をフルタイムで追求することを決意しました。フランスで見習い相手を探すのに何度か苦労した後、2012年にパリに渡り、古時計や時計の修理を専門とする独立時計師、デニス・コルペショ氏(Denis Corpechot)のもとで働きました。
我々がなぜ彼を気に入ったのか
オフレ氏が、最初に我々の目に留まったのは、2018年にFIHHとF.P.ジュルヌがスポンサーとなったヤングタレントコンペティションで受賞した3人のうちの1人に選ばれたときでした。彼がこの栄誉ある賞を受賞した時計は、レギュレーター風の文字盤、ハンドメイドの大型トゥールビヨン、そしてスターリングシルバーのケースを備えた「トゥールビヨン・ア・パリ」の未完成バージョン。この時計の多くの要素はまだむき出しのままの品質をですが、「トゥールビヨン・ア・パリ」は、同氏がフランスの古典的なデザインやアイデアを取り入れながらも、新たな感性をもっていることを明確に示しています。また、セミオープンワークのトゥールビヨン・レギュレーターで国際的な舞台に名乗りを上げたことは、何ら驚くことではありません。
彼の情熱を持続可能なビジネスへと変えるために、オフレ氏は時計を販売する必要がありました。そこで彼は、トゥールビヨン・ア・パリ・スースクリプション・シリーズを発表。これは、オリジナルのプロトタイプをより洗練させたバージョンで、オーダーメイドで製作され、各所有者の仕様に合わせて軽くカスタマイズされています。ケース素材、文字盤の素材、仕上げ、その他の美的なディテールをミックスして組み合わせることができ、特別なリクエストにも対応しています。標準的なオプションには、ケースと文字盤にプラチナ、ゴールド、シルバー、チタン、スティール、針の仕上げと色の選択、サファイア風防またはミネラルガラス風防、豊富なオーダーメイドのストラップ、お客の好みの木材で作られたカスタムボックス、ムーブメントに使用されているネジの仕上げと色などがあります。
ブリッジやプレートの一部は最新のCNC旋盤でカットされていますが、全てはオフレ氏の手で仕上げられています。また、時計を収める箱の木工職人やストラップの革職人など、自分ではできないことは他の職人と直接仕事をしています。オフレ氏は、新しい技術が必要なときには、それを受け入れることを恐れず、他の職人と一緒に仕事をすることを楽しんでいます。しかし、彼の時計を真に特別なものにしているのは、手仕事のレベルと完成したそれぞれの作品が具現化している技術のレベル。
重要なのは、トゥールビヨン・ア・パリのサイズが38.5mmであることで、他の若い時計職人が手作業で製作しているオーバーサイズの時計よりも、はるかに身に着けやすいサイズになっていること。「変だと思う人もいるかもしれませんが、私が一番好きなのは、時計を作り、世界中を旅してコレクターに身に着けてもらうことです」とオフレ氏は言います。
次は何か
オフレ氏は、新たなプロトタイプを作成したり、デザイン言語の進化に着手しています。具体的には、彼は自身のブランドを構築する古典的なフランスの基礎に、より現代的な感覚を取り入れたいと考えています。彼は、急ぎすぎたり、急拡大しすぎたりしているわけではありません。その代わり、彼は仕事をして、時間をかけて、正しい方法で物事を行うことを好むようです。新しいモデルは2021年の前半に登場する予定ですが、オフレ氏はそれ以上のことを語るのをためらいました。
「最近は、仕事が忙しく、睡眠時間も少なく、1年半ほど前から休日を夢見ていました」と同氏は話します。「しかし、時計づくりは私の情熱です。ときには徹夜して時計を作ることもあります。やめられないという感じなのです」。
ご自身の目でお確かめを
オフレ氏は、全てダイレクトに注文を受け付けており、現在のところ小売店や販売店との取引は行っていません。現在、同氏は、トゥールビヨン・ア・パリの注文を約半年待ちとしていますが、これは彼が生産できる本数が限られていることと、ハンドメイドの時計の性質上、変動する可能性があります。トゥールビヨン・ア・パリの価格は、構成に関わらず、10万8000ユーロ(付加価値税別)。日本円にして約1366万円となります。
時計の詳細や依頼については、オフレ氏(contact@auffret-paris.com)までお問い合わせいただくか公式サイトauffret-paris.comをご覧ください。
Photographs: アントワーヌ・デラージュ・ド・リュゲ(Antoine Delage De Luget)
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