Introducing オリエントスター　クラシック スケルトン 2021年新作

　1951年の誕生以来、伝統的な職人技と最新の時計製造技術を融合させた、MADE IN JAPANの高品質時計を手がけるオリエントスターが2021年に70周年を迎えた。これを記念し、クラシックコレクションの最上位モデルとなる、新開発ムーブメントを搭載した新作のスケルトンを発表した。

　新作の注目すべきポイントは主に2つ。フルスケルトンスタイルと新型ムーブメントの搭載だ。

　オリエントスターでは、ダイヤルからムーブメントの一部が見える「セミスケルトン」、そしてムーブメントの骨格のみを残し、内部の機構全体を見えるようにした「スケルトン」と、機械式の魅力を分かりやすく表現したモデルが長年親しまれてきた。オリエントスターの中でも極めてアイコニックなスケルトンウォッチが初めて発表されたのは1991年のこと。今年はスケルトンウォッチ30周年という節目の年でもあり、新作ではファーストモデルの“モンビジュ”を彷彿とさせるフルスケルトンデザインが採用された。

　そんなスケルトンダイヤルから覗くのが、新開発の自社製46系F8キャリバーだ。軽量化と加工精度を向上させたシリコン製ガンギ車を新たに搭載することで、脱進機のエネルギー伝達効率を改善。現行モデルの50時間から約20時間も伸長した70時間パワーリザーブを確保した。

　加えて、極限まで骨組みのみの構造に近づけるフルスケルトンスタイルでありながら（一般的に地板の肉抜きを多くすると、ムーブメントを平坦に作ることが難しくなり、精度調整は困難になる）、現行の48系キャリバーが日差+25秒～-15秒の精度であるのに対し、新型の46系F8ムーブメントは日差+15秒～-5秒という高精度を実現させている。

　なお、新作として発表されたのは2モデル。シャンパンカラーダイヤルにゴールドカラームーブメントをもつRK-AZ0001Sと、ホワイトダイヤルにシルバーカラームーブメントを合わせたRK-AZ0002S。いずれもケースはステンレススティール製で、手縫いの本ワニ革のレザーストラップを合わせた。価格は共に29万円（税抜）で、 2021年3月18日から発売開始予定である。

　本作を見て、筆者が真っ先に目を奪われたのは、やはり新開発のムーブメントだ。スケルトンのダイヤル中央部、時分針とスモールセコンド秒針のちょうど間に見えるのが、自社開発されたシリコン製ガンギ車である。このガンギ車には、エプソンの高精細プリントヘッド製造にも使われているMEMS加工技術が用いられており、バネ性をもつ独自構造を採用している。

　シリコンはその特性として、表面が平滑で硬くて軽く、摩擦係数が低い（さらに帯磁しないことも特長）という利点がある反面、脆くて欠け易いというデメリットをもつ。対して、新作に採用されているシリコン製ガンギ車はバネ性をもたせることで衝撃吸収に優れ、耐久性を高めることに成功したという。

　もちろん、その技術的な側が魅力であることは言うまでもないが、筆者が心引かれたのは、その美しい仕上げだ。このガンギ車には、エプソンの半導体技術で培ったナノメートル単位で膜厚コントロールが成されており、光の反射率を調整することで鮮やかなブルーの発色を実現させているのだ。

　さらにムーブメント全体の仕上げも秀逸だ。新しいスケルトンのムーブメントには、ダイヤル側は渦模様、ケースバック側には波模様と、表と裏で異なる切削加工を施し、さらには丁寧に面取した部品を採用することで優れた質感に仕上げている。また、風防は両面無反射コーティングを施した両球面サファイアクリスタルのため、様々な角度からでもその特徴的なダイヤルとムーブメントの仕上げを鑑賞することできるように工夫されている。

　性能が良いのはもちろん、本作は見せることやユーザーが視覚的にも美しいと感じることができるような感覚価値に配慮されている点がいい。これまでの日本の時計は、どちらかというと機能性や実用性を偏重する傾向があり、そうした感覚価値は蔑ろにされがちだった。しかしながら、本作では機能性や実用性はもちろんのこと、そうした感性価値もしっかりと追求されているのだ。だからこそ、パッと目にした際に自然と目が止まる。これは現代の時計において、極めて重要なポイントと言えるだろう。

　発売は3月18日ともう少し先になるが、ぜひとも読者にも“思わず視線を奪われてしまう”本作の魅力を、その目で確かめて欲しいと思う。

　ちなみに余談だが、筆者が心引かれたポイントをもう一つ。現在の機械式時計において、手巻きでパワーリザーブが長い時計というのは、たいていの場合、数も少なく高額であることがほとんどだ。しかし、本作はその条件を満たしながら、その価格は29万円（税抜）と極めて良心的である。このコストパフォーマンスの高さも、本作の見逃せない大きな魅力の一つではないだろうか。

ブランド： オリエントスター（Orient Star）
モデル名： クラシック スケルトン
型番： RK-AZ0001S（シャンパン）、RK-AZ0002S （ホワイト）

直径： 38.8mm
厚さ： 10.6mm
ケース素材： ステンレススティール
文字盤色： シャンパン（RK-AZ0001S）、ホワイト（RK-AZ0002S）
インデックス： アプライドバー
夜光： なし
防水性能： 5気圧（日常生活用強化防水）
ストラップ/ブレスレット： 本ワニ革レザーストラップ、三つ折プッシュ式クラスプ付き

キャリバー： F8B62（RK-AZ0001S）、F8B63（RK-AZ0002S）
機構： 時・分表示、スモールセコンド、12時位置にパワーリザーブインジケーター、秒針停止機構
パワーリザーブ： 70時間以上
巻き上げ方式： 手巻き
振動数： 2万1600振動/時
石数： 22石
追加情報： 日差+15秒～-5秒 

価格： 共に29万円（税抜）
発売時期： 2021年3月18日発売開始予定
限定： なし。通常ライン

詳細は、オリエントスター公式サイトをクリック。