trophy slideshow-left slideshow-right chevron-right chevron-light chevron-light play play-outline external-arrow pointer hodinkee-shop hodinkee-shop share-arrow share show-more-arrow watch101-hotspot instagram nav dropdown-arrow full-article-view read-more-arrow close close email facebook h image-centric-view newletter-icon pinterest search-light search thumbnail-view twitter view-image checkmark triangle-down chevron-right-circle chevron-right-circle-white lock shop live events conversation watch plus plus-circle camera comments download x heart comment default-watch-avatar overflow check-circle right-white right-black comment-bubble instagram speech-bubble shopping-bag

Interview パネライCEO ジャンマルク・ポントルエ

パネライのCEOであるジャンマルク・ポントルエ氏が明かす、2020年新作とコロナ禍でのビジネスについて。

 HODINKEEのジョー・トンプソンがここ最近頻繁に記事化しているが、コロナ禍における時計ブランドのビジネスはかなりの苦境に立たされている。売上高にして世界トップ10のメーカーおよび、大グループに属するブランド以外はかなりの数が立ち行かなくなるという見方もしているが、売上の推移に目を向ければブランドグループも決して楽ではない(詳しくは、Business News スイス時計業界における最悪の事態は収束したのか?へ)。

 そんな中、リシュモングループに属するパネライCEOのジャンマルク・ポントルエ氏にメールベースで取材を行うことができた。誕生70周年を迎えて一大リニューアルを実行中のルミノールについてや、コロナ禍でのビジネスについて話を伺った。

パネライ ルミノールマリーナ '70周年記念' コレクション

パネライ ルミノールマリーナ '70周年記念' コレクション。

ADVERTISEMENT

HODINKEE(以下、H):今年の新作・ルミノールは、パネライの素材開発力を強く見せつける内容でした。数年前まで、ロシェンツィアートなどコンプリモデルにしか使われていなかったDMLSのケースなどを、これらの通常ラインにも導入された意図を教えてください。

ジャンマルク・ポントルエ氏(以下、ポントルエ):パネライは2016年にDMLSテクノロジーを発表。それ以来、行程の改善を継続し、このユニークなテクノロジーをルミノール マリーナの価格帯でアクセス可能なものに変えました。最近、テクノロジーのエンジニアリングにおいて重要な一歩を踏み出し、より量産的なアプローチが可能となったのです。

 今日では、24時間で一度に18個のケースを「3Dプリント」しています。次の工程として、土台からパーツを切り取り、機械加工して、サンドブラスト仕上げを施しています。 DMLSが私たちの時計にもたらす大きな利点は、同じサイズのステンレススティール製モデルより30%軽量であること。人間工学に基づいた製品の改良と独特の外観を得ることができるのです。

H:素材開発において、協業している企業や施設などがあれば教えて下さい。

ポントルエ:パネライは主に材料の革新と、技術および性能に関連する相乗効果を生み出すために、時計製造業以外の分野の貴重なパートナーを常に強く意識しています。たとえば、エラメット(Eramet;フランスの資源大手)とペルシコ(Persico;イタリアの多国籍企業。自動車、工業、海洋産業などを展開)は、私たちの価値観を具体化するサプライヤーです。
 ペルシコは、アメリカズカップのレーシングヨットを製造するエキスパートで、信頼できるパートナーです。エラメットは、リサイクル素材であるエコ・チタンのサプライヤーで、環境に配慮した製品作りの面で私たちをサポートしてくれています。

パネライ ルミノール マリーナ PAM 1119

新開発のフィブラテックケースをもつPAM 1119。SSよりも60%軽量で、航空宇宙産業において誕生した素材。玄武岩を融解して取り出した鉱物繊維とポリマーを合わせている。

パネライ ルミノール マリーナ PAM 1117

中空構造のDMLSチタンケースを採用したPAM 1117。ポントルエCEOの話では、このケースは24時間に18個が3Dプリントされているという。

H:現在時計業界で人気の中心となっている、ステンレスモデルや一体型ブレスレットをもつ新作の開発は、パネライの構想にありますか?

ポントルエ:革新分野のパイオニアとしてのパネライは、象徴的なモデルのデザインを現代的に解釈し続けます。今年のルミノールコレクションについて言えば、レザーストラップからメタルブレスレットに付け替えることができるアクセサリーを充実させたおかげで、ルミノールという時計自体の魅力が拡大したと考えています。

パネライは現在、

過去にかつてないほど、強力で

柔軟性があると強く信じています。

– パネライCEO ジャンマルク・ポントルエ氏
ADVERTISEMENT

H:現在のマニュファクチュールの稼働率と、ブティックのオープン状況を教えてください。

ポントルエ:稼働率、閉店数等は、各都市のCovid-19の感染状況により日々変化しますので、数字は申し上げられませんが、Eコマース等が成長しているので、ビジネス全体としては堅調に推移しています。

H:このコロナ禍における、パネライの今後の方針を教えてください。

ポントルエ:Covid-19は、時計セグメントを含む全てのラグジュアリービジネスに大きな影響を与えました...。 パネライは優先事項として、常に従業員を保護しビジネス継続性を確保する必要がありました。 19の子会社と、本社では740人がチームに分かれており、ここジュネーブ本社では、テレビ会議を通じて、予想される世界的な危機に対応するために、迅速に決定を下しています。

 パネライは現在、過去にかつてないほど、強力で柔軟性があると強く信じています。ミラノのデザインセンターとジュネーブの本社は、世界中の400の取引先と150のブティックのビジネスを管理するための新しいアプローチを試みました。
 サプライチェーンは、トラベルリテールやロックダウンした国への出荷を制限し、Covid-19の第一波後に大幅な成長を記録した、中国などの市場に余分な数量を割り当てるなど、優先順位を変更しています。

オフィチーネ・パネライCEO ジャン-マルク・ポントルエ氏

パネライCEO ジャンマルク・ポントルエ氏

 ラグジュアリーブランド、特にリシュモングループは世界的にECの取り組みを強化していた最中であり、コロナ禍においてよりそちらに力を割いていると言える。オンラインにおいて、ブランド側からさまざまな形でコンテンツが発信されるようになったのもその一端だろうが、パネライでも新プロジェクト「PAMCAST」がスタートしている。

 こういった取り組みについて、僕は非常に好意的だ。最近ではオーデマ ピゲも、日本独自のコンテンツを集めたサイトを公開したが、第三者に歪められていない情報に消費者が直接触れることができるというのは、あらゆる意味で発見があると思う。いずれにせよ、ブランドの透明性が高まる方向にいくのは間違いないはずである。

 「パネライのDNAの一つは、我々の腕時計は身に着ける人と共にどこへでも(例え海の中でも)旅をすることです。ですので、パネライが厳選した旅をバーチャルで体験していただけたり、パネライアンバサダーの冒険を見ることができるこのコンテンツは、パネライファンにとって毎回楽しみにしていただけるものになると自信をもっています」

 ブランド側も、今回ポントルエ氏が語ってくれたように、数年前まで1000万円オーバーのモデルでしか採用していなかった技術をより一般的な時計にも用いるべく開発努力を続けている。こうした動きに意識的であることも、良い時計愛好家として必要な要素だと思う。

PAMCASTをご覧になるにはこちらをクリック。

その他詳細は、パネライ公式サイトへ。