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昨日の(アメリカ)東海岸の早朝、パテック フィリップはアクアノートとノーチラスのコレクションに新しいリファレンスを多数発表した。そのなかでも際立っていたのが、“女性向け”のミニッツリピーター機能を備えたレインボーアクアノートだ。言うまでもなく、私はInstagramにあった虹色のアクアノートの画像の嵐で目が覚めた。約5分間、目をこすり、大量に水を飲み、新しいパテックについての大量のテキストメッセージを開封したあと、2度目のスマホチェックをした。私はすぐに、昨年発売されたアクアノート・ルーチェ レインボーと、レディスウォッチデザインにおける安易な方法であるジェムセッティングに関する、自身の厳格な批判を思い出した。
さて、これで私は1年賢くなったが、意見はまったく変わっていない。
直感に従えと言われるが、1度に吸収することが多くて、自分の気持ちを整理することができなかった。順番に行こう。“女性のためのミニッツリピーター”は全面的に賛成だ(ただし、ここでの意味は厄介なのであとで詳しく説明しよう)。挑発的な宝石の使い方、これも全面的に賛成する。ケースとブレスレットに虹色に輝く宝石がたっぷりセットされている。それほどでもないかも。これらの新しいジェムセットされたモデルにジェンダーラベルを貼る…ああ、今は2023年だよ。
ときどき、私は性別がないと主張する。またあるときは意図的なレディスデザインも主張する。多くの場合、それはブランドとは何の関係もなく、すべてブランドのアプローチにおける姿勢が関係していると気づかされる。女性をターゲットにしているのであれば、女性が何を望んでいるのかを聞いたほうがいい。なぜなら、私でさえ女性が何を望んでいるのか正確にはわからないからだ。私は36mm径が好きだが、41mm径が好きな女性もいれば、26mm径の小さなものが好きな女性もいる。そしてミックスしたものが好きな人もいる。
本当に賢いやり方は、さまざまなサイズを提供することである。APはこれを行い、すべての女性が同じものを好むわけではないことを理解しようとしている。例えばAPが昨年リリースしたレインボーセットは、37mmと41mmのサイズで展開し、ジェンダーラベルは割り当てていなかった。
アクアノートのような時計は“現代的”なパテックの規範のなかでも認知度が高いため、よりスポーティなモデルであるこの時計は、存在感を示す絶好のチャンスがある。ここで何が言いたいのか、まだ正確に読み解けていないが、パテックには敬意を表したい。女性のためのコンプリケーションウォッチを求めよ、さらば与えられん。
大量のコーヒーを飲み、深く物思いにふけったあと、私はHODINKEE出身のカーラ・バレットに電話をして彼女の意見を聞いた。“パテックはこのような伝統的なモデルでリスクを冒している。でもこの時計にはもっと控えめなものが欲しい。例えばプラチナかホワイトゴールドのアクアノート MR トープ 35mmとか?”。なんて粋なの。
時計のスペックを分析してみよう。アクアノートのミニッツリピーターは大賛成だし、ジェムセッティングは確かに印象的だ。防水性はないが、その議論はInstagramのパティーナボーイにお任せしよう。悪いけど、誰が200万ドルの宝石がセットされた時計でダイビングをするんだ?
昨年発売されたクロノグラフ アクアノート・ルーチェ “レインボー” Ref.7968/300R-001に続き、今作は色とりどりのバゲットカットサファイアおよびバゲットカットダイヤモンドをレインボーに配色してパワーアップさせた。ブレスレットまたはコンポジットストラップが用意されているが、これらはまったく同じ時計ではない。
まずは控えめなストラップモデルから始めよう。アクアノート・ルーチェ “レインボー” ミニット・リピーター・ハイジュエリー Ref.5260/355R-001はローズゴールド製で、52個のマルチカラーバゲットカットサファイア(3.19ct)、112個のバゲットカットダイヤモンド(7.31ct)、160個のブリリアントカットダイヤモンド(0.72ct)をあしらっている。ケースのサイズは直径38.8mm(10時から4時範囲)、厚さは10.7mmだ。
文字盤にはさりげなく宝石を施し、中央には“インビジブル”バゲットダイヤモンドをセット。レインボーサファイアによる各インデックスのあいだにはブリリアントカットダイヤモンドがスノーセッティングされ、ベゼルの色調のグラデーションと呼応している。Cal.R27は、ケースの左側面に取り付けられたスライドセットを作動させることで必要に応じてチャイムを鳴らす。なおスライドに宝石は施されていない。ありがたいことに、追加で10個のバゲットカットダイヤモンドが、アクアノートのクラシックなデプロワイヤントクラスプにひそかにセットされている。
Ref.5260/1455R-001(ダイヤブレスレット)は、130個のバゲットカットダイヤモンド(8.66ct)と779個のマルチカラーバゲットカットサファイア(45.05ct)が全体に敷き詰められている。そして、単に宝石をRGブレスレットにのみ追加したのではなく、こちらはケース側面、ブレスレット、スライドピースと、全面に宝石がセットされ、全体的にレベルアップしていることにお気づきだろう。あー疲れた。ケースサイズは同じく、直径38.8mm、厚さ10.7mmである。
12個のマルチカラーバゲットカットサファイアインデックス、同じくバゲットカットダイヤモンドで構成されたアワーリング、3個のバゲットカットルビーでセッティングされた時針、5個のバゲットカットブルーサファイアでライトアップされた分針。その針を運ぶ中心の穴には、ブリリアントカットダイヤモンドが1粒セッティングされている。
そう、私は個人的にレインボーを愛していないかもしれない。ただレインボーの背景にある姿勢が大好きだ。パテックの挑発も大好きだ。しかし私たちは絶対に、2023年に女性用腕時計をどう売り込むかという議論に触れなければならない。これはレディス用の時計ではなく、宝石のセッティングが多いだけの時計である。どちらかというと、これがユニセックスモデルとして売り出されていたら私は飛びついていたかもしれない。私は荒っぽい感じを少しとろうとするスイス人の生き方を愛している。だがアクアノート・ルーチェをキャンバスとして使うのは、型どおりのやり方な気がする。レインボーデイトナが常に目指してきたのは、いつでも快適に身につけられる腕時計である。このアクアノートのグランドコンプリは、最も騒がしく、最大限度まで超えたものなのだ。
さて、最後は宝石をセットしたノーチラストリオだ。私はこれを支持しよう。文句のつけようがない。こちらの新作はダイヤモンドに、ブルーサファイア(7118/1451G-001)、ルビー(7118/1452G-001)、エメラルド(7118/1453 G-001)をそれぞれ組み合わせた、貴重な“スノーセット”ウォッチ3本だ。WGの3モデルはいずれも直径35.2mmで、自動巻きCal.26-330を搭載、透明なサファイア製シースルーバックからそのムーブメントを鑑賞できる。
私のひそかな疑惑は、高級時計メーカーから頻繁に依頼されるほどのジェムセッティング業界のリーダーであり、ジュネーブに拠点を置くサラニトロ社に、パテックが依頼をしたのではないかということ。さらに昨年、パテックは同社の株式40%を取得したと発表している。ここで見られるスノーセッティングは、最近発表された斬新なロイヤル オークダイヤモンドセッティングで使用されているスノーセッティングと、ほぼ同じなのだ。
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