trophy slideshow-left slideshow-right chevron-right chevron-light chevron-light play play-outline external-arrow pointer hodinkee-shop hodinkee-shop share-arrow share show-more-arrow watch101-hotspot instagram nav dropdown-arrow full-article-view read-more-arrow close close email facebook h image-centric-view newletter-icon pinterest search-light search thumbnail-view twitter view-image checkmark triangle-down chevron-right-circle chevron-right-circle-white lock shop live events conversation watch plus plus-circle camera comments download x heart comment default-watch-avatar overflow check-circle right-white right-black comment-bubble instagram speech-bubble shopping-bag

Auctions 今週のフィリップスオークションに初出品される、レジェップ・レジェピ クロノメーター コンテンポランに注目が集まる

レジェップ氏は自身の時計を手にする幸運な人たちを慎重に選んでいるが、このオークションは同氏のブランドがより広いマーケットに進出するための最初のデータになることだろう。

時計の業界でよく、新米コレクターとこのような会話をしている。

 「今つくられているもののなかで最高の時計は何だと思うか”」と彼らに尋ねられる。私は「それは複雑な質問だね」と返す。「でももし本当に、何か、何でも買えるとしたらどんなものを買えばいいのだろう?」。そして私が提案する時計は残念ながら手に入らないと伝える。それは現在生産している時計のなかで私が最も気に入っている時計、レジェップ・レジェピのクロノメーター コンテンポラン IIである。

CC1 Rexhepi

今週開催されるフィリップス香港オークションにて出品される、レジェップ・レジェピ クロノメーター コンテンポラン。

 彼の最新モデルのウェイティングリストは数千人に上るという噂を聞いたことがあるが、それは真に重要なことではない。実際につくられるのはその数分の1しかないという点だ。さらに、セカンドマーケットで高い値段を出せばどんな時計でも手に入る事実に慣れている多くのコレクターにとっては、レジェップ・レジェピのクロノメーター コンテンポランはそのケースに当てはまらないというのもよくないことだ。今週、5月24日に開催されるフィリップス香港オークションで、初めて市販モデルのクロノメーター コンテンポランが登場する。そしてそれに人々が注目していることは間違いない。

Rexhep Rexhepi in his Old Town Geneva atelier. Image, Janosch Abel, for HODINKEE Magazine, Vol. 10

ジュネーブ旧市街のアトリエにいるレジェップ・レジェピ(Rexhep Rexhepi)氏。Image: Janosch Abel, for HODINKEE Magazine, Vol. 10

 コレクターにとって、現代の天才独立時計師の作品を購入できる珍しい機会だ。この時計は本来38mmケースに納められた美しくも対称的なムーブメント、グラン・フー・エナメルのダイヤルを備えた時刻表示のみの時計であり、今回のこの例ではローズゴールドのケースとブラックの文字盤の組み合わせで登場した。しかしそれだけだとこの時計を過小評価しているに過ぎない。この時計はイメージどおりの完璧な仕上がりとなっているのだ。スティーブン・プルヴィレント(Stephen Pulvirent)は、2018年で最も好きな独立時計師の時計かつ総合的な聖杯時計としてこの時計を選び、そして2018年の発売後、クロノメーター コンテンポランはその年のジュネーブ時計グランプリ(GPHG)でメンズウォッチ賞を受賞した。

Movement of the CC1

フィリップスオークションで出品される、クロノメーター コンテンポランのムーブメント。

 クロノメーター コンテンポランが市場に出るのに5年かかったという事実は何よりも大きな進歩なのだ。アワーグラスのマイケル・テイ(Michael Tay)氏のように、この時計の一次販売者はこれを投機目的にしないような人々の手に渡るよう多大な努力を払ってきた。当初の価格は5万8000スイスフラン(日本円で約890万円)と、決して手の届きやすい価格帯とはいえなかったが、クラフトマンシップのレベルからすると多くのコレクターが素晴らしいお買い得な製品だと考えている。しかしもっと重要なのは、これがオリジナルのオーナーの元に残っていたという事実であり、つまり才能ある若い時計職人に対する初期の支持者たちの情熱の証であるということだ。

 CC 1の後継モデルであり俗にCC 2と呼ばれているが、実際にはオンリーウォッチのチャリティーオークションでプラチナ製ユニークピースとして発表され、当時80万スイスフラン(日本円で約1億2290万円)で落札されたものだ。この結果を見ると、市場での需要をある程度感じさせると思うかもしれないが、1点もののリリースは量産モデルと同じように見ることはできない。フィリップスによるエスティメートは160万~300万香港ドル(日本円で約2825万円~約5300万円)とそれよりもはるかに低く、さまざまな数字が飛び交っているが最終的なハンマープライスを予測するのはとても難しい。

Rexhepi CC1 movement

CC1のムーブメント。Photo: Stephen Pulvirent

 「二次流通市場で1本が売りに出されるだけで明白に盛り上がりを見せますが、それはひとつのデータに過ぎず、市場のテストに過ぎません」とエリック・クー(Eric Ku)氏は言う。彼はレジェピ氏と長年親交があり、レジェピ氏のブランドであるアクリヴィアの時計やクロノメーター コンテンポランを所有している。「レジェップはまだ若いながらも素晴らしい仕事をしていますが、驚くべきは彼はまだ自身の持つ潜在能力に気づいていません。彼にとっての天井はそれほどまでに高いのです」

 最近開催したフィリップのジュネーブ・オークションにて70万スイスフラン(日本円で約1億755万円)強で落札されたロジャー・スミス シリーズ 1のような、より確立された時計メーカーのほかのデータを見たクー氏は、この時計は30万ドルから40万ドル(日本円で約4155万円~5540万円)のあいだに収まるだろうと話してくれた。何が起ころうとも、時計業界がどう反応するか、そしてコレクターたちが今後も自分たちのコレクションを固く守り続けるのか、それとも市場にもっとリリースし始めるのか、興味深いところである。