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Watching Movies ラッセル・クロウが映画『消されたヘッドライン』で着用した特別なオメガ スピードマスター

今週の時計関連映画は、限定モデルのムーンウォッチと、真相を追及する無骨な記者のストーリーだ。

正攻法で作られたスリラー映画は、どんな素晴らしい映画とも肩を並べることができる。 『消されたヘッドライン(原題:State of Play)』 (2009年)は、そのようなスリラーの一つであり、ワシントンでの権力争いと、地に足のついた調査報道を描いた作品だ。この映画は、ラッセル・クロウ演じる昔気質の新聞記者カル・マカフリーが、議会スタッフの死をきっかけに、政府の最高レベルの陰謀を暴いていくというものだ。全てのジャーナリストは良い時計を必要とすると思うが、クロウの時計は確かに良かった。

『消されたヘッドライン』のロビン・ライト、ベン・アフレック、ラッセル・クロウ。Photo courtesy: Universal Pictures.


注目する理由

 今週、20世紀スタジオ(基本的にはディズニー)が、クロウ主演の過小評価されている映画『マスター・アンド・コマンダー(Master and Commander: The Far Side of the World)』 の過去を描く続編を準備していることが分かった。新しい映画は新しい俳優で製作される可能性が高いが、この気難しいオーストラリア人俳優らしい最高のパフォーマンスの1つを再確認するには絶好の機会だと思った(『グラディエーター』ファンの皆さん、落ち着いて。私は“1つを”と言ったのだから)。

『消されたヘッドライン』のシーンから。散らかった部屋でタイピングするカル・マカフリー役のラッセル・クロウ。Screengrab courtesy: Universal Pictures.

 マカフリーは、典型的なベテラン調査報道記者だ。ヘアカットや髭剃りには無頓着で、ファッションはコーデュロイのブレザー、料理と言えば箱入りのマッシュポテトくらいだ。散らかり放題の仕事部屋からオンボロのサーブのハッチバックまで、彼の性格にはいたるところで一貫性を感じる。だからこそ、彼が身に着けている時計は特出した存在なのだ。

『消されたヘッドライン』でオメガ スピードマスター 50周年限定モデルを着用するラッセル・クロウ。 Photo courtesy: Alamy/Universal Pictures

 映画の全シーンで彼の手首に装着されているのは、ブラックレザーストラップのオメガ スピードマスター ムーンウォッチなのだ。これはただのスピーディではない。50周年記念限定モデルのRef. 311.30.42.30.01.001だ。 通常のスピードマスターとの大きな違いは、ダイヤル上部の金色のシーホース、その下に1957年の年号、そしてオメガのロゴとブランド名が赤でプリントされている点だ。これは滅多に見られるものではない。確認するために、何度も停止やズームをする必要があった。

50周年記念限定モデルのスピードマスターのクローズアップ(『消されたヘッドライン』より)。Photo courtesy: Alamy/Universal Pictures.

50周年記念限定モデルのオメガ スピードマスター Ref. 311.30.42.30.01.001。

 主人公の持ち物の中で最も高価なように見えるが、この時計は彼のキャラクターにとって多くの意味をもつ。まず第一に、映画の中のジャーナリストが象徴的な時計を身に着けた前例がある。最も有名なのは、『大統領の陰謀(All the President's Men)』 のロバート・レッドフォードが“赤サブ”を身に着けていたことだろう。『消されたヘッドライン』の監督であるケヴィン・マクドナルドは、当然ながらこの映画から多くのインスピレーションを得たようだ。

 私はこの時計の選択が、あの名作映画へのさりげないオマージュであると考えたい。スピードマスターサブマリーナーと同様に、時計史に残る象徴的なタイムピースだ。クロウが演じる主人公は、車は1台、シャツも1枚、ズボンも1着というように、時計も1本しかもたないタイプだと思うが、スピードマスターはまさに理想的な“これ1本でいい時計”なのだ。

『消されたヘッドライン』のヘレン・ミレン、レイチェル・マクアダムス、ラッセル・クロウ。Photo courtesy:  Alamy/Moviestore Collection Ltd.

 2018年のことだが、クロウは個人的なコレクションからかなりの数の時計をサザビーズ・オーストラリアでオークションにかけた。その中には、お察しの通り、ブラックレザーストラップのオメガ スピードマスターも含まれていたのだ。それは本作で着用しているものとは異なるが、噂では作品中の50周年記念モデルも彼の私物だと言われている。ただ、それを確認する具体的な情報はないし、ジャーナリズムについて書くという精神からしても、詮索すべきではないと思うのだ。


見るべきシーン

 本作に登場する架空の新聞社は、巨大メディア企業に買収された後、急速な変化を遂げる。ヘレン・ミレン演じる新聞社の編集者はインターネット時代に適応しようとするが、マカフリーから反発を受ける。「ネットの方は好調だと聞いているけど」と彼は皮肉る。「俺はそんなこと気にしないタイプだ」。まさに古いタイプの白髪交じりの記者が編集者と口論している図だ。コンピューターとテクノロジーに対する彼の非難は1分半[00:13:12]も続き、その間、我々はテクノロジー嫌いの彼の手首に装着されたムーンウォッチをはっきりと見ることができる。

Screengrab courtesy: Universal Pictures.

 映画の終盤、単純なハッピーエンドに向かうと思われる中、マカフリーは、レイチェル・マクアダムス演じる同僚のデラ・フライのオフィスに入る。彼は紙コップにジャック・ダニエルを注ぎ、飲むうちに、陰謀の謎を解く鍵がひらめく。彼が時計を見るとき、スピーディにフォーカスされたショットになる[01:47:58]。この映画では時計のクローズアップはあまり多くないが、このショットはプロットの重要な部分を明らかにする貴重なショットだ。確かにこの時計がなければ、話の展開はなかった。

Screengrab courtesy: Universal Pictures.

『消されたヘッドライン』(出演:ラッセル・クロウ、レイチェル・マクアダムス、ヘレン・ミレン、ベン・アフレック)、監督はケヴィン・マクドナルド、小道具はロビン・L・ミラーが担当。Netflixでストリーミング配信されているほか、iTunesやAmazonでもレンタルも可能。オメガ スピードマスターについての詳細はこちらを。

Lead image courtesy: Alamy/Moviestore Collection Ltd.