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我々が知っていること
ドバイウォッチウィークのようなイベントに参加することの付帯的なメリットのひとつは、時計の世界で活動している人々との出会いがあることだ。イベント会場を散策していると、“サルトリー・ビラール(Sartory Billard)”というブランドを立ち上げた、アルマン・ビラール(Armand Billard)氏に出会った。話をしているうちに、彼は2015年に創業した自身のブランドが、初の自社製ムーブメントを搭載した腕時計を発売しようとしていることに触れ、見てみないかと誘ってくれた(写真も数枚撮ってきた)。
新モデルにはSB06-12とSB06-24のふたつの機能仕様があり、後者は時刻表示に24時間レイアウトを採用している。さらに購入者は、41mm径×9.5mm厚(ラグからラグまで47mm)サイズのケースを、いくつかカスタマイズすることができる。たとえばスティール、チタン、タンタル、ゴールド、プラチナなど、ヴティライネン&カタン(Voutilainen & Cattin)社が製造するケース素材のリストから選ぶことができる(ただしこれに限定されない)。
この新しいモデルの核となる部分は、SBTV01と呼ばれるまったく新しい自社製ムーブメントである。数年間の開発と、CronotempVというコレクターグループのための、SB06-12のサブスクリプションシリーズを経て誕生したSBTV01は、約96時間パワーリザーブ、2万1600振動/時で時を刻む手巻きムーブメントだ。豪華なフライングトゥールビヨンを持つSBTV01は、サファイア製ブリッジ、カスタマイズ可能なセンターギヨシェプレート、繊細な手仕上げを特徴としている。SB06-24を希望する人は、時針が文字盤を1周するのに必要な時間を2倍(24時間表示)にする歯車が追加されたムーブメントを用意している。時間の読み方が知りたい? 太陽の時針は昼間の時間を、月の時針は夜間の時間を示す。分の読み方は通常どおりだ。
単純なレイアウトではないかもしれないが、24時間を管理するには楽しくておもしろい方法である。ダイバーズライクな時刻表示を求めるなら、SB06-24のような時計を扱うにはまだ早いだろう。
文字盤も大幅にカスタマイズ可能で、いまお見せしている写真では、(上の写真のように)アウタースケールのアベンチュリンやセンターダイヤルに正確な月を配置するオプションなど、従来の枠にとらわれない幅広い選択肢を紹介している。ケースと同じように、文字盤はコンブレマイン(Comblemine)社のギヨシェ、グロウ&リップ(Groh&Ripp)社のストーンワークなど、高級時計製造で知られる要素によってつくられている。
腕時計のカスタマイズ要素(つまり、考えられる限りあなたが望むものは何でも)に合わせて作られたストラップにも同じフォーマットが継承され、その作業はスカーレットパリ(Scarlett Paris)社によって行われる。
高級時計コレクターによって始まった、大部分がカスタマイズ可能な自社製フライングトゥールビヨンであるため、これはサルトリー・ビラールの最も身近なエントリーモデルというわけではない。価格はSB06-12が8万8000ユーロ(日本円で約1405万円)から、SB06-24が9万6000ユーロ(日本円で約1535万円)からとなっている(ともに消費税は別)。繰り返しになるが、同アイデアは独自のフライングトゥールビヨンムーブメントを実現するためにハイレベルなスペシャリストたちが結集した、ハイエンドなカスタマイズウォッチである。先ほどの文章からは、安っぽさはまったく感じられない。ただとてもクールだ。
我々の考え
実機(と僕の手首)がすべての世界では、サルトリー・ビラールのようなブランドに興奮しないわけがない。時計は美しく、幅広いカスタマイズが可能で、多くの裕福なコレクターのブラックブックから抜粋したメーカーリストによって製造されている。ビラールのサンプルを試着するために、手首からボロボロの16570を外さなければならなかったので、いつもの自身のスタイルとは程遠い。しかし、第1世代と第2世代のマイクロブランドに歯を食いしばってきた者にとって、その哲学は似ている。コレクターと話をして、彼らが大手メーカーや制約の多いメーカーから得られないものをカスタマイズし、特別感にあふれ個人的(とまではいかなくても)だと感じられる1本をつくるのだ。
ムーブメントの視界を広げるためにサファイア製ブリッジを使用するなどシースルーバックは特別なものであり、このような時計に求められるものである。ああ、それと上のブリッジに施せるテキストはすべて自由で、名前、日付、内輪ネタ、好きな言葉など、あなた自身でカスタマイズができる。
そして、それこそこのような時計にとって重要なことだと思う。何を作るにしても、ブランドがこのような価格帯で時計を展開する場合、市場はある程度限られ、コレクターは10万ドルを使うほかの選択肢を持っている(奇妙なことに彼らは多くの選択肢を持っている)と考えなければならない。そのため既存のプレイヤーからは得られないものを提供しなければならないのだ。サルトリー・ビラールのようなオプションがあれば、パテックやジュルヌを買い求める多くの人々にはない、オーナーの好みを反映できる高級時計製造(それと付随するものすべて)を楽しむことができる。
僕はそのような製品のクライアントではないが、そこにいる熱狂的なファンと直接つながることで、カジュアルではない価値を見出す小規模ブランドの存在を楽しむタイプであることに変わりはない。僕の世界のなかではハリオス、レイヴン、アウトドローモ、ロリエ、ヴェルテクスといったところか。ポートフォリオにゼロがいくつかあるコレクター、および購買力に伴う蓄積された経験にとって、サルトリー・ビラールとその同世代のブランドは、商業的ではなくより具体的なものを提供してくれる。
とても素晴らしい製品であり、実際に見ても、とても楽しい時計だった。
基本情報
ブランド: サルトリー・ビラール(Sartory Billard)
モデル名: SB06-12(12時間表示)、SB06-24(24時間表示)
直径: 41mm
厚さ: 9.5mm
ラグからラグまで: 47mm
ケース素材: チタン、スティール、ゴールド、プラチナ、タンタルなど(ヴティライネン&カタン社製)
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: オーナーの要望とサイズに合わせたストラップ(スカーレットパリ社製)
ムーブメント情報
キャリバー: SBTV01
機能: 時・分、フライングトゥールビヨン
直径: 32.6mm
パワーリザーブ: 約96時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 19
追加情報: 12時間または24時間のレイアウトが可能
価格 & 発売時期
価格: SB06-12のチタン、スティール製は8万8000ユーロ(日本円で約1405万円+消費税)、SB06-24のチタン、スティール、ゴールド、プラチナ製は9万6000ユーロ(日本円で約1535万円+消費税)
限定: どちらも年産24本
詳しくはこちらをご覧ください。
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