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クイック解説
PlayStation用ソフトウェア『グランツーリスモ』シリーズは1997年のデビュー以来、25年以上にわたってリアルさを追求し続けてきたリアルドライビングシミュレーターです。現実と見分けがつかないほどリアルなグラフィックス、サウンド、そして挙動から世界中で愛されるタイトルで、シリーズ累計の全世界売上本数はなんと9000万本を超えます(2022年11月16日時点)。『グランツーリスモ』はeモータースポーツ大会も数多く常に開催されており、毎年行われる公式の世界選手権や国体・文化プログラムでの国内大会をはじめ企業対抗戦なども開催されています。
昨年発売された『グランツーリスモ』(PlayStation®5/PlayStation®4用ソフト)は、同タイトルの生みの親であり、ポリフォニー・デジタル代表取締役プレジデントの山内一典氏が「シリーズ原点での完成形」と述べるシリーズ最新作。
また、『グランツーリスモ』は世界中から選抜されたゲームのトッププレーヤーに本物のプロフェッショナルレースドライバーになるチャンスを与える「GTアカデミー by 日産×プレイステーション®」(今年公開された映画『グランツーリスモ』でその様子が描かれています)や自動車メーカーとコンセプトカーを制作し、ゲーム内や時に現実世界でも実走可能なレーシングマシンを登場させる「ビジョン グランツーリスモ」(以下VGT)など、数々のユニークなプロジェクトでも注目を集めています。
そんな『グランツーリスモ』の新たな試みとして、特別なコラボレーションウォッチがバルセロナで開催される『グランツーリスモ ワールドシリーズ(グランツーリスモ公式の世界規模のチャンピオンシップ)ワールドファイナル2023』の会場で発表されました。タッグを組んだのはイタリアのラグジュアリーメゾン、ブルガリ。登場したのは、2本のブルガリ アルミニウム グランツーリスモ限定モデルです。
左からアンスラサイトダイヤルのRef.103893とイエローダイヤルのRef.104006。
「ブルガリ アルミニウム」は、自動車産業から着想を得たアルミニウムとラバー素材の組み合わせを取り入れ、ブルガリらしいグラフィックラインを取り入れた斬新な時計として1998年に発表されたコレクションです。本作は、新ムーブメントを搭載したブルガリ アルミニウム クロノグラフをベースに往年の伝説的なイタリアン・グランツーリスモカーのダッシュボードにインスピレーションを得た、鮮やかなイエローをキーカラーとし、それぞれ縦に筋目の入ったアンスラサイトダイヤルを備えた1200本限定のRef.103893とブラックのサブダイヤルを備えたイエローダイヤルで500本限定のRef.104006がラインナップされています。
イエローダイヤルは1990年代の伝説的なイタリアのグランツーリスモ・カーのダッシュボードから着想を得たもの。
時分針や積算計を含むクロノグラフ針の形状や同心円状に溝の入ったサブダイヤルのデザインは共通ですが、ダイヤル上のインデックスに採用されているタイプフェイスは本モデルのためにイチからデザインされたものです(アップデート: 数字はグランツーリスモで採用されているものとのこと!)。カラーリングと書体デザインやタキメータースケールなどの違いでここまで表現が変わるのかと驚かされます。
自動巻きのアルミニウムモデルとしては初となるタキメータースケールが採用されており(意外かもしれませんが、以前に登場したブルガリとドゥカティのアルミニウムウォッチにもありませんでした)、スピードを追求する『グランツーリスモ』とのコラボレーションに相応しい仕様です。
なお、『グランツーリスモ』とわかる内容は文字盤側には一切なく、ブラックのDLCが施されたチタン製のケースバックにのみ表示されています。上からブルガリのロゴ、そしてビジョン グランツーリスモのロゴと“10TH ANNIVERSARY”の刻印が施されています。本作は2013年に始まった『ビジョン グランツーリスモ』の10周年を記念し、称えるモデルなのです。
勘の鋭い方、『グランツーリスモ』ファンの方はもうお気づきですよね? そう、それはつまりこのコラボレーションが腕時計だけに留まらないということを意味します。バルセロナ会場での発表内容には、コンセプトカー『ブルガリ アルミニウム ビジョン グランツーリスモ』も含まれていました。
ワールドファイナルが開催されているバルセロナの会場にはフルサイズモデルの展示も。Gran Turismo 7: © 2023 Sony Interactive Entertainment Inc. Developed by Polyphony Digital Inc.
Gran Turismo 7: © 2023 Sony Interactive Entertainment Inc. Developed by Polyphony Digital Inc.
Gran Turismo 7: © 2023 Sony Interactive Entertainment Inc. Developed by Polyphony Digital Inc.
ブルガリ アルミニウム VGTには、ブルガリ アルミニウム グランツーリスモ 限定モデルの素材やデザイン要素が反映されています。ボディにはサテン仕上げのアルミニウム、ボディ下部とテクニカルセクションにはカーボン、そして露出部分を保護するためにブラックラバーが使用され、アルミニウムウォッチの軽やかさと耐久性を兼ね備えています。コックピットとホイールのデザインを形成するラインもアルミニウムのストレートとラウンドで構成されたケースシェイプやビス留めされた関節式ブレスレットから取り入れられたものです。
コックピット内部は、アルミニウム、ブラックラバー、アンスラサイト色のアルカンターラが使用され、アクセントにイエローが取り入れられていることにより、エレガントでありながらダイナミックな内装が実現されています。
『ブルガリ アルミニウム グランツーリスモ 限定モデル』を連想させるダッシュボード。Gran Turismo 7: © 2023 Sony Interactive Entertainment Inc. Developed by Polyphony Digital Inc.
ダッシュボードクロックのベゼル、12時と6時のみアラビア数字のダイヤルや針のデザインなどは実際の3針のアルミニウムウォッチと共通だ。
Gran Turismo 7: © 2023 Sony Interactive Entertainment Inc. Developed by Polyphony Digital Inc.
Gran Turismo 7: © 2023 Sony Interactive Entertainment Inc. Developed by Polyphony Digital Inc.
腕時計とコンセプトカー、両方のデザインを手掛けたのはもちろん、ブルガリ ウォッチ デザイン センター シニア・ディレクターのファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ氏です。同氏は、国立デザイン大学ローマ校を卒業後、1998年にフィアットに入社し、2005年に自身のデザインスタジオを設立するまではフィアット・スタイル・センターでカーデザイナーを務めていた経験があります。ファブリツィオ氏のInstagramアカウントでペンと紙を使って時計だけでなく車のデザインを描く同氏の様子がよく投稿されているように今もかつてと変わらない非常に高い情熱が車へも注がれていることがわかります(ランボルギーニ・ミウラやフェラーリ・F40などの素晴らしいスケッチは必見です)。本作はそんなファブリツィオ氏でなければ、またコラボレーションに柔軟なブルガリでなければ実現できなかったプロジェクトなのです。
Gran Turismo 7: © 2023 Sony Interactive Entertainment Inc. Developed by Polyphony Digital Inc.
「ブルガリ アルミニウム グランツーリスモ 限定モデル」購入者は『グランツーリスモ7』上で試乗できるコンセプトカー「ブルガリ アルミニウム VGT」を、後日行われるソフトウェアアップデートにより先行入手することが可能です。
ブルガリ アルミニウム グランツーリスモ 限定モデルは、アンスラサイトダイヤルのRef.103893は1200本限定、イエローダイヤルのRef.103893は500本限定で、どちらも69万3000円(税込)。なお、ブルガリの公式サイトにて、いちはやく24時間限定の購入応募が開始されます。特設サイトはこちらからアクセスできます。
ファースト・インプレッション
『グランツーリスモ』は、個人的にも大好きなゲームシリーズのひとつです。ゲームよりも腕時計に熱中するようになって、最近はゲーム自体をあまりやらなくなりましたが、『グランツーリスモ』シリーズはニュルブルクリンクが追加された『グランツーリスモ4』からプレイし始めて一時期は時間を忘れてプレイしたタイトルです。海外に移住した高校時代も、現地に持って行ったPSP「プレイステーション・ポータブル」用の『グランツーリスモ』でミッションチャレンジをやり込んだり、友人たちと通信対戦をしたのを思い出します。新作がアナウンスされたときは、例えそのときに対応ハードを所有していなかったとしても必ず新作発表を見るくらい僕をワクワクさせてくれる存在です。
ブルガリのファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ氏とポリフォニー・デジタルの山内 一典氏。
ゲームのなかでオフィシャルタイムキーパーとして名を連ねる時計ブランドのロゴを見かけることはありましたが、まさか腕時計がリリースされるとは思いませんでしたし、それが起点となってVGTのコンセプトカーまで誕生するなんて夢にも思いませんでした。今回、僕は新作発表会のスクリーンで見てきた山内氏に発表に先駆けて、直接このコラボレーションについて伺う機会を得ました。
Gran Turismo 7: © 2023 Sony Interactive Entertainment Inc. Developed by Polyphony Digital Inc.
Gran Turismo 7: © 2023 Sony Interactive Entertainment Inc. Developed by Polyphony Digital Inc.
ブルガリとグランツーリスモのコラボレーションは実現したものを見ると、なるほどと納得する素晴らしいものですがそもそもきっかけは何だったのでしょうか。ファブリツィオ氏は普段からソニーのカメラRX1RM2を愛用していたり、ブルガリ オクト フィニッシモでも様々な日本人のアーティストや建築家たちとコラボレーションしている親日家なので、今回もそうした出発点だったのだろうと僕は想像していましたがそうではありませんでした。
「カーデザイナーのファビオ・フィリッピーニ氏がきっかけなんです。2017年にフィッティパルディ EF7 ビジョン グランツーリスモ by ピニンファリーナを発表したのですが、当時デザインディレクターとして在籍していたファビオ氏がデザインしました。その彼が『カーブ:カーデザインにおける15の教訓』(CURVE – 15 Lezioni sul Car Design)という本を出版したんですよ」と山内氏。「ファブリツィオ氏がその本をたまたま手に取ってすごく気に入って、ファビオ氏にコンタクトを取った。それからふたりで盛り上がって生まれた企画がブルガリのVGTだったんですね。もしブルガリと作るならちょうど10周年だし、VGTを作るだけでなく腕時計も作ろうとなったんです」
完成したコンセプトカー「ブルガリ アルミニウム VGT」について山内氏は「プロポーションが素晴らしいですね。いろんなものの比率が本当にパーフェクト。直線と円弧だけで構成するという割り切りも自動車デザインとして新しいし、かつ70年代のイタリアデザインのような、今の車にはもう中々ない美しさというか。それが盛り込まれているのが僕もすごく気に入っているポイントなんです」
直線と円弧だけで構成するというコンセプトについてファブリツィオ氏は「ウォッチはもちろん、グランツーリスモ上で運転ができる車もコラボレートして作る上で、デザインや設計上においてアルミニウムとの一貫性がある車でなければいけないという明確な希望を出しました。最もアイコニックな70年代のイタリア車に着想を得てファビオとお互いにスケッチを送りあいました。」と語ります。
山内氏はアルミニウムウォッチをベースとしたデザインについて「直線と円弧だけで構成するというのは車のデザインにおいては非常に難しいことです。車というのは立体なので、ある面と別の面を繋ぐときに三次元曲面のようなものが出てしまうのが当たり前なのです。大抵の車はデッドアングルがあるんですけど、この車にはない気がします。それが出てこないように面を構成していくのは簡単ではありません。なおかつ格好よくないといけないわけですからね」と述べました。そして 「このブルガリ アルミニウム VGTは結構小さいんです。サイズ感でいうとボクサーとかケイマンぐらいのサイズ感。でもそれがこのデザインだと格好いいんです」と付け加えた。
Gran Turismo 7: © 2023 Sony Interactive Entertainment Inc. Developed by Polyphony Digital Inc.
中国・上海国際サーキットでのリストショット。もし手に入れることができたら鈴鹿サーキットかイタリアのモンツァに連れていきたいところ。
直線と円弧だけでデザインするという難しさについて僕は、これもファブリツィオ氏だからこそ作り上げることができたものなのではないかと思いました。なぜならブルガリを代表するもうひとつのウォッチデザイン、オクト フィニッシモやオクト ローマを内包するオクトコレクションも基本的にそのふたつの要素で構成されているからです。ファブリツィオ氏が、オクト誕生から10年余でアイコニックな存在に押し上げてきたことを考えるとそう思わずにはいられません。
ブルガリ アルミニウムウオッチについて山内氏にも伺いました。「時計のデザインってやっぱりすごく難しいなと思います。結局のところ美しい形というのはそんなに多くないんですよね。アルミニウムという時計は、その数少ない時計の美しい形のひとつ、マスターピースなのでそういう意味でコラボレーションにはすごく安心感がありました」。
僕が今回のコラボレーションの核心にあると感じたのは、時と運命の不思議な一致です。初代『グランツーリスモ』が世界にその名を馳せたのは1997年のこと。わずか1年後の1998年には、ブルガリがその革新的なブルガリ アルミニウムを発表しました。同じく1998年、これはまた、若き才能溢れるファブリツィオ氏がフィアットへのキャリアをスタートさせた年でもあります。時の流れのなかでこれらのできごとが最終的に今回のコラボレーションへと続く道を自然と形成したというのは、まさに運命のいたずらとも言えるような気がします。
腕時計と自動車のコラボレーションはこの業界ではよくあるものかもしれません。ですが、このブルガリと『グランツーリスモ』のコラボレーションは、腕時計と自動車デザインが真の意味でクロスオーバーし、さらにバーチャルとリアルをつなげたもの。これまでにない創造的な試みが具現化された革新的なアートワークなのです。
最後にグランツーリスモシリーズのファンであり時計愛好家として、インタビューの最後にこんな質問を投げかけてみました。「ブルガリ アルミニウム VGTのドライバーの手首に今回のコラボレーションウォッチは登場しますか? コックピットビューで腕が映るのでいつも気になっていたんです」。山内氏は笑いながら「今回はないんです。今後の宿題にさせてください」と締めくくりました。
基本情報
ブランド: ブルガリ(Bulgari)
モデル名: アルミニウム グランツーリスモ 限定モデル(Aluminium Gran Turismo Limited Edition)
型番: Ref.103893(アンスラサイトダイヤル)、Ref.104006(イエローダイヤル)
直径: 41mm
厚さ: 11.1mm
ケース素材: アルミニウム製ケース、ブラックのラバー製ベゼル
文字盤色: アンスラサイトまたはイエロー
インデックス: バーインデックス、12時のみアラビア数字インデックス
夜光: あり、スーパールミノバが塗布された針、タキメータースケール
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: ブラックのラバーストラップ、アルミニウム製リンクとピンバックルつき
追加情報: ビジョン グランツーリスモ誕生10周年の「10」の数字が入ったアルミニウムケース入り
ムーブメント情報
キャリバー: B381
機構: 時・分・センターセコンド、4時30分位置位置に日付表示、クロノグラフ(6時位置に12時間積算計、9時位置に30分積算計)
直径: 30mm
厚さ: 6.9mm
パワーリザーブ: 約42時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 37
クロノメーター認定: なし
価格 & 発売時期
価格: 69万3000円(税込)
限定:あり、Ref.103893(アンスラサイトダイヤル)1200本、Ref.104006(イエローダイヤル)500本
詳細は、ブルガリ公式サイトへ。
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