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Steal Vs. Splurge あまり馴染みのないブレスレット一体型ステンレススティールウォッチ

でも実はどちらも超有名な“あの時計たち”に比べれば、非常にお買い得である。

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ステンレススティール製のブレスレット一体型スポーツウォッチは、特定のブランドに限ったものではないことを忘れてしまいがちである。どのメーカーでも作れるし、実際に多くのメーカーが作っている。ただし、そのなかにはデザインへの思い入れがあまりにも強く、このカテゴリーの代名詞と見なされているものがある。ロイヤル オークはオーデマ ピゲを代表する時計となっているが、多かれ少なかれパテック フィリップのノーチラスについても同じことが言えるだろう。特に最近この時計が絶えずメディアの注目を集めていることを考えるとなおさらだ。これらがこの種の時計としてすばらしい出来栄えであることは確だが、インスタ映えするこれらSS製の一体型ブレスレットウォッチだけでなく、大々的に宣伝されていないが同じデザインを採用している次のふたつの時計にも目を向けてみていただきたい。


お手頃なもの
Tissot PRX

時計: ティソ PRX(税込5万5000円)

この時計がクールな理由: SS製のブレスレット一体型スポーツウォッチが、なぜ人気があるのだろうか? そもそもブレスレットとケースが最初から一体として機能するよう設計されているため、快適に装着できる。ドレスウォッチよりもタフでありながら、同様の洗練された雰囲気がある。ダイバーズウォッチではないがスポーティでもあり、驚くほど多用途に使える。日常使いに最高のデザインだ。

 そしてそれこそがティソのPRXの最高の魅力である。サイズは幅40mm、厚さ10.4mmと、まさに完璧だ。これはつけてしっくりくる時計のひとつである。少なくとも私の7.5inch(約19cm)の手首にはぴったりだ。ラグとブレスレットが一体化したデザインには思い切った下向きのアングルが採用されており、手首の細い人でも着けやすくなっている。

TIssot PRX
TIssot PRX

 つけ心地には個人差がある。それは見えるものではないが、この時計で見られるのは一連のブラッシュ仕上げとポリッシュ仕上げが施された表面で、これにより実際よりもずっと高価に見える。ケース最大のファセットには金属の“目(グレイン)”を生かしたブラッシュ仕上げが施され、ケースの面取りやブレスレットのリンクの内側に施されたポリッシュ仕上げとマッチしている。

 見た目のユニークさはケースだけにとどまらない。ダイヤルにはブルー、ブラック、シルバーの3種類のオプションがあり、いずれも上品でありながらカジュアルな個性を主張している。スーパールミノバが施された針、アワーマーカー、そして3時位置の日付にとって、それらは完璧な背景となっている。

Tissot PRX watch

価格が手頃な理由: ここでは高級時計の話をしているわけではない。ティソのPRXにはETAのF06.115 クォーツムーブメントが搭載されている。それがこの時計を5万5000円という低い価格に収めた理由である。それはやるべきことを果たし、決して落胆させることなく安定した時を刻むシンプルで確実に信頼できるスイス製クォーツムーブメントである。確かにバッテリー交換は必要であるが、寿命を表示するインジケーターが付いているので交換時期を知ることができる。

 PRXは紛れもなく手頃な価格であり、大々的な宣伝に屈することなく、それでもSS製のブレスレット一体型を手に入れたいと思わせる魅力がある。PRXを身につけるということは、現在の時計業界のトレンドを認めながらも派手な宣伝には屈しないということなのだ。それが本当にカッコいいスタイル(steez)というものだ。

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贅沢なもの
SS/Integrated bracelet watch

時計: ショパール アルパイン イーグル(税込165万円)

この時計がクールな理由: アルパイン イーグルはショパールが1970年代に発表したサンモリッツコレクションの現代版である。ジョン・ビューズ(Jon Bues)が言うように、サンモリッツの時計は 「ダイビングや飛行、ドライブのためではなく、良い生活をしながらもカッコよく見えるようにオーダーメイドされた 」ものだった。サンモリッツについて言えば、強い所有意識と鋭い視点が存在する。それはたったひとつ、すなわち「よい人生を送ることへの賛美」に尽きる。それはシガーやヴーヴ・クリコのシャンパン、そしてリーヴァ・アクアラマ(イタリア製ボート)でコモ湖をクルージングする午後によく似合う時計なのだ。

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 サンモリッツのおかげでアルパイン イーグルには歴史的なクールさがすでに組み込まれている。確かにそれはベゼル上に完璧に整列したネジ(実際にはネジではない)やノーチラスを想起させるケースの左右対称の突起など、ロイヤル オークで普及したデザイン要素を備えているが、これらはこのクラスの時計全体のベンチマークとなる要素になっている。SS製のブレスレット一体型スポーツウォッチのほとんどは70年代に誕生したデザインから何らかの形で派生したものである。あまり変わり映えしないが、もしベゼルのネジが完璧に整った薄型ケースをお望みなら、ほかの人と同じものは避けてロイヤル オークやノーチラス以外のものを入手することもまた一興であろう。

高価な理由: この時計はケースとブレスレットにルーセント スティール A223という新しい独自の合金を採用した。一部リサイクルされたSSが使用されているだけでなく、標準的なSSよりも50%耐食性に優れている。また、ゴールドモデルやダイヤモンドを使ったモデルもいくつかある。そうしたものなしには優雅な生活とは言い難いからであろう。またベーシックなSSモデルにはブルーまたはグレーのダイヤルが用意されている。

Chopard Alpine Eagle

 41mmバージョンには自社製のCal.01.01-Cが搭載されており、コストを考える際に指摘しやすい点である。新しいキャリバーを作るのは、たとえ既存の設計やデザインを取り入れたとしても決して安くはなく、エンジニアリング、設備、そして生産に非常に大きなコストがかかる。

 しかし、どんな高級時計においても製造コストと小売価格の対比の観点から見るのは的外れである。これはあらゆる超高級品に当てはまり、近年におけるSS製のブレスレット一体型スポーツウォッチはその恰好の例である。それはラグジュアリーな生活を送りながら、カッコよく見せるために作られた高級時計だから高価なのだ。この時計の背景にある理由は多かれ少なかれ“フレックス(選択的)”と表現できるだろう。それは成功のシンボルとして持ちたいもの、もし自分がそうした立場にあるなら人生でより上等なものをただ楽しめばいいのだと思い起こさせてくれるものであり、それは何も悪いことではない。高級感というのはある程度価格と結びつく場合もあり、価格設定もそれを考慮に入れていることは確かである。もし価格が大幅に低かったら市場からは同じようには受け止められないだろう。それに買う余裕があるのだから、せっかくなら楽しんだらどうだろう? それこそがアルパイン イーグルやその前のサンモリッツの真骨頂である。いい暮らしに感謝し、いい格好を楽しもう。

Chopard Alpine Eagle

決断の仕方

 この場合、どちらかひとつに決めなければならないということではないだろう。ここでの条件(決定木)は必ずしも二者択一の結果を導くものではない。アルパイン イーグルを買う余裕があるなら、PRXも買って高級なアルパイン イーグルを危険にさらしたくないときにそれをしばらくのあいだ身につければいい。それに飽きたら、PRXを初心者の時計愛好家に譲り、彼らの情熱の炎を燃やす助けにしてもいい。もしあなたがSS製のブレスレット一体型スポーツウォッチには引かれるが、アルパイン イーグルを購入できる立場ではないというのであれば、PRXはわずかな価格でもたくさんの楽しみを提供してくれるはずだ。かつて難破船から発見されたヴーヴ・クリコのボトルが2011年に4万3900ドル(約500万円)で落札された。近所の安売りワインショップのプロセッコのボトルなら10ドル(約1100円)ちょっとで済む。どちらにしても数杯飲めば、いい酔い心地になれることに変わりはないだろう。

PRXの詳細はティソ公式サイト、アルパイン イーグルの詳細はショパール公式サイトへ。