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How They Made It ショパール フルストライク L.U.C. ‘Día De Los Muertos(ディア・デ・ロス・ムエルトス)’ ミニッツリピーターが奏でる来世の魅惑的な音楽

世界で最も尊敬されているミニッツリピーターが、「死者の日」のための音楽を奏でる。


どんなミニッツリピーターであれ、“How They Made It”のストーリーを書くのはおもしろい仕事だ。なぜならミニッツリピーターを作るのは簡単なことではないから。それは何百年も前から言われていることであり、今でもそうだ。この複雑機構は“オンデマンド”で時刻を告げる。つまり、あなたはケース内のスライドを押したり、プッシャーを押したりして、時刻を“要求”するのだ。

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 リピーターは2つのゴングで時刻を知らせるが、一方のゴングはもう一方のゴングよりも低くチューニングされている。まず低いチューニングのゴングで時間が打ち出される。その後、毎正時から15分経過した数が両方のゴングで打ち鳴らされる。つまり4分の1時間ごとにダブルゴングがなるのだ。例えば、今が3時45分だとすると、3回のダブルストライクが聞こえる。ディンドン、ディンドン、ディンドン。最後にリピーターは直近の15分を何分過ぎたかをチャイムで知らせてくれる(最大14分まで)。

 上は、2017年のGPHGで大賞(エギーユ・ドール/金の針賞)を受賞したショパールのフル ストライク ミニッツリピーター

 この仕組みは、時計製造における最もすばらしい技術のひとつだ。リピーターはダイヤルの下にあるスネイルとラック(実際に針を動かすギアが配置されている場所)のシステムを介して、文字どおり針の位置を感じ取ることで作動する。その情報は機械的に1時間、4分の1時間、そして分のためのハンマーストライクの数に変換されるのだ。

 ショパールのフル ストライクは新世代ミニッツリピーターのひとつで、従来のリピーターの構造を見直し、性能を向上させる新たなソリューションを追求している。リピーターは基本的にミニチュアの楽器を作っているようなものなので、作るのが難しい。トーンやテンポの点で優れた音質が求められるが、音量も十分に必要なのだ(ほとんど音が聞こえないような腕時計のリピーターを聞いたことがあるが、これは目的に反している)。音の明瞭さも求められる。

The skull-motif dial of the Chopard LUC Full Strike Dio De Los Muertos Minute Repeater

 2017年にGPHGで大賞を受賞したショパールのフル ストライクは非常に珍しい打刻方式を採用している。ほとんどのリピーターは硬化加工したスティール製のゴングとハンマーを備えており、ゴングはムーブメントの裏側に取り付けられている。そしてムーブメントに取り付けられたスティールブロックにネジで固定されているのだ。このシステムではすばらしい音を得ることができるが、物理的には少し不利だ。特にチャイムを鳴らすときに時計が手首にある場合は。音はムーブメント、ダイヤル、風防を通ってケースの外に出なければならず、さらにケースサイドを通って横方向にも出ていくため、どうしてもエネルギーロスが生まれる。

 ショパールの解決策は(ほかのいくつかの最新リピーターも採用しているが)ゴングとハンマーが時計のダイヤル側にくるようにシステム全体を反転させるというものだ。さらにゴングはスティールではなく合成サファイアで、時計の風防と一体化している。その結果、驚異的な音量と不気味なほど透明感のあるすばらしい音色をもつリピーターが誕生したのだ。さらに時計を外さなくてもリピーター機構の動きを見ることができるという利点もある。フル ストライクは、リピーター機構が動力を得る方法にも特徴がある。通常ミニッツリピーターでは、スライドを押すと動力のための香箱とは別の小さな香箱が巻き上げられ、リピーターの動力源となる。フル ストライクにも副香箱があるがリューズから直接巻けるのだ。これはグラン・ソヌリの時計によく見られるシステムだ。これによって時計はリピーター機構が12時59分を知らせる(リピーターが打てる最大数である12回の打刻)のに十分なパワーリザーブを備えるのだ。

Movement side of the Chopard Full Strike Dio De Los Muertos Minute Repeater

ショパール LU.C. フル ストライク ミニッツリピーターのハンマーとゴングは一般的なミニッツリピーターとは異なり、時計のダイヤル側に配置されている。

Engraved case flank of the How They Made It: The Chopard LUC Full Strike Dio De Los Muertos Minute Repeater

 フル ストライク ‘Día De Los Muertos(ディア・デ・ロス・ムエルトス)’は、ショパールが死者の日(Día De Los Muertos)として知られる祝日を記念して製作したユニークなモデルだ。死者の日は追悼の休日だが、同時に祝賀の祝日でもある。亡くなった愛すべき人たちの人生が、しばしば強いユーモアを交えて回想されるからだ。このリピーターには、そのようなユーモアが反映されている。デザインモチーフは、死者の日のお祝いには欠かせないカラベラ(ドクロ) だ。

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 この時計は、いくつかの工程を経て組み立てられている。ケースはショパールのエシカル・ゴールド・サプライチェーンを通じて調達された18Kホワイトゴールド製で、ケースサイドにはカラベラ、様式化されたギター、花のデザインなど「死者の日」にちなんだモチーフが非常に精巧にエングレービングされている。エングレーブは非常に複雑でラグにも施される。もちろんリューズにもカラベラが描かれている。

Repeater mechanism, How They Made It: The Chopard LUC Full Strike Dio De Los Muertos Minute Repeater

リピーター機構:左上に2つのハンマーがあり、その右には時間、4分の1時間、分を表示するラックがある。右端にあるヒトデ型の歯車はミニッツスネイルで、それぞれのアームは14段になっている。

Repeater mechanism superimposed on the going train of the How They Made It: The Chopard LUC Full Strike Dio De Los Muertos Minute Repeater

リピーター機構を輪列に重ねたもの(左下がテンプ)。

 時計の組み立てでは、まずリピーター用のムーブメントを組み立て、次にケーシングを行う。もちろん、それぞれの部品がほかの部品と完全な相互作動をしなければならないため、これは高度な時計製造におけるまったく独立した作業となる。リピーターやグラン・ソヌリは、実際にすべてのチャイムを鳴らし、チャイムと針の位置が正確に一致していることを確認してテストしなければならない。通常は針を12時59分に合わせてからリピーター機構を作動させる。正確には1時間が12回、4分の1が3回、そして1分が14回打たれるはずだ。

Repeater mechanism, assembled into the movement, dial side.

ムーブメントに組み込まれたリピーター機構。

 フル ストライク ‘ディア・デ・ロス・ムエルトス’の場合、ダイヤルにはリピーターの要素がカラベラの一部として組み込まれている。カラベラのダイヤルは、シャンルベ・エナメルという技法でエングレービングが施されている。この技法では、色のついた媒体(この場合はブルーラッカー)を受け入れるために、深い窪みが作られる。ダイヤルを時計の上に置くと、ゴングを作動させるシステムが頭蓋骨の2つの目のうちの1つを形成し、パワーリザーブ表示がもう1つの目を形成する。よく見るとパワーリザーブには2本の針が重なっているのがわかる。1本は輪列のパワーリザーブを示し、もう1本はリピーターのパワーリザーブを示している。遠心調速機は、スカルの歯の見える笑みの一方にあり、リピーター作動中に回転すると、スカルが印象的な口ひげの片方を動かしているかのように見える。

Placing the calavera skull dial on the movement
The watch crystal and sapphire crystal gongs

サファイアクリスタルにサファイアのゴングを装着

Assembling the caseback onto the cased watch

時計にケースバックを取り付ける

 最後のステップはダイヤルを配置することだ。ダイヤル下側にはゴングが付いている。ゴングは透明なサファイアなのでほとんど見えないが、リピーターが作動したときにははっきりと音が聞こえる。

Placing the power reserve hand, which acts as one of the eyes of the calavera skull dial

パワーリザーブ針の配置

 ミニッツリピーターは技術的に難しい複雑機構であり、非常に伝統的なものだ。最初にこの時計の話を聞いたとき、私はかなり懐疑的だった。結局のところ、鮮やかなカラベラは古典主義者が選ぶようなリピーターの複雑機構ではない。しかし、なぜか全体的にうまく機能しているようなのだ。ショパールのリピーターはフル ストライクと呼ばれる非常に社交的なものだ。それを特にドクロの顔を使って、人生を少しでも楽しむことが重要であると思い出させるものにするとは奥が深い。

Styled studio photo, dial side of the How They Made It: The Chopard LUC Full Strike Dio De Los Muertos Minute Repeater
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ショパール  LU.C. フル ストライク  ‘Dia De Los Muertos(ディア・デ・ロス・ムエルトス)’ ミニッツリピーター, ユニークピース:ケース、エシカル18Kホワイトゴールド、42.50mm×11.55mm、ホワイトゴールド製リューズ。ケースサイドに「死者の日」にインスパイアされたモチーフを手彫り。ベゼル上部にバゲットカットのサファイアを配置。

ムーブメント:手巻き Cal.LUC 09.01-L、部品点数533個、37.20mm×7.97mm、時計の風防と一体化した2つのクリスタルゴングでチャイムを鳴らすミニッツリピーター、パワーリザーブインジケーター。地板とブリッジは無処理のジャーマンシルバー、60時間パワーリザーブ。可変慣性フリースプリングテンプ。

ムーブメントのセキュリティ機構:ストライキング時にはリューズとリピータープッシャーの両方が解除。エネルギーをセーブするためにリピーター・ラックが所定の位置に下がるまで、リピーター・レギュレーターは回転を開始しない。さらにパワーリザーブが不足している場合はブロック機構が作動し、リピーターが不完全なストライクをしないようになっている。

ムーブメントにはジュネーブシール。

このモデルは唯一のもので、ショパールのブティックで展示される予定。価格は要問い合わせ。

ショパールの時計の詳細については、同社のウェブサイトをご覧ください。