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Watching Movies ジミー・スチュワート 『裏窓』でティソのフィールドウォッチを室内で着用

そしてそれは、その小さな時計にとって最も試練に満ちた経験かもしれない。

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フランソワ・トリュフォーは、アイコニックな映画監督となってフランスのヌーヴェルヴァーグの先頭に立つ前は、作家であり映画評論家だった。彼はまた、アルフレッド・ヒッチコックを早くから敬愛し、崇拝していた。のちにトリュフォーは、"サスペンスの巨匠 "ヒッチコックとのインタビューをまとめた『ヒッチコック/トリュフォー』を出版し、ヒッチコックのカメラの裏側のキャリアを詳細に紹介した。

 今日はヒッチコックの名作『裏窓(Rear Window)』(1954年)を再訪しよう。この作品を要約するのに、67年前にトリュフォーが批評した以上の方法はない。「『裏窓』は軽率さについての映画であり、侵害され不意を突かれた最も惨めな瞬間のセックスについての映画であり、幸福の不可能性についてや、中庭で洗濯される汚れたリネンについての映画だ。そしてこれは道徳的な孤独についての映画であり、日常生活と破れた夢の並外れたシンフォニーである」。付け加えれば、ジミー・スチュワート演じる主人公が、ある無骨で保守的なスイス製の時計を身につけている映画でもある。

L.B.ジェフリーズ(ジェームズ・スチュワート)は、『裏窓』のなかで容疑者を正面からとらえる。Photo courtesy Universal Pictures


注目する理由

 HODINKEEのGreat Outdoors Weekも終わりを迎えたが、あるものが終われば別のものが始まる。今は10月で、ハロウィン(おばけ)の季節だ。そこで今回は、外に出られない男を描いた不気味な映画をご紹介することにした。この映画では、彼の目、カメラのレンズ、そしてマンハッタンのアパートの、文字通りの裏窓を通して、すべてのアクションを見ることになる。

『裏窓』からの眺めの一例。スクリーンショット; Courtesy Universal Pictures

 スチュワートが演じるL.B.ジェフリーズは雑誌のカメラマンで、仕事中に怪我をして足にギプスをつけ、車いすに乗っている。毎日訪問する看護師は、怪我の手当てをするだけでなく背中のマッサージもしてくれる。折れた足はよいマッサージで治るものだ。不幸な怪我にもかかわらず、彼は幸運にも、気品があって美しいグレース・ケリー演じるリサ・フレモントとロマンチックな関係を築いている。何週間もビルの中庭で人間観察をしていたジェフリーズは、向かいのアパートで不正行為、あるいは殺人まで行われていると確信する。この映画はそこから始まり、閉所恐怖症になりそうなアパートでのサスペンスフルなシーンのたびに、ジェフリーズが身につける興味深い、そして今では希少となったティソを見ることができる。

ティソを身につけてカメラのレンズを覗くジェフリーズ(スチュワート)の姿が描かれた本作のヴィンテージポスター。

 多くの人にとって、ティソは時計収集の入門に最適なブランドだ。それほど高価ではなく、デザイン、製造品質、ムーブメント技術にすばらしい価値を持つ。しかし、ティソには1850年代始まる確固たる伝統があることを知らない人も多いだろう。創設から100年後、ティソの時計がヒッチコックの映画でハリウッドの伝説的俳優の腕を飾ることになるが、これはとてもクールだと思う。

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 本作中のティソは、フィールドウォッチとしての強いエネルギーを備えている(ここで最後にGreat Outdoors Weekの紹介を)。太くプリントされたアラビア数字、曲線的なケースデザイン、先端が赤いアロー型の秒針、そしてティソのロゴ(これなくしてどうやってティソだとわかるだろう?)を除いてテキストがほとんどない素晴らしい文字盤などが特徴的だ。

『裏窓』でL.B.ジェフリーズ役のスチュワートが着用したティソ。スクリーンショット;Universal Pictures

 映画に登場する時計の代表的なつけこなし例に漏れず、スチュワートはこの作品中、ずっとティソをつけたままだ。時計だけのクローズアップもある。ネタバレになるが、スチュワートが窓の縁からぶら下がり、無事に地面に着地するときにはっきりとその姿を見ることができる。1954年の時点では、こうした時計はまだ何十年も使われていないので、かなりきれいな状態であることが期待されるが、ジェフリーズの時計は明らかに使い込まれた感じで、本物のヴィンテージ感がある。撮影のために常に各地を移動する写真家にとって、よい時計は重要なアイテムだ。この時計がジェフリーズの唯一無二のものであるならば、それは十分に使われ、たくさんの旅をしてきたはずだ。この小さなティソは、500平方フィート足らずのアパートのなかで、今までで最もエキサイティングな体験をすることになるとは思ってもいなかっただろう。

クライマックスのシーンで、ジェフリーズ(スチュワート)は窓の桟に命がけでしがみつく。彼のティソを垣間見ることができる。スクリーンショット;Universal Pictures

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見るべきシーン

 ヒッチコック映画の古典的なオープニングとして、カメラがアパート内を動き観客にヒーローを紹介する。看護師のステラが毎日の診断と背中のマッサージのためにアパートに入り、ジェフリーズは車椅子に座っている。シャツを着ていないジェフリーズは、タオルをかけて腹ばいになり、ステラと体調や恋愛事情について語り始める。ジミー・スチュワートらしい語り口で話しながら、マッサージテーブルの上に腕を置いている[00:11:24]。そうすると、彼のティソの文字盤が視界に入る。目立つアラビア数字と、赤いスモールセコンドの矢印がダイヤル周囲を回り、マッサージしている時間まではっきりと見える。

スクリーンショット; Universal Pictures

 約2時間の映画の最初の30分が経過したとき、ジェフリーズは最高の覗き見をしている。太陽が沈み、雨が降るなか彼は窓の外を覗き、目の前で繰り広げられる隣人たちの生活を見ている。真夜中である。なぜそれがわかるのか? 彼の時計がそう告げているからだ。降りしきる雨音が響くなか、ジェフリーズは手首に目をやり時間を確認する。このとき[00:30:34]、午前1時55分と表示された時計がフルフレームでクローズアップされ、強烈な印象を残す。このティソは場面転換の役割も担っている。我々が時間を読み取った瞬間、カメラは黒くフェードアウトし、再び時計が午前2時34分を示すところから始まる。2つの時計のクロースアップが背中合わせ。これ以上のものはないだろう。

スクリーンショット; Universal Pictures

『裏窓』(ジェームズ・スチュワート、グレース・ケリー主演)は、アルフレッド・ヒッチコック監督作品。この作品はShowtimeでストリーミング配信されているほか、iTunesやAmazonでもレンタルされています。

Lead illustration, Andy Gottschalk

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