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A Week On The Wrist オーデマ ピゲ ロイヤル オーク 常識を覆した34mmブラックセラミックモデルを1週間レビュー

HODINKEE初レビューを担当するのは、女性と時計のメディアDimepiece創業者。今最もアツいAPをつけてマンハッタンを案内します。

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すべてはレディスの新作コーナーから始まりました。初夏のニューヨーク、カーラ・バレットと私はオーデマ ピゲ(AP)のニューヨーク本社に立ち寄り、発売前の新作を見せてもらったのです。会場では、34mmのブラックセラミック製ロイヤル オークの話題で持ちきり。"わぁ、セラミックよ!"とざわついていました。でも、私にはその理由がよくわかりませんでした。

A black ceramic Audemars Piguet watch

 確かに、私はこの界隈の新参者でした。当時私は時計に関わる女性を称えるために、ブログとインスタグラムのアカウントDimepieceを立ち上げたばかりでまだまだ勉強中の身でした。Dimepieceは、(特に女性にとって)理解が十分でないと感じていた時計の文化的側面に重点を置いていましたが、私はリファレンスナンバーを説明できるような愛好家ではなかったし、このロイヤル オークがなぜ他の時計とそんなに違うのかがよくわかっていませんでした。私は周囲の雰囲気に負けないよう熱心さを装い、腕に巻いているまだ新しいカルティエのタンク フランセーズとこのAPの新作を一瞬だけ交換して、適当に感心したような声を出して取り繕っていました。

 圧倒されることはなかったものの、重さをほとんど感じさせないことに感動した私は、自然光のなかで眺めるために(そして当然、リストショットを撮るために)窓の方へ数歩進みました。写真を撮っていると、APの担当者が“この時計は来月の発表まで「エンバーゴ(公開禁止案件)」なので、SNSに投稿しないでくださいね”と優しく注意してくれました。その正確な定義をグーグルで調べようと心に決め、おかげで、この内覧会で私に与えられた特権が理解できたのです。非公開のウォッチミーティング! 守るべき秘密! そんな世界があったのですね。

 オーデマ ピゲの新作が私だけの秘密ではなく、世界中で話題になっていた7月初旬まで、私はその記憶を隠していました。私はHODINKEEをスクロールして、ダニー・ミルトン氏の記事を読みます。ダニーはこのモデルを“大物”と断言し、その素材、機能、サイズについてレポートしています。“もしこれが37mmの時計だったら、この夏、いや、今年のイチ押し時計になるかもしれない”と結論づけています。私は再び驚かされました。確かに素晴らしい時計だけど、今年のイチ押しとまで言えるの? 私は一体何を見逃していたのだろう? 羊飼いが羊をヤギから選り分けるみたいに、どうしたら違いがわかるのだろう?

A black Royal Oak
で、ロイヤル オークって何なの?

 Dimepieceを作る前、私は2019年にサザビーズの編集部に在籍していたときにロイヤル オークを知りました。YouTubeは私の親友となり(「フランス語ネイティブのようにオーデマ ピゲを発音する方法」など)、同社の時計部門は、オークションに出品されている様々な時計を惜しげもなく試着させてくれました。やがて、デザインを担当したジェラルド・ジェンタの名前を知るようになりました。

 1970年代初頭、ジェンタ(私はGGと呼んでいる)はAPの新しい高級時計を作ることを任されます。その結果、業界の常識を覆すようなデザインが生まれたわけです。それはドレッシーなゴールド製と同様、ラグジュアリーなセクシーさを備えたスティール製のスポーツウォッチ。スティールを採用したのは、より実用的な訴求をするためでしたが、GGのデザインがあまりにも複雑だったため、1972年のデビュー時には想定以上に高値の時計となります。ゴールドのパテックよりも高価なスティール製スポーツウォッチ? そうなのです。

 八角形のダイバーヘルメットにインスパイアされたデザイン、すっきりとしたタペストリーダイヤル、そして一体型ブレスレットによって、この奇妙な作品はダイヤモンドの原石として登場します。売れて、売れて、売れまくって、今ではレブロン・ジェームズからショーン・メンデスまで、個人の好みを超えて誰もがこの時計を愛しています。彼らは満足でしょう。そうね、でも女性の目線ではどうでしょう?

The crown of a Royal Oak watch
The bracelet of a Royal Oak watch
レディス ロイヤル オーク

 初代ロイヤル オークが発売されてからわずか4年後、ジャクリーヌ・ディミエがデザインした初のレディースモデルが登場しました。ディミエは、60年代にジュエリーデザインを手がけて独自のスタイルを確立し1975年にオーデマ ピゲに入社しましたが、GGの型破りなデザインに時間をかけて取り組みました。先代モデルの個性に敬意を払いつつ、スポーティさとエレガントさを両立した“レディ ロイヤル オーク”が誕生。ディミエによるRef.8638のサイズは29mmで、ジュエリー感覚の典型的な婦人用時計とは一線を画しました。その後、何度も改良が加えられ、メアリー=ケイト・オルセン、セリーナ・ウィリアムズ、ミーガン・テースタリオン、ジャニュアリー・ジョーンズ、そして皆さんもご存じカーラ・バレットといったタレントたちの真のIF YOU KNOW YOU KNOW(知る人ぞ知る)アイテムとなりました。そう、有名人ばかりね。

 2016年にディミエのデザインが40周年を迎えたことを記念して、APは “フィレンツェ(鍛金)仕上げ”で有名なカロリーナ・ブッチを起用した33mmバージョンを発売。

 ブッチは、GGのデザインに深く感銘を受け、その完璧さに挑戦し、インスピレーションを得て、フェミニンファーストの別の選択肢を生み出します。ディミエと同じように、彼女はルールを破りたかったのです。“この業界はとても男性優位で、技術至上主義なんです。”ブッチはニューヨーク・タイムズ紙にこう語っています。“女性のために作られた時計は、単に小さくしたりピンクのストラップをつけたり、ダイヤモンドをちりばめたりと、すべてが男性モデルを適当に焼き直したものなのです。”これは、つい最近まで多くの高級時計ブランドが行ってきた“ケースを小さくして、ピンクカラーを加える”というアプローチを、より明確に表現したもの。

 2016年にHODINKEEの取材で、カーラはブッチのデザインがロイヤルオークの系譜に新たな息吹を吹き込んだと評価しました。しかし、彼女は完全には納得していなかったようにも理解できます。“33mmの時計にはCal.2713が搭載されているが、残念ながらこれはクォーツムーブメントだ”と彼女は記しています。“APはロイヤル オークに搭載されているような素晴らしい自社製ムーブメントを作っているのに、ここでクォーツが使われているのを見ると少し落胆させられ。”クォーツ時計を悪く言うつもりはありませんが、彼女の意見にも一理あると思います。40周年記念の特別モデルには、機械式ムーブメントを期待するのが妥当ではないでしょうか。スイスの時計メーカーが、男性向けのデザインであれば、このような注目度の高いモデルにクォーツを使用することは、まず考えにくいからです。

A black Royal Oak on a person's wrist
何の話でしたっけ?

 それでは、あらためて本題に戻りましょう。この34mm径のセラミックモデル、Ref.77350CE.OO.1266CE.01です。

 読者の皆さん、この時計には機械式ムーブメントを搭載されています。小径ケースサイズに自動巻きの機械が組み合わされた時計に、“女性用”の正当性がようやく認められたのです。ちなみに、APは同じ7月の新作発表で、ブッチのアップデート版を発表しています。準備はいい? こちらも自動巻きのCal.5800を搭載し、50時間のパワーリザーブを備えています。この2つのモデルのあいだに、APはこの5年間で少しずつ学び、レディスウォッチを作ることの意味を再認識したようです。

 そして、素材ね。ロイヤル オークには通常、スティールが採用されています。丈夫そうに聞こえますが、あまりにも仕上げが繊細なので、傷がつきやすいのが欠点です(カイリー・ジェンナー風にカルティエのラブブレスを3つ重ね着けしているかどうかは別として)。でも、セラミックなら大丈夫! アクセサリーとの重ね着けもへっちゃら! 基本的に傷がつきにくい素材ですから。それに、耐久性があり、軽量で、実は低アレルギー性でもあります。今年の新作、チューダー ブラックベイ セラミックオメガ シーマスター プロフェッショナル 300m ブラック ブラックが発売されて、市場に受け入れられていることを考えると、この素材の選択は特にタイムリーだと言えるのではないでしょうか。でも、これらのモデルとは違って、このモデルには18Kピンクゴールド製のスクリュー、アプライドアワーマーカー、そして夜光塗料が塗布されたロイヤル オーク針を備えています。また、“Grande Tapisserie(グランド・タペストリー)”と呼ばれるダイヤルが全体を引き締めています。

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 ケースの内部には、50時間のパワーリザーブを備えた自動巻きムーブメントCal.5800が収められています。このムーブメントはヴォーシェ・マニュファクチュール社製VMF 3002がベースとなっており、APバージョンのVMF 3002は、ゴールド製巻き上げローターを備えて高度な仕上げが施されています。純粋主義者な方は嘆かれるかもしれませんが、私の考えでは、このエボーシュムーブメントを使っても、自社製ムーブメントを使っても、何かが損なわれることはありません。“オーデマ ピゲは、ほぼすべてのハイエンドメーカーと同様に、その歴史のほとんどで自社製ムーブメントとエボーシュムーブメントを組み合わせて採用してきた”とジャック・フォースター氏は語っています。このムーブメントを採用したのは、34mmのケースに大口径のCal.3120を収められないという、サイズの問題からだと思われます。ヴォーシェ社は、2003年にミシェル・パルミジャーニ氏が設立した高級ムーブメントメーカーで現在はエルメスが資本の一部を所有しています。素晴らしい会社というわけです。

 34mmといえば、一般的にはレディスウォッチの部類に入るでしょう。そして、女性をターゲットに発売されました。しかし、今日のオーデマ ピゲのウェブサイトに掲載されている公式リストを見ると、思わず笑ってしまうかもしれません。この作品は、次のように書かれています。"最も華奢な手首に捧げる"。最も華奢な手首のため!? 女性用とか男性用とか、そういうことは一切書かれていません。細い手首の顧客のためだけに作られたもので、性別を問わず当てはまる人は相当数いるでしょう。他でもないライアン・ゴズリングでもそうです.....あなたも? APの幹部がカーラ・バレットの記事“全ての腕時計がユニセックスであるべき理由”を読んで、デザインスタジオに閉じこもり、この作品を生み出したと私は信じたい。HODINKEE副社長で私の編集者でもある某男性は、この時計をすぐにでも身につけたいと言っていますしね。

A black Royal Oak on the wrist of someone who is writing
ア・ウィーク・オン・ザ・リスト 1週間腕につけてみて

 6月の時点で、なぜ皆がこの時計に夢中になっているのか私が理解できなかったと書きましたよね? でも、実際に使ってみる前の率直な気持ちを告白すると、まだ私のなかでのAP第一候補ではありませんでした。私の好みは、ジャクリーン・ダイマーがデザインした初代の作品に近いのです。それは29mmのツートンカラーで、別名“ティニー・タイニー・ツートーン・ロイヤル オーク(愛称:TTTTRO)”なのです。私は小さな時計が大好きで、34mmでも女性のコレクターにとっても小柄なサイズとされていますが、私にとっては飛躍的に大きなサイズでした。この1年で手に入れたのは、タンクと中古の26mmデイトジャスト、ヴィンテージのレディスセイコー ダイバーズと、私のコレクションは控えめです。私の小さな仲間たちの隣に置くと、34mmはジャンボのようなものかもしれませんね。

A person holding a video recorder with a Royal Oak on their wrist

 また外観の審美性にも少し引いていました。私はスティール、ゴールド、落ち着いた色、ミニマルなど、クラシックなデザインの時計が好きなのです。私のワードローブはほとんどが黒で統一されているので、この黒い時計は私のスタイルを見事に引き立ててくれると思われるでしょうが、AP本社で最初にこの時計を試着したときには、米HBOドラマ“キング・オブ・メディア”のケンダル・ロイがハンプトンにヘリで乗りつけるときに着けていそうなギラギラとしたイメージを強烈に感じたのです。その部屋でAPの新作を見ていたら、ブッチのフロステッドゴールドの方に引かれました。単純に私らしいかなと思ったのです。

 でも、なぜブラックがこんなにクールなのか1週間かけてようやく実感しました。

 私はブラック一色の雰囲気に身を任せて、ニューヨークらしさを受け入れることにしました。洗練、コスモポリタン、そして最先端。金融マンではなく、ファッショニスタの街であるニューヨークです。そのような観点で、私はこの機会にこの街を存分に体験したのです。映画『ホーム・アローン2‐ロスト・イン・ニューヨーク』にオマージュを捧げ、プラザホテルのスイートルームに宿泊。そして、自分の住む街で観光客になって、日常生活から離れ、人知れず休暇を過ごすことにしたのです。
 
 イーストビレッジのアパートからホテルの階段までは、もちろんタクシーで移動しました。- そして、マディソン・アベニューを疾走する私の目には、光を受けて詩的に輝くセラミック製のブレスレットが映ります。セラミックはスティールとは異なる性質を持っています。私は、リンク上のかすかな筋目を見つけ、時計全体が太陽の光や影と戯れ、都会の生活のなかで輝いていることに気づきました。

A black Royal Oak on a person's wrist

 また、その軽さにも気づかされました。しっかりとした頑丈なものでありながら、さりげなく存在するのです。袖の下に収められたこの時計は、私が望むように、目立たないようにも目立つようにも変幻自在なのです。経験豊富なニューヨーカーであれば、派手に輝く時と控えめな時をわきまえることを教えてくれるでしょう。


 価格を知り、不安になりました。この時計の小売価格は533万5000円(税込)で、私が今まで身に着けたなかで最も高価な時計です。だから、タクシーのなかでは日よけをして、エロイーズの生家であるプラザホテル(50年代、6歳の女の子エロイーズを主人公にした絵本が売れに売れた)の守られた雰囲気のなかに入るまでは、悪いことが起こらないように細心の注意を払いました。

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 ベルマンにエスコートされてタクシーを降りると、金色の回転ドアを通って、訓練された警備員が常駐する温度管理されたロビーに入りました。これで、私は袖を上げて、この時計を存分に楽しむことができるのです。5つ星のロビーに5万ドルの時計! 私の素晴らしい滞在にふさわしい時計だわ。


 近所を歩いていると、私は再びステルスモードになりました。高級住宅街であっても、レストラン『フィリップ・チャウ』で発生したサブマリーナ強奪事件が記憶に新しいだけに、不安を感じました。しかし、このような時計は、誰にも見られていなくても、そこにあることがわかっているだけで素晴らしい気分にさせてくれるのです。アッパーイーストサイドを歩いていると、街角にガーシュウィンが流れているような気がしてきます。この時計が通行人から隠されていたことで、より一層、控えめな女性らしさが際立っていました。この体験は私だけのものでした。ロイヤル オークは時計というよりも、光り輝くエネルギーの塊、女神のような超越した力の源となったのです。

A person putting on sunglasses with a Royal Oak watch on their wrist

 リムジンを借りて、ケビン・マカリスターが後部座席でピザを食べ、シャンパンフルートで冷やしたコーラで喉を潤すという『ホーム・アローン』のあの有名なシーンをそっくり真似しました。私のためだけの素敵なチーズピザ。FAOシュワルツが閉店しなかったら、大きなぬいぐるみを買いたかったなぁ。変な言い方かもしれませんが、この時計を見ていると、子供に戻ったような気分になると同時に、とても自信に満ちた女性になったような気がします。ケンダルじゃなくって、シヴォーン“シヴ”・ロイの方ね。リムジンに乗って移動するのも悪くない。セリーヌのサングラスを外して摩天楼を眺めていると、通りすがりの人が二度見していました。彼女は誰だったっけ? いや、本当に、彼女は誰なんだ? 私が誰だか当ててみて!


 このロイヤル オークの小さな鼓動は、私の鼓動と一体感があるかのようでした。この時計を身に着けていると、初めてニューヨークを訪れたような気分になり、その大きさに畏敬の念を覚えました。街の巨大さとは対照的に小さいこの時計は、私を回転する世界の中心にいるような気分にさせてくれるのです。

ライバルたち

ロイヤル オーク フロステッドゴールド 34mm

A Royal Oak Frosted Gold 34mm

 このブラックセラミックを理解するためには、このモデルと並んでいるもうひとつの34mmモデル、ロイヤル オーク フロステッドゴールド 34mmをより深く理解する必要があります。この2つの時計の方向性は、まるで違うのです。フィレンツェ仕上げのこの時計は、ジュエリーのような光沢と質感を持ち、セラミックの滑らかさとはまったく異質です。しかし、サイズとムーブメントは共通しているので、一緒に並べる価値はあります。また、このペアは、"現代の女性 "を念頭に置いた様々なアプローチを表しています。ケースサイズを縮小したものでも、ピンク色のモデルでもありません。明確な意図をもって優雅に作られた、女性のための前向きなデザインであり、これからの時計メーカーに期待したい作品です。

627万円(税込)  audemarspiguet.com

シャネル J12 エレクトロ

The Chanel J12 Electro

 市場で最も人気のあるブラックセラミック製のレディスウォッチ、シャネル J12について触れないわけにはいかないでしょう。2021年4月に発売された同社のレディスコレクションの新作には、フラッグシップの特別モデル、J12 エレクトロが加わりました。ブラックラッカーのダイヤルから鮮やかな色が飛び出し、逆回転防止ベゼルにはネオンカラーの表示が配されています。この1255本限定モデルには、シャネル独自のCOSC認定自動巻きムーブメント、Cal.12.1が搭載されており、ブラックで統一された透明なサファイアケースバックから見ることができます。(ただし、33mmモデルにはクォーツムーブメントが搭載されています)。さらに、このモデルの特別限定版J12 エレクトロ ドリーム キャリバー12.1には、バゲットカットのレインボーサファイアをベゼルとインジケーターにあしらった、AP ブラックセラミックよりもハイキーなモデルです。ダイヤルはどちらもブラックラッカー(ジュエリーをあしらったホワイトセラミックのパートナーもあり)。

92万4000円(税込)  chanel.com

チューダー ブラックベイ セラミック

The Tudor Black Bay Ceramic

 チューダーが前述の2021年に発表したブラックベイ セラミックは、ジャック・フォースター氏の言葉を借りれば、"ひと目でブラックベイだとわかる "ということに尽きます。とはいえ、彼のレビューにもあるように、この時計はオリジナルのブラックベイよりも落ち着いています。私がこの話をしたのは、このモデルが現代らしいブラックセラミックウォッチだからです。ブラックベイ セラミックは“メンズ”ウォッチで41mm、レザーとラバーのハイブリッドストラップ、マニュファクチュールキャリバーMT5602-1U(COSC認定)を搭載しています。また、今回紹介したAPとは約500万円の価格差があり、同じ自動巻きのセラミックウォッチでありながら、まったく異なる時計なのです。また、このモデルにはレザーストラップが付属していますが、APには完全にマッチしたブラックセラミック製のロイヤル オークブレスレットが付属。ブラックセラミックの愛好家であれば、どちらが自分に合っているか、もうおわかりでしょう。

53万9000円(税込)  tudorwatch.com

締めくくりに
A woman in thought, with a Royal Oak watch on her wrist

 “他人の気持ちは、その人と同じ経験をしてみなければわからない。” そんな諺がありますよね。時計も1週間一緒に過ごして初めて理解できることがあります。このAPに対する私の第一印象は、失礼ですが、その本質はかなり嫌味なものだと思っていましたが、それは覆されました。欲しがる人の気持ちはよくわかります。時計界を騒がせた理由もわかります。


 この作品は、時計製造の職人技の粋を極めています(セラミックは加工が難しいことで知られていますが、34mmのAPにはエレガンスが凝縮されています)。そして、私たち女性、いえ、性別を問わず繊細な腕を持つ人たちを念頭に置いてデザインされているのです。2021年になったというのに、いまだに男女平等をシャンパンだか冷たいコーラで祝杯を挙げるような記事を世に出すことは、ほろ苦い気分にさせられます。願わくば、この非常に魅力的なオーデマ ピゲが他の時計メーカーに刺激を与え、ケースを縮小してピンクに彩るアプローチに反対する協定への署名を広げることです。ブラックセラミックのロイヤル オークは、私を強く元気に、そして楽観的にしてくれました。そして、女性としての味わいを与えてくれたのです。

この作品を貸してくれた個人コレクターと、Material Goodが運営するイーストハンプトンのオーデマ ピゲ・ブティックに感謝します。

ブリン・ウォルナーは、ニューヨークを拠点に活動するクリエイティブ・コンサルタント兼ライターです。また、女性と時計に関するあらゆる情報を提供するDimepiece.coの創設者でもあります。


撮影:グレイソン・コーホーネン

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その他詳細は、オーデマ ピゲ公式サイトへ。