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リヒャルト・ランゲ・ジャンピングセコンドは、2016年に発表されたA.ランゲ&ゾーネで最も興味深いモデルだった。当時のリヒャルト・ランゲ ファミリーに追加された最新モデルで、科学観測用デッキウォッチの概念を元に作られている。科学的観測を行うためのサポートに、また航法における重要な道具(陸上、海上、航空)としても使われるものだ。このファミリーには、時間表示のみのリヒャルト・ランゲから、背面に非常に壮観な軌道ムーンフェイズ表示を備えた永久カレンダーウォッチのテラ・ルーナまで、さまざまなモデルがある(軌道ムーンフェイズは、北半球から見た月と太陽の位置も示す)。
リヒャルト・ランゲ・トゥールビヨン、テラ・ルーナ、そしてリヒャルト・ランゲ・ジャンピングセコンドはすべて、1807年にヨハン・セイファート(JOHANN SEYFFERT)が製作した懐中時計から派生した文字盤レイアウトを有する。この懐中時計は、ドレスデンの数学物理学サロンに所蔵されている。リヒャルト・ランゲ・トゥールビヨンとテラ・ルーナはどちらも分針に最も大きなサブダイヤルを使用している(クラシックなレギュレーターデザインのバリエーションである)が、リヒャルト・ランゲ・ジャンピングセコンドはそれをジャンピングまたはデッドビートの秒針に使用している。デッドビート秒針はクォーツ時計の秒針の動作に似ているため好みでない風潮もあるようだが、時計とウォッチメイキングにおける長い歴史を持つ機能で、展望台のレギュレーター式振り子時計の時代にまで遡る。元々の目的は、天文観測を行う際に最も近い秒までの時間間隔をカウントしやすくすることだった。
スティーブン(・プルビレント)が以前触れたように、リヒャルト・ランゲ・ジャンピングセコンドは、当初プラチナでリリースされ、ローズゴールドが後から追加された。どちらの時計も白文字盤で、最新版では、本モデルとしては新しい素材のホワイトゴールドケースにディープブラックのダイヤルを備えている。その他の点では、この時計は以前のリヒャルト・ランゲ・ジャンピングセコンドと同スペックだ。さらにルモントワールが搭載されており、この機構は、脱進機に一定のトルクを伝えることで、パワーリザーブ全体の安定性を向上させるために設計されたものだ。四番車に付いている渦巻き状のルモントワールスプリングが、主ゼンマイによって一定のところまで巻き上げられる。リヒャルト・ランゲ・ジャンピングセコンドの場合、ルモントワールスプリングは、1秒に1回レバーが解放され、アーミングメカニズムもジャンピングセコンドに動力を与える(ジャンピングセコンドを実装するにはいくつかの方法がある。連結されたルモントワールが最も複雑だが、精度を妨げる可能性のある他のデザインの潜在的な落とし穴の1つを回避する)。
キャリバーL.094.1、ルモントワールおよびデッドビートセコンド、ゼロリセット機能付き。
リヒャルト・ランゲ・ジャンピングセコンドにはゼロリセット機能もある。リューズを引き出すと秒針がゼロ位置にジャンプ。リューズを押し戻すと、再び動き始める機構だ。スマートフォンなどに合わせて、正確な時刻設定を容易にするものだが、これはデッドビートセコンドがルモントワールにより制御されている時計で実行するのは難しい。ゼロに設定するためにはルモントワールを秒針から機械的に切り離す必要があるためで、これは四番目の歯車の垂直クラッチによって行われる。つまり、リューズを引き出すと、クラッチが4番目の歯車を秒針から外し、さらに同じ瞬間にゼロにリセットされたハンマーが秒針ピボットのハート型のカムに当たり、ゼロ位置にスナップバックする。 このシステムは基本的にクロノグラフに見られるものと同じである。
テンプの上と左側にルモントワールが見える。右側は秒針のゼロリセットのメカニズム。
時計全体はまさにA.ランゲ&ゾーネならではの執拗に追求されたベストな状態であり、ブラックダイヤルとホワイトメタルの組み合わせは一種のインストゥルメント・ウオッチの感覚を与え、その複雑さとリヒャルト・ランゲ ファミリーのより大きなアイデンティティによくなじんでいるようだ。ランゲファミリーは、精度とレートの安定性、さらには読みやすさ(観測時計のジャンルに不可欠な要素)を改善するためのさまざまなアプローチに対する、一連の機械的な賛辞なのである。
リヒャルト・ランゲ・ジャンピングセコンド ウォッチは機械的に独創的だが、時間的間隔としての一秒のある種の機械的媒介でもあり、機械的および物理的両方の要素がそれを浮き彫りにしている。ブラックダイヤルは時計の基本的なキャラクターを変えることはないが、高い安心感をもたらす。以前のバージョンはどちらもそれをグラスヒュッテとドレスデンの精密時計製造との強いつながりと結び付けていたが、リヒャルト・ランゲ・ジャンピングセコンドは観測・遠征用の懐中時計というよりも観測用腕時計のデザイン要素に少し近づいている(ランゲは南極探検のために前者のいくつかを製作した)。
このバージョンについては、このダイヤルを備えたSSケースバージョンは非常にエキサイティングではないかと思う。SSケースはリヒャルト・ランゲ・ジャンピングセコンドの2019年新モデルにおいて既に非常に説得力を持って見られる、計器としての時計というキャラクターをさらに強調するだろう。
リヒャルト・ランゲ ファミリーをより深くご覧になる方はA.ランゲ&ゾーネ公式サイトへ。
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