Introducing A.ランゲ＆ゾーネ　トゥールボグラフ・パーペチュアル・ハニーゴールド ＆ 1815 フラッハ・ハニーゴールド “F. A.ランゲへのオマージュ” 限定版 2020年新作

　前述の通り、ハニーゴールドはブランドが独自に開発した素材だ。初めて使われたのは、2010年のアニバーサリーエディション “165周年記念 - F. A.ランゲへのオマージュ”の3モデルだった。この合金を使用した限定モデルは、今までに8本の限定モデルとしてしか発売されていない。175周年を祝うために、今回の2本には、この18Kゴールド製の特別なケースが使われている。使用されている合金化合物が何かは明らかにされていないが、興味深いことに、他の18Kゴールド合金よりも硬度が高く、傷が付きにくいことが分かっている。 この2つの時計は、他のモデルとは一線を画しているが、A.ランゲ＆ゾーネの時計製造の伝統を讃えるに相応しいものとなっている。

　1815 フラッハ・ハニーゴールドは、ドイツ（特にザクセン）における精密なウォッチメイキングの175周年を祝うものだ。本機は、この上なく古典的で洗練された、極上のドレスウォッチである。厄介な秒針が無く、時計において最も重要な時刻だけを刻み、そのうえ、この時計は手巻きだ。デザインの観点からいうと、本機は古典的な懐中時計からインスパアされている。38mmという直径は、ドレスウォッチの概念から考えれば、インスピレーションとは対象的に、現代的なサイズになるだろうが、我々が好む不変的なサイジングのスイートスポットを突いている。
　また、格式を厳格に順守するその様は、カミソリのような6.3mmという薄さにも現れている。これが袖口に収まらないシャツがあるのなら、教えて欲しいぐらいだ。ダイヤルは、白を基調とし、2層のエナメルダイヤルの上に、ダークグレーのアラビア数字とレイルウェイトラックの分目盛りがプリントされている。時計の中には、自社製キャリバーのL093.1が搭載されており、フリースプラング式ヒゲゼンマイと古典的なチラネジテンプとの組み合わせで作動することで、高い精度を保っている。

　もちろんランゲファンであれば、この時計を見て真っ先に思い浮かべるのは「サクソニア・フラッハ37mm」だろう。どちらのモデルも同じベースムーブメント、Cal.L093.1の異なるバージョンを搭載。サクソニア・フラッハでは、ムーブメントにグラスヒュッテストライプが施されているのに対し、1815では、ランゲのヴィンテージ・ポケットウォッチに見られるギルト仕上げに似たグレイン加工が施されている。この2つのモデルは文字盤も異なる。最も顕著な違いは、サクソニア・フラッハではバーのマーカーが、1815 フラッハ・ハニーゴールドではアラビア文字が使用されていることだ。

　トゥールボグラフ・パーペチュアルは2017年に発売されたが、ハニーゴールド合金製は今回が初となる。また、ハニーゴールドを使用しているのはケースだけではない。ダイヤルにも同じく、この独自の素材が使われているが、5つのパーツを必要とする非常に複雑な構成となっている。メインダイヤルの表面からサブダイヤルの積算計、フランジに至るまで、全てが個々のセグメントで構成されており、それらが組み合わされて文字盤全体が作られている。ダイヤルを作るのに、2人の時計職人が必要になるという。
　そして、この時計には合計5つの複雑機構が搭載されている：チェーンフュジー機構が付いたトゥールビヨン、クロノグラフ、ラトラパンテ機構、そして永久カレンダーだ（外から内の順）。

　これら全ての複雑機構を搭載するには、1815 フラッハよりもケースサイズが大きく、厚みのあるものでなければならない（故に、トゥールボグラフ・パーペチュアルのモデルの名にフラッハという言葉は見当たらず、そして薄くあるべきではない）。従って、本機の直径は43mm、ケースの厚さは16.6mmだ。1815 フラッハと同様に、ダイヤルにはアラビア数字、外側にはレイルウェイトラックの分目盛りが配されている。

　本機の最も興味深い点の1つは、2つのコラムホイールによって制御されるクロノグラフのラトラパンテ機構である。基本的に、これはクロノグラフ針と連動して動くスイープ針（ラトラパンテ針）のことを指す。10時位置にあるプッシュボタンを押すことで、他の針に影響を与えずにラトラパンテ針を停止させることができる。そして、再度プッシュボタンを押すと、瞬時にクロノグラフ針に追いつき、2つの針が同期して動き続ける。これにより、最大計測時間の30分以内であれば、何度でもラップタイムを取ることができるのだ。そして、幸いなことに、ケースバックは上記の全ての動きを見ることができる、トランスパレントバックである。

　見せびらかすことと、自分の能力を示すことは異なる。今回の2つの限定モデルでは、A.ランゲ＆ゾーネは間違いなく、後者の姿勢を貫いている。一方は、控えめで十分な能力を備えた2針のドレスウォッチを、もう一方では、高い時計製造技術をフルに発揮した複雑時計を展開したのだ。1815 フラッハ・ハニーゴールドは175本限定で（175周年にかけている）、トゥールボグラフ・パーペチュアルは50本限定で販売される。

ブランド： A.ランゲ＆ゾーネ （A. Lange & Söhne)
モデル名： 1815 フラッハ・ハニーゴールド（1815 Thin Honeygold ）、トゥールボグラフ・パーペチュアル・ハニーゴールド（Tourbograph Perpetual Honeygold）
型番： 239.050（1815 フラッハ）。706.050FE（トゥールボグラフ・パーペチュアル）

直径： 38mm（1815 フラッハ）。43mm（トゥールボグラフ・パーペチュアル）
厚さ： 6.3mm（1815 フラッハ）。16.6mm（トゥールボグラフ・パーペチュアル）
ケース素材： 18Kハニーゴールド®
ダイヤル： 18Kハニーゴールド®、ブラックロディウム仕上げ、レリーフ彫りの数字および目盛り（トゥールボグラフ・パーペチュアル）。ホワイトエナメル仕上げの銅 （1815 フラッハ）
インデックス： アラビア数字
夜光： 無し
ストラップ/ブレスレット： レザーストラップ

キャリバー： L093.1（1815 フラッハ）。L133.1（トゥールボグラフ・パーペチュアル）
機能： 時・分表示（1815  フラッハ）。時・分表示、トゥールビヨン、ラトラパント機能付きクロノグラフ、日付、曜日、月およびうるう年表示付き永久カレンダー、ムーンフェイズ表示（トゥールボグラフ・パーペチュアル）
直径： 28mm（1815 フラッハ）。32mm（トゥールボグラフ・パーペチュアル）
厚さ： 2.9mm（1815 フラッハ）。10.9mm（トゥールボグラフ・パーペチュアル）
パワーリザーブ： 72時間（1815 フラッハ）。36 時間（トゥールボグラフ・パーペチュアル)
巻き上げ方式： 手巻き
振動数： 2万1600振動/時
石数： 21（1815 フラッハ）。52（トゥールボグラフ・パーペチュアル）
クロノメーター認定： 無し

価格： 1815 フラッハは374万円（税抜予価）。トゥールボグラフ・パーペチュアルの価格は直営ブティックにお問い合わせください。参考価格50万ユーロ（約6266万円）
発売時期： 2020年9月（1815 フラッハ）。2020年11月（トゥールボグラフ・パーペチュアル）
限定： 世界限定175本（1815 フラッハ）、50本限定（トゥールボグラフ・パーペチュアル）

詳細は、A.ランゲ&ゾーネの公式サイトへ。