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Hands-On バルチック アクアスカーフを実機レビュー

バルチックは、細部まで考え抜いた新しいヴィンテージダイバーズウォッチを世に提示し、深遠な世界へと突き進んでいる。

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僕は今、マイクロブランドの時計のごく一部をカバーする試みを(執拗にではないものの)続けている。そうした時計の中で、数多くのコメント、メール、そして直接的な言及の対象となってきたのが、このダイバーズウォッチ、バルチックのアクアスカーフだ。このブランドは、まだ誕生してから日が浅く、この時計は、彼らにとって最初のダイバーズウォッチであり、非常に人気の高いビコンパックスに続くモデルでもある。ほど良いサイズ感と明確にヴィンテージスタイルを意識したアクアスカーフは、興味深いディテールや時計としての高い価値をいくつか示すことにより、ダイバーズウォッチ愛好家のハートをつかんでいる。

付属のトロピックスタイルのラバーストラップとリッチブルーサンレイ仕上げのダイヤルが特徴のアクアスカーフ。

ブルーのアクアスカーフは、ブルーダイヤルの多彩な色調、そしてインデックスと印字の暖かみのあるゴールドアクセントが際立っている。

ライスビーズのスティール(SS)ブレスレットが絶妙にマッチしているブラックのアクアスカーフ。

 掲載した画像ではアクアスカーフの2つのバージョンが示されているが、実際は3つのモデルがある。つまり、ブルーギルト、ブラックシルバー、そしてここには示されていないブラッククリーム(人工的にエイジング仕上げを施した夜光を使用)の3つだ。最初から、アクアスカーフは手に取りやすくて着けやすい39mmサイズ(ビコンパックスに使用されているケースに近い)のケースを採用している。このケースは、ラグからラグまでが47mm、バブルドーム型のサファイアクリスタル風防を含めた厚みが12mmとなっている。ベゼルは、この腕時計の中で最も幅広な部分になっており(実際のケース幅は38mmになっている)、ねじ込み式リューズは大型で、リューズガードで邪魔にならないようになっている。ケースバックはブラッシュド仕上げのSS製、ラグはドリル穴付き。そして200m防水を実現している。 

均整のとれた39mmケースで、少々緩めに装着するのが最適なブラックのアクアスカーフは、オプションのSS製ライスビーズのブレスレットにすると最も見栄えがよく、装着感も良好となる。 

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 スキンダイバーとフィフティファゾムスを融合させたような雰囲気をもつアクアスカーフは、かなり美しい光沢のあるサファイアベゼルインサートを使用。繊細なフォントとドットのレイアウトを備えており、シンプルで見やすいダイヤルデザインとバランスがよくとれている。アクアスカーフはデイトなしのデザインのみで、ミニマルなダイヤルには同様にミニマルなテキストと、3、6、9時位置にはサンドウィッチ型の三角形マーカーが配置されている。これは細かい部分ではあるが、この3つのマーカーは、他のペイントマーカーとは全く違った形で、艶消しブラック(またブラッシュド仕上げのブルー)のダイヤルと互いに作用し合っている。この価格帯の時計では、どんな形であれ、細かなディテールはあまり考慮されないが、所有者だけが気づくような凝ったディテールにこだわる点は、バルチックの素晴らしいところだ。2つのブラックモデルは、同社が“グレイニー(粒状の)”と呼ぶテフロン調のダイヤルテクスチャーを有する一方、ブルーモデルには、深いブルーと暖かいパープル調の光を放つサンレイ仕上げが施されている。 

ブラックのアクアスカーフの“グレイニー”ダイヤルには、人工的にエイジング仕上げにしたクリームカラーの夜光も用意されている。 

 このようなこだわりは彼らの過去のモデルでも顕著であったが、アクアスカーフは、バルチックに関わる人々におけるテーマ(ヴィンテージダイバーズのデザイン)と、その結果生じる愛好家に直接的に訴える様相の両方をいかに熟知しているかを証明している。ヴィンテージに忠実なサイジング、ドリル穴付きのラグ、反射はするものの魅力的なダブルドーム型のサファイアクリスタル風防、200mの防水性、デイト表示なしのレイアウトのみという選択、そしてストラップのオプションをよく考察してみて欲しい。

 価格とケースの厚さの両方を最小限に抑える試みとして、バルチックはアクアスカーフに、ミヨタのシンプルで信頼できるムーブメント、Cal.MIYOTA 9039を採用することを選択した。厚さがわずか3.9mmのCal.MIYOTA 9039は、振動数は2万8800振動/時、手巻き機能付きの自動巻きで、パワーリザーブは42時間以上だ。僕にとって、Cal.MIYOTA 9039を手にしたのはこれが初だと思うが、基本的に、これは僕が所有してきたいくつかの腕時計に搭載されていたムーブメント、Cal.9015のデイト表示なしバージョンだ。これらの安価なミヨタのムーブメントは、精度の記録を塗り替えるような正確性は発揮しないものの、シンプルで十分に正確であり、そして極めて頑丈である。 

2重ドームのサファイアクリスタル風防は抜群に軽く、輝くサファイアベゼルのインサートにマッチしたヴィンテージテイストを与えている。

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 アクアスカーフは、トロピックスタイルのラバーストラップと、フルSS製のライスビーズ(その小さな粒状のインナーリンクの形状からそう名付けられた)ブレスレットのどちらかを選べる。ラバーは柔らかくて着け心地がよく、手首に軽くフィットする。本物のヴィンテージトロピックラバーほど良くはないかもしれないが、これは、僕がこれまで出会った中では非常に近いレプリカで(このストラップはもちろん時計に付属する)、マストアイテムのブレスレットに替わる選択肢となっている。時計購入時にはブレスレットを見送ってラバーストラップのアクアスカーフを入手することもできるが、ブレスレットも別途入手しておきたい。 

工具なしで素早く取り外せて、細かい調整もできるバルチックのSS製ライスビーズブレスレットは、見栄えも装着感もいい。 

 バルチック独自のライスビーズブレスレットは、価格に見合う価値があるものだ。デザインが秀逸で、着け心地が非常によく、時計にマッチする。さらに、細かく7段階の位置調整ができるだけではなく、工具不要のバネ棒も有しており、素早く取り外しするためのタブが付いているため、不器用な人でもブレスレットの脱着が数秒でできるようになっている。最後になるが、バルチックは他のデザインでも同じようなケースを使用しており、同社のライスビーズブレスレットは、20mmのラグを有するモデルなら交換して使用できる。僕が前に“凝った”デザインについて述べたことを覚えているだろうか?

 アクアスカーフは、ブレスレットとの組み合わせでその魅力が見事に発揮される。着け心地がよく、手首上での重量感もほどよく、仕上げが分けられたブレスレットにより、アクアスカーフのデザインの最良の部分がよく引き出されている。アクアスカーフは多くの点で、ダイビングが流行していた60年代に登場した無名の、古いダイバーズウォッチを着けているような感覚になる。こうしたダイバーズウォッチデザインの歴史を知ることができるところは、アクアスカーフの心引かれる魅力である。一部の人は、クリスタルが反射し過ぎであると感じるかもしれないが(一連の写真は、直接的に実際の様子をよく表している)、僕自身がもっている古いスキンダイバーのドーム型プレキシガラスに非常によく似ており、その見やすい針は、なおも視認性を保っている(ぎらつきのほとんどは、急角度にカーブしたクリスタルのエッジに起因するところが大きい)。 

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ブルーのアクアスカーフはドリル穴付きラグ、大きなリューズ、夜光付きのベゼルを備えている。

200m防水を有するアクアスカーフは、クリーンなダイヤル、視認性に優れた針、そして軽くカチッとクリック感のあるベゼル動作が特徴だ。

ラバーは見栄えがよく、SSブレスレットはなおさら見栄えがいい。実際、アクアスカーフは、あたかもこのSS製ブレスレットに取り付けるためにデザインされているかのように感じられる。 

バルチックのソフトで快適なトロピックスタイルのラバーストラップが付いた完璧なヴィンテージテイストをもつブルーのアクアスカーフ。

 8万4000円(税抜)というリーズナブルな価格で手に入るアクアスカーフは秀逸だ。着けやすく、サイズ感がよく、スタイリッシュ。まさに時計愛好家のためのモデルであるこの時計は、マイクロブランドというジャンルから生まれた信頼できる製品の一例であり、彼らのスピリッツを証明するものである。バルチックの背後にある精神は、これからも成長し、かつての製品を礎に進化し続けることが可能だ。 

詳細についてはバルチックの公式サイトをクリック。