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POINT/COUNTERPOINT ロレックス ミルガウスのブラックダイヤルこそ最高のミルガウスだ

ブラックダイヤル、グリーンクリスタルの116400GVは盛り上がり方を知る唯一のミルガウスだ。

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 今日は、まったく異なる意見を持つ2人のHODINKEEライターが、ロレックスのミルガウスはどれがベストなのかを議論する。ニック・マリノ(Nick Marino)は、ホワイトダイヤルのミルガウスがベストだと主張しており、この対談ではダニー・ミルトン(Danny Milton)がブラックダイヤルのミルガウスを支持している。ぜひ両方の記事を読んでいただき、コメント欄で意見を聞かせて欲しい。

HODINKEEのコンテンツ担当上級副社長(つまり私のボス)と公の場で対決することの危険性を私はわかっている。特に記事のトップで私に賛辞を送ってくれた場合には。まず、ニック・マリノに感謝の言葉を述べたいと思う。彼には私の人生を託すことができるできるだろう。ベン・クライマーの命だって彼に託せる。本当に。さて、ここで本題に入り、問題の“稲妻”を取り上げよう。ロレックスのミルガウスだ。

 ニックの記事は、私の記事よりも先に読んでいただきたいが、私のお気に入りの時計をディスったもので、彼のお気に入りの時計に対する愛の結晶のように見せかけている。彼はロレックスのミルガウス 116400のホワイトダイヤルが“最高”だと大胆に主張しているが、私の仕事が危機にさらされていなければ、そんなことはない……絶対にだ。

 私はニックと戦うためにここにいるのではなく、単に私のお気に入りのミルガウス、マットブラックのダイアルにカラフルなマーカー、そしてグリーン風防を持つ116400GVについてお伝えしたいのだ。どちらが好きかは、あなたに決めていただきたいと思う。

 2000年代の早い段階から、ロレックスはデザインの本格的な転換を始めていた。新しいGMTマスターがデビューし、セラクロムベゼル(ゴールド製)はもちろん、“最高のケース”を世に送り出した。2007年にはスチール製モデルが登場。言うまでもなく、これはロレックスの定番モデルを大幅に改良したものだ。しかし、ロレックスは観客に衝撃を与えただけではなかった。

 SS製のGMTマスターと並んで、ロレックスは難解で極めて特殊な時計をアーカイブから復活させた。ミルガウスは、1950年代に磁場に耐えられる時計を必要としていた科学者のためのツールウォッチとして開発されたもので、非常に奇妙な存在であった。その重要な特徴のひとつが、紛れもない稲妻型の秒針だ。

 これは忘れ去られていた時計で、誰もが無名の状態から脱却できるとは思っていなかった。しかし、それが現実のものとなった。発表当時、ロレックスはこの時計の3つのバリエーションを発表した。スタンダードなブラックダイヤルにオレンジのマーカー、ホワイトダイヤルにオレンジのマーカー(私にとっては“マリノ”、ほかの人なら“クリームシクル”)、そしてオレンジとホワイトのマーカーが交互に配置され、グリーンのサファイアクリスタル風防で覆われた、絶対にあり得ないバリエーションがあった。そして、各モデルには鮮やかなオレンジ色の稲妻型の秒針、厚みのあるSS製オイスターケース、サテン仕上げとポリッシュ仕上げを交互に施したSS製オイスターブレスレットが採用されていた。

 後の祭りだが、我々は失って初めて今あるものに感謝する。同じ考えは現代のミルガウスコレクションにも当てはまる。グリーンクリスタル風防を使用していないモデルはやや短命で、2016年に生産終了となった。その昔、時計店に行くとロレックスのスポーツモデルがショーケースに入っていたことがあったが、ホワイトとブラックのスタンダードなバリエーションは私にとって退屈なものだった。ニックが美学的に神聖視しているブラックダイヤルとは比べものにならない。

 私にとってGV(仏語でglace verte、グリーンクリスタルの略語)は、ミルガウスのビジョンを完璧に実現したモデルだと思っている。ほかのモデルはホワイトも含めて、ただの保険のように感じられる。まるでGVの衝撃を恐れたロレックスのチームが、その衝撃を和らげるために少し保守的な2つのモデルで水増ししたかのようだ。

 当時、GVは売れ筋ではなかったし、時計愛好家が殺到することもなかったが、少なくとも成功したモデルであることを示すデータはあった。実際、このモデルは15年以上もカタログに掲載され続けている。これはロレックスのリファレンスとしては文字通り永遠を意味する。サブマリーナー 5513やエクスプローラー 1016のようなモデルと同じなのだ。

 さて、私はGVミルガウスに個人的な、そして完全に偏った愛着を抱いている。初めて現代のロレックスを購入した際、私はこの時計かGMTマスター“バットマン”のどちらかを選んでいる。以前の記事を読んだ方なら、私がどちらを選んだかご存じだと思うが、私はミルガウスも注目していた。ずっと気になっていたのだ。

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 私の偏見は、少なくとも穢れたものではないと信じているが、一方で私が劣っていると考えているミルガウス(マリノのホワイトダイヤルを含む)については、時計業界全体が軌道修正を行ったのだと思う。確かにロレックスのスポーツウォッチでホワイトダイヤルのものは珍しい。現在、市場に出回っているのはエクスプローラーⅡだけだ(デイトジャストを除く)。そこに魅力があるのかもしれないが、私にはよくわからない。

 私が知っているのは、GVにはロレックスの自慢話となる興味深いものがあるということだ。記事のなかで、ニックはグリーンクリスタルを強く非難しているが、これは単なるカラーガラスではない。特許を検索してもロレックスが出願したという記録はひとつもない。ウィルスドルフ家はグリーンサファイアクリスタルを作るのがいかに難しいかを知っていて、誰にも真似できないことを知っていたから、わざわざ特許を取得しなかったのだ。オイスターフレックスという言葉があるが、まさに思いのままに自慢できることだ。

 また、私の尊敬するボスがブラックとオレンジの配色に憤慨していることについても、この場を借りてお伝えしたいと思う。ひと言で言えば嫌いということだ。カル・リプケン Jr.もハロウィンという祝日も、この喧嘩腰の言葉を快く思っていないだろう。

 だが、この2つの色を組み合わせたのはミルガウスが初めてではない。ロレックスの最も象徴的な時計のひとつであり、もうひとつの難解なデザインであるロレックス エクスプローラーⅡ Ref.1655は、スティーブ・マックイーンとしても知られている(彼が着用していたという証拠はないが)。ブラックとオレンジは過去40年間にロレックスが生み出した最も象徴的で認知度の高いデザインの根底にあるものだ。GV ミルガウスや現代のエクスプローラーⅡもこのグループに含まれる。

 さらにニックは、このホワイトダイアルのミルガウスがアイスクリーム王のライアン・フィッツジェラルドのコレクションであることを紹介している。それなら私はNBAプレイヤーのアートアドバイザー魚屋さんを紹介しよう。

 ほかのモデルが失敗したなかで、GV ミルガウスが15年近くも持ちこたえたのは決して偶然ではない。それは時計におけるダーウィニズム、つまり自然淘汰だ。より多くの消費者が賢明な選択をし、GVを選んだのだ。実際、2014年にはサンレイブルーダイヤルを持つZブルーと呼ばれるミルガウスがコレクションに加わった。そのダイヤルを守っているのは何かというと、特許を持たないグリーンクリスタル風防だ。これでわかっただろ、マリノ!

 今では、私が選んだミルガウスと並べて置いてある。ブラック、オレンジ、グリーンのブラックダイアルのGV ミルガウスこそ最高のミルガウスだ(決まった!)。

Photos, Kasia Milton

ロレックス ミルガウスの詳細については、ロレックス公式サイトをご覧ください。