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A Week On The Wrist ヴィンテージ ブガッティとチキングリルにインスパイアされた約4000万円のウルベルク

ウルベルクのアヴァンギャルドなタイムピースを実際に身につけるとどんな感じなのだろうと、僕たちはいつも想いを巡らせています。そこで、実際に着用してみました。UR-112 アグレガットをご紹介しましょう。

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僕は時計好きです。いつもは時計らしい時計が好みです。ヴィンテージダイバーズ、複雑な模様のダイヤル、便利なGMTなど挙げればキリがありませんが、好きです。だから、マイケル・ジョーダンがウルベルクを着けているのを初めて見たとき、僕は理解できませんでした。あれは時計ではありません! まるで宇宙船が手首に装着されているようでした。そのとき僕は自分の見方に固執していたことは認めますが、数年を経て、そこまで視野が狭くはなくなりました。そこで同僚のすすめもあり、ウルベルクの魅力をもう一度見直してみようと思い、ウルベルクUR-112アグレガット バック・トゥ・ブラックと1週間過ごすことにしたのです。

top of watch on white surface

 UR-112アグレガットは、ブランドの創設者であるデザイナーのマーティン・フライと時計師のフェリックス・バウムガートナーが展開する、まさにワイルドなオートオルロジュリー(超高級時計)の作品です。この時計は、ヴィンテージのブガッティや、信じられないかもしれませんが、オマーンの海岸にあるチキングリルなどからインスピレーションを受けているのです(詳細は後述)。この時計に触れる前に、時計と同じくらい魅力的なブランドの起源について少し掘り下げてみましょう。

 ウルベルクというブランド名は、近代的な時間計測の概念が形成された古代メソポタミアの町“ウル”と、ドイツ語で“作品”“創造する”を意味する“ベルク(werk)”に由来します。1997年に設立された当ブランドは、当初はかなり受注生産に近い作品を発表していましたが、2005年、デザインの重要な瞬間が訪れました。それがウルベルクとハリー・ウィンストンのオーパス5の共同開発でした。当時、マックス・ブッサーが経営していたハリー・ウィンストンが、非常に才能のある独立時計師とコラボレーションし、芸術的な時計作品を作り上げたのがオーパスシリーズです。例えばフランソワ・ポール・ジュルヌ、そう、F.P.ジュルヌは初代オーパス1のパートナーでした。

picture of watch with black background

ハリー・ウィンストン オーパス5

 オーパス5は、時計界がこれまでに見たこともないようなモデルでした。オーデマ ピゲ スターホイールで見たことがあるサテライトアワー表示とレトログラード分針を備え、厚みのあるケースで文字盤に立体感を持たせるなど、当時としては画期的でした。このモデルによってウルベルクのデザインは知名度を得て、時計業界はオートオルロジュリーデザインの新たな領域に突入することになったのです。また、ブッサーが自身の時計ブランドMB&Fを立ち上げる前に手掛けた最後のハリー・ウィンストン オーパスモデルでもあり、独立系時計メーカーとオーパスシリーズを手掛けた経験から大きなインスピレーションを得たことは想像に難くありません。これはウルベルクとブッサー双方にとって大きな出来事であり、転換点となりました。

black watch on wrist

 今年初めに発表されたUR-112アグレガットは、ウルベルクのスペシャルコンセプトコレクションの一部で、ご想像のとおり、すでに過激なデザインのなかでも最も過激なものだけが選ばれています。このモデルは、ラルフ・ローレン氏のカーコレクションにある珍しいブガッティ アトランティックから大きなインスピレーションを受けています。僕はデザイナーではありませんが、真っ黒なボディと、両者がその時代の高性能マシンのように見えることに、関連性を見出すことができます。この時計もクルマと同じようにボンネットを開けると、デジタル秒表示とパワーリザーブ表示が現れます。

holding watch with newspaper and table in background

 フライとバウムガートナーのもうひとつの興味深いインスピレーションの源は、中東の国オマーンへの旅で見つかりました。首都マスカットの海辺で、古い港を眺めながら、カラフルなプラスチックの椅子に座り、地元で作られたグリルチキン料理が提供されるのを待っていたときのことです。そのとき、彼らは目の前にある機械がチキンを柔らかく焼き上げるために回転しているのを見ました。そのシンプルな機械、縦置きされた串がきっかけとなり、ふたりのあいだで議論となり、回転式デジタルジャンプ時針・分針が誕生したのです。独立系であれ、コングロマリット系であれ、これほど新鮮でエキセントリックなデザインのブランドはほかにないと断言できます。

Close up of watch and digital display

 実際の時計としては、DLCコーティングされたチタンとスティールが採用されている。ケースはなんと30m防水で、サイズは横幅42mm、縦幅52mm、厚さ16mmと、ちょっと大きすぎると思われるかもしれませんが、この時計では問題ないと思います。これは伝統的な時計とはかけ離れたもので、時計と同じ基準で考えるべきものではないからです。これは腕の上の工芸作品であり、そのように考えると身につけるのが本当に楽しくなります。大振りな時計ですが、軽量な素材とラバーストラップにより日常的に身につけるには驚くほど気軽に扱える時計です。また、ボンネットの開閉だけでも1日中しっかり楽しめるので、いじくり回すデバイスとしても最適な時計です。

close up of top of watch with hood open

 ウルベルクの自社製キャリバーUR13.01は、UR-112を駆動する自動巻きムーブメントで、2万8800振動/時(4Hz)で鼓動し、48時間のパワーリザーブを備えています。また、ウルベルクがチタン製“トランスミッションシャフト”と呼ぶ部品は、現代の時計製造において最も長い部品のひとつです。ムーブメントのちょうど真ん中に位置し、ディスプレイモジュールと連結して、ジャンピングアワーとミニッツプリズムを駆動します。複雑機構を駆使した時計ではありませんが、その仕組みは非常におもしろいものです。

 ウルベルクは万人向けではありませんが、それはそれで素晴らしいことだと思います。僕たちを取り巻く世界、特に時計の世界は、時に少し旧態依然として見えることがあるように思います。ウルベルクのように、メディアを通して表現の限界を押し広げるブランドが必要なのです。かつての僕は半ば伝統主義者だったのですが、UR-112に出会ってから、前衛的な時計に対する印象がいい意味で変わりました。この時計は好きです。

 もし僕のように視覚を重視するタイプなら、この記事の冒頭のUR-112の動画レビューをお見逃しなく。この時計と過ごした1週間をさらに詳しく説明していますので、ぜひご覧ください。

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HODINKEE Shopは、ウルベルクの正規販売店です。コレクションはこちらからご覧いただけます。

ウルベルクの詳細については、公式ウェブサイトまで。