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Hands-On ウブロ ビッグ・バン インテグラルを実機レビュー

ユニークで、これまでとは異なるビッグ・バン。

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ここ2年間で、一体型ブレスレットをもった時計の需要はかつてないほど高まっている。ビッグ・バン インテグラルの登場は必ずしも驚くことではないが、ウブロがブレスレット一体型モデルを発表するのにこれほど適した時期はなかった。同社は今回、ラバーの代わりにブレスレットを採用したのだ。

 2005年にジャン-クロード・ビバー氏は、時計界からしばらく離れていたものの、彼の一挙手一投足に注目が集まっていた業界に向けて、ウブロ ビッグ・バンを発表した。ビッグ・バンの発表直後は、万人に受け入れられたわけではなかったが、ブランドのアイデンティティを強化し、人気と関心を高め同社の新時代を切り拓いたことは確かだ。それは、同氏が業界での伝説的な地位を獲得することとなった、ブランパンとオメガでも見られた古典的な彼流の魔法が吹き込まれていたのだ。

 ラバーストラップは当初からウブロのアイデンティティの柱であり、ビバー氏はこのことを知っていた。実際、このラバーと貴金属との"融合 "こそが、ビッグ・バン誕生の物語の一部だったのだ。我らがジョー・トンプソンとの会話の中で、同氏はビッグ・バンが2つの要素の融合によってどのようにして生まれたのかを説明した。
「1つはマレーシアの木から天然ゴムを。そしてもう1つは、南アフリカの地球の下から取り出したゴールドです。 ビッグ・バンを通じてのみ、これらの2つの要素を組み合わせることができるのです」

 ビッグ・バンは大成功を収めており、何年にもわたって好評を得てきた。

 ビッグ・バンの始まりという対照的な文脈を考えると、一体型ブレスレットの採用は、初期のデザイン原則に反するように見える。ただ、現代のハイウォッチメイキングという時代においては、一体型ブレスレットでいかに戦うかにあるようだ。時代の流れに屈したのかという意見もあるかもしれないが、私は、ウブロはインテグラルのような時計をいつでも作ることができ、何があってもヒットしていたのではないかと考えている。ビッグ・バンのために貴金属製の一体型ブレスレットを作ることは、全く画期的なことではない。ラバーに映える貴金属製の時計を作ることは、過去15年間、ビッグ・バンで行われてきたことである。ウブロが「今までそれを成し遂げてきたが、いよいよ人々が求めるものを提供する時が来た」と言っているように私には思えるのである。

 ウブロは歴史的に、時計の販売方法において非常に型破りな存在だ。著名人からの強い支持、ターゲットを絞ったブランドの位置付け、そして時計製造における非常に独特で大胆なポジショニングを確立している。多くの時計愛好家が、ビッグ・バンのような時計を見下すような状況があった理由として、高級時計に敢えて安価なラバーストラップを組み合わせるのはあってはならないという考えが一因ではないかと思うが、最近ではその考え方は薄れてきている。
 今は2020年なのだ。私たちは時計に熱狂する中で、そのような堅苦しいルールを破ってきた。いまやルールはないのだ。ウブロの反面教師的な側面としては、「ルールなんてあったはずがない」という考えのもと、狂気を呼び覚ます時計を発表するのに絶好のタイミングなのだ。

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 時計業界で話をしたことのあるコレクターの中には、長い間ウブロに密かに興味をもっていた人が何人もいる。私も確かにそうだった。ウブロの、ライフスタイルと認識されている付帯的な側面には惹かれないが、素材の遊び方には非常に魅了されるのだ。ビッグ・バン インテグラルには、チタン、ブラックセラミック、キングゴールドの3つのケース素材が用意されている(ビッグ・バン インテグラル オールブラックの実機レビューもご覧いただきたい)。3つの素材は全て同じ面取りを施したケースとブレスレットの構成だが、装着感は全く異なるものだ。

 キングゴールドのブレスレットは、昔の王国を支配していた王族が腕に巻いていたゴールドのバングルのように手首を包み込む。キングゴールドは、銅とプラチナの比率が高いため、イエローゴールドよりもさらにリッチで豪華な感じのする暖色の色調に仕上がっている。チタンとセラミックは軽く、手首に爽やかな印象を与えてくれる。ゴールド同様に、これらの素材は簡単に背景に溶け込んでいく。スケルトン化された文字盤を支えるブリッジは、素材に合わせて適切に配置されており、セラミックケースにはブラックのブリッジを、チタンケースにはシルバーのブリッジを備えている。そしてキングゴールドの場合は、キングゴールドケースとシルバーのブリッジのコントラストが際立っている。これらのモデルでは、ベゼルを飾るネジには仕上げは施されていない。もちろん、ネジの向きも合わせていない。

 ビッグ・バン インテグラルのデザインにおける重要な部分は、ラグがブレスレットにシームレスにつながるそのやり方にある。このディテールには、目的と意図が込められている。ケースに接する頑丈なエンドリンクの角度は均一で、見苦しい継ぎ目を隠すためのギミックは必要ない。全てがあるべきように並べられており、すっきりとしている。

 クリーンといえば、インテグラルの文字盤はアラビア数字を廃してシンプルなインデックスを採用している。ケース形状を視覚的に強調したうえで、HUB1280ムーブメントのコラムホイールなど、スケルトン化された文字盤から見えるテクニカルな部分へと視線を誘導している。
 最先端の素材で作られたハイテクなハイパーカーには、エンジンを垣間見ることができるようにガラスが採用されていることがよくあるが、このインテグラルも同じ哲学を踏襲しているのだ。このような技術的な進歩は、視覚的な面白さを求める人にとっても見逃せない。

 モデルによってケース素材の種類が異なるが、リューズのラバーモールディングやベゼル周りの樹脂バンパーは、時計を巻き上げるときや日付表示ディスクを回した際に、コレクション全体に同じ触感を与えている。これは部分的に意図されたものだ。角型のプッシャーは、ビッグ・バン初期のデザインから直接持ち出された意匠である。

 では、インテグラルは、ベル&ロス BR-05ショパールのアルパインイーグルのように、最近登場した一体型ブレスレットモデルの新しい波となる時計と、どのように競合するのだろうか。私はそうであるとは言い切ることができない。ウブロは、彼らの指針となる哲学「ユニークで他とは違う」ことを主張し、インテグラルは実際にそれを裏付けている。 この時計は、ステンレススティール製でなく、それだけでも別のカテゴリーといえるのだ。 SSが伝統を尊重するところ、金、チタン、セラミックのトリオは逆へ行くのだ。その意味で、ウブロはユニークで他とは異なるという伝統を受け継いでいる。

 ビッグ・バン インテグラルはタイムリーかもしれないが、時代性があるとは言いがたい。今でも、ウブロ史において最初から製造されていたと感じさせる時計だ。もしかしたら、これは15年前にビバー氏が練り上げたマスタープランの一環だったのかもしれない。

価格: チタン: 222万円(税抜)、キングゴールド: 556万円(税抜)、ブラックセラミック:  244万円(税抜)世界限定500本
 その他スペックなどの詳細は、ウブロ ビッグ・バン インテグラルの紹介記事をご覧いただきたい。
その他詳細は、ウブロ公式サイトへ。

写真; ティファニー・ウェイド