trophy slideshow-left slideshow-right chevron-right chevron-light chevron-light play play-outline external-arrow pointer hodinkee-shop hodinkee-shop share-arrow share show-more-arrow watch101-hotspot instagram nav dropdown-arrow full-article-view read-more-arrow close close email facebook h image-centric-view newletter-icon pinterest search-light search thumbnail-view twitter view-image checkmark triangle-down chevron-right-circle chevron-right-circle-white lock shop live events conversation watch plus plus-circle camera comments download x heart comment default-watch-avatar overflow check-circle right-white right-black comment-bubble instagram speech-bubble shopping-bag

Hands-On IWC パイロット・ウォッチ・オートマティック・スピットファイア

39mmのSS製・純パイロットウォッチ。

ADVERTISEMENT

レビューのためにこの時計を受け取り、価格を再確認して最初に思い浮かんだことは、IWC パイロッ卜・ウォッチ・オートマティック・スピットファイアはこのうえなくお買い得だということだ。ギアを入れ替えて、The Value Propositionの記事として書こうかと考えたほどで、そっちの企画でも通用すると思ったからだ。個人的にもIWCについて書くのはワクワクするのだが、2000年代半ばに時計ジャーナリストとしてスタートしたばかりの時代に戻れる気がするという理由もある。その頃私が、IWCについてよく評していたことは値段相応の価値があるということだ。結局のところ、IWCは時計の世界に初めて手の届く値段のスプリットセコンド クロノグラフと、比較的手頃なグランド・コンプリケーションを世に出したブランドなのだ。
 初期から存在していた実用的なスタイルが、本機には特に現れていると感じる。パイロット・ウォッチ・オートマティック・スピットファイアの価格はわずか54万円(税抜)で、この値段で実にたくさんのことを手にすることが可能だ。

 60万円未満の価格で、新たな自社製オートマティックムーブメントであるCal.32110が手に入り、またそれには時計愛好家をして驚きの72時間パワーリザーブまで備わっている。ムーブメントは、シリコン製ガンギ車とレバーも搭載。3日間パワーリザーブを用意したのは、同社が、複数の時計を所有する人に向けて、日付や時刻をリセットすることなく時計を着け換えるシーンを想像したからだろう(そうは言っても、この時計こそ私がいつも着けていたい時計なのだが)。

テキスタイルストラップを部分的に取り外すと、頑強なケースバックが現れる。

 もちろん、新しいムーブメントは目にできない。裏蓋はクローズドで、軟鉄製インナーケースがムーブメントを包み込み、日常生活における磁場からそれを保護している。鉄製インナーケースで機械式ムーブメントを保護するこの方法は、IWCがパイロット・ウォッチおよびインジュニアコレクションで長年用いてきた実績のあるものであるが、いくつかのブランドから耐磁性ムーブメントがますます発表される時代には、この方法は少し時代錯誤になってきたような感がある。とはいえインナーケースを採用しながら、本機の程良いケース径や厚みには満足している。裏蓋についていえば、クローズドで問題ない。スピットファイア・オートマティックは、紛れもなくヴィンテージの魅力を備えた時計であるが、私にとっては、裏蓋は全体の一部に過ぎない。ただし、もし穴あきタイプのラグだったら...この時計はほぼ完璧にだったと思う。

ADVERTISEMENT

 直径39mm、厚さ10.8mmの新しいオートマティック・スピットファイアは、IWCのパイロットコレクションの中で最小ではないが、最大の時計にはほど遠い。それは完璧なサイズかもしれない。手首に着ければ、39mmケースは夢のような着け心地だ。このようなモダンなパイロット・ウォッチをこれ以上小さくしたくはない。10.8mmの厚みは、付属する丈夫なテキスタイルストラップを装着するのに十分なスペースを確保できる。このサイズは、昨年リリースして話題となったIWCと我々のコラボ作・パイロット・ウォッチ マークXVIIIエディション「ホディンキー」と同じである。これらの時計はいずれも、40mm x 11mmだった従来のオートマティック マークXVIIIよりもほんのわずかに小さい。

 IWC スピットファイアは、所有したことがないにもかかわらず、私の記憶の中で特別な位置を占めている。私が最初に扱った時計リリース情報のひとつ(正確にはふたつめ)は、IWC パイロット・ウォッチ・スピットファイアで、2006年にまで遡る。そのスピットファイアは、定型化した金属製文字盤を備えており、「ニュー・ヴィンテージ」と呼ぶにふさわしい装いで、今回の時計とはデザインがかなり異なっていた。現在のスピットファイアは、スピットファイア機のコックピットからインスピレーションを得たもので、文字盤には深みと質感がありあたかも別の時代の時計を連想させる。夜光が塗布された黒文字盤は、発光性に加えて、優れた視認性も確保。この時計を着けていたのは短期間でるが、私はいつもどおり仕事をしながら繰り返し手首を見ていた。フォティーナ(fauxtina)についていろいろ意見はあるだろうが、この出来栄えは素晴らしいと思う。

 スピットファイア・オートマティックにはいくつかのバリエーションがある。この、SSケースに素晴らしいテキスタイルストラップの付いたもの、もしくは素敵なカーフスキンストラップが付いたもの。また、カーフスキンストラップとブロンズケースのバージョンもラインナップされる。ブロンズは最近人気の素材であり、時間の経過と共に緑青が付く性質は、時計に自分のしるしを遺したいという多くの時計愛好家にとって魅力的だ。IWCは、ブロンズケースのバージョンに高価な料金設定はしていない。それは依然として60万円以下に抑えられており、この価格は多くの人が時計の購入を決断する重要な心理的ラインだと思う。
 それでも、私は、SSのバージョンの方が好みである。するとストラップの選択となるが、SSモデルでは、テキスタイルストラップでも、茶色のカーフスキンストラップでも、価格はどちらもちょうど54万円(税抜)。カーフを選ぶのが普通と思うかもしれないが、必ずしもそうとは限らない。スピットファイアにはこのテキスタイルストラップがよく映えるのだ。私が一番気に入った組み合わせでもある。

IWC パイロット・ウォッチ・オートマティック・スピットファイア。ケース:39mm x 10.8mm ステンレススティール製、ケースバック、ねじ込み式リューズ付き。6気圧防水。耐磁性軟鉄製インナーケース付き。ムーブメント:IWCの新しい自社製キCal.32110、2万8800振動/時で稼働、21石、部品164個、72時間パワーリザーブ、ハック(秒針停止)機能付き、シリコン製レバーとガンギ車。文字盤:夜光塗料付きの黒。ストラップ:SS製バックル付きのテキスタイルストラップ。

詳細についてはIWC公式サイトへ。