trophy slideshow-left slideshow-right chevron-right chevron-light chevron-light play play-outline external-arrow pointer hodinkee-shop hodinkee-shop share-arrow share show-more-arrow watch101-hotspot instagram nav dropdown-arrow full-article-view read-more-arrow close close email facebook h image-centric-view newletter-icon pinterest search-light search thumbnail-view twitter view-image checkmark triangle-down chevron-right-circle chevron-right-circle-white lock shop live events conversation watch plus plus-circle camera comments download x heart comment default-watch-avatar overflow check-circle right-white right-black comment-bubble instagram speech-bubble shopping-bag

Entry Level 最も手ごろな価格のブライトリングは、最高の時計の一つでもある。

どんな人の腕にも合う、パウダーブルーの小ぶりなダイバーズウォッチだ。

「Entry Level」では、高級時計メーカーの最も安価な時計を紹介する。それらはまだ決して安くはないが、どのブランドもどこかから始めなければならないだろう。

ADVERTISEMENT

バーゼルワールド2019のことは、あまりよく覚えていない。時計のこと。レ・トロワ・ロワでの夜ふかしのこと。ソーセージとミックスナッツのこと。これが最後になるとは思いもしなかった。しかし、ジョージュ・カーンは知っていた。彼とブライトリングはすでにそれを理解していた。2019年4月にフェアが終了した数日後、ブライトリングのボスはスケジュールの都合を理由に、毎年恒例だったバーゼルワールドへのブースの出展をやめることを発表した。

A blue Breitling watch on a wrist

 その最後のバーゼルワールドで、ブライトリングのスターはみなが覚えている限り最も輝いていた。私はアポイントメントの後、同僚の一人に身を乗り出して「ブライトリングのコレクションは、トップからボトムまで最強だと思う」と言ったことを鮮明に覚えている。それは製品の多様性が必ずしも同社の強みではなかったカーン以前の時代からの真の進化だった。そしてブライトリングの2019年のリリースのうち……最大のニュースは、もちろんブライトリング ナビタイマー Ref. 806 1959 リ・エディションだったが、私の心に深く残り続けていたのはスーパーオーシャンの静かな刷新だった。

 この年、ブライトリングは最高級のダイバーズウォッチを全面的にリニューアルし、36mmから48mmまでの5種類のサイズを発表した。「女性のためにデザインされた」と言われる36mmのサイズはブライトリングの現行の機械式時計への新たな入り口であり、その日すぐに目に留まった。

A blue Breitling watch on an orange background

 写真のライトブルーのダイヤルと、鮮やかなオレンジのダイヤルがあるが、36mmのスーパーオーシャンはオタマジャクシではない。スーパーオーシャンの魅力と、ほかのコレクションに見られるほとんどの機能性はそのままにクジラのような時計に仕上がっているのだ。アプライドのアワーマーカーとアラビア数字には鮮やかなスーパールミノバが使用されており、夜になるとビーチフロントのカニ小屋の上にあるネオンサインのように光る。ブライトリングの常としてムーブメントはクロノメーター認定を受けており、ここではセリタ製のエボーシュを採用している。

 ラウンド型ケースに、太いラグとリューズガードを組み合わせ、ソフトなエッジで仕上げている。また、ISO規格に準拠した200m防水の耐圧試験も行われている。ここで注目すべきは深い歯を持つ逆回転防止ベゼルだ。1950年代のオリジナルや1990年代から2000年代にかけて流行したスーパーオーシャンとは異なる、現代のスーパーオーシャンシリーズならではの厚みが特徴的である。

 年代半ばの思い出といえば、ダイヤルに入っているクラシックな“ウィングドB(winged-B)”のロゴだ。カーンの戦略について聞いた最大の不満と、ブライトリングがすぐに取り入れた変化はこのロゴを捨てるという動きだった。2019年にこれらの時計を初めて見たときには気がつかなかったが、ブライトリングは特定のスポーティなモデルに再び使用する決定を下したのだ。

The caseback of a watch on an orange fabric background

 ブライトリングはすべてがヴィンテージである必要はないことを知っている。私はこのスーパーオーシャンの外観が臆面もなく現代的であるということを気に入っている。洗練されていて、ほかの時代にはないポップなカラーリングが施されている。ブライトリングはほかの時計ブランドよりも豊富な商品群を持つが、大きな成功を収めるためには革新を続け、他の追随を許さない新鮮でエキサイティングなものを顧客に提供する必要があることを知っているのだ。

 スーパーオーシャンの近年の歴史は奇妙なものだ。歴史上、1950年代にあらゆるブランドが水泳やダイビングの需要に応えるためにダイバーズウォッチを発表した頃から存在した。しかし、1980年代、90年代、2000年代のブライトリングの近代的な全盛期を経て、ナビタイマー、アベンジャー、コルトといった大型のパイロットウォッチや、今年初めに終了したばかりのベントレーとの長期にわたるコラボレーションに注力する間、スーパーオーシャンは少し後回しにされてきたようだ。

ADVERTISEMENT

 2010年に、ベーシックなスーパーオーシャンはスーパーオーシャンⅡに事実上置き換えられた。2015年、スーパーオーシャンⅡは独立したラインとなり、通常のスーパーオーシャンが戻ってきた。2017年、ブライトリングはスーパーオーシャンⅡの命名規則をやめ、ヴィンテージ風のスーパーオーシャン ヘリテージコレクションを採用した。現在では、スーパーオーシャン ヘリテージとこのモデルで見られるスーパーオーシャンが同居している。まだ混乱している?

A watch strap on an orange background

 36mmのスーパーオーシャンは、ブライトリングにおける機械式時計の新しいエントリーレベルだ。クォーツが欲しい方にはスーパークォーツを搭載したエンデュランス プロコレクションが3000ドル(約34万円)以下でそろう。3600ドルという価格ならタグ・ホイヤーのアクアレーサー、チューダーのペラゴス、オリスのアクイス キャリバー400などと並んで、ミドルクラス・ミドルレンジのダイバーズウォッチの仲間に入るだろう。このモデルは、そのグループのなかでブライトリングのファンや若いファンにも受け入れられる独自の現代的なスタイルを備えている。ダイバーはちょっと……という方には、2019年に戦略的にアップデートされた現行モデルのブライトリング アベンジャーをおすすめする。

A blue Breitling watch on the wrist of a person resting their head in their hands

 その歴史もスペックもいいのだが、最も重要なのはこの質問だ。装着感は? まあ、ヴィンテージウォッチのように着用できる。ネットで見つかる36mmのスキンダイバーに似た装着感だと言うことだ。
 
 36mmのダイバーズウォッチを作っているメジャーなスイスブランドがいくつあるかわかるだろうか? オメガはかつてかなりの数を製造していた(すばらしい中古品が出回っている!)。ラドーのキャプテン・クックは37mmだ。ブランパンは? 38mmだ。実際、長い間考えてみたが、36mmの機械式ダイバーズウォッチのメーカーとしてはオリスのダイバーズ 65とマラソンのMSARしか思いつかなかった。

 ブライトリングはパイロットウォッチやクロノグラフで知られている。それは間違いない。しかし、2017年にカーンがブランドを引き継いだ後、彼は同社のベストセラーウォッチが、実は何年も前からダイバーズウォッチであったことを報道陣に知らせた。それがスーパーオーシャンだ。2019年、同社がもう一度ラインを刷新したのはこのラインの強みを最大限に引き出すためだった。そして、淡いブルーのダイヤルと完璧なジェンダーニュートラルの雰囲気を持つスーパーオーシャン 36は、ブライトリングの世界に入るためのすばらしい手段だ。

Images by Dana Golan

ブライトリングの時計の詳細は、同社のウェブサイトをご覧ください。