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腕時計を最もオシャレに身に着けた男たち

新しいHODINKEEコラムの第2回目は、メンズウェア界の重鎮、シド・マッシュバーンが、ポール・ニューマン以外の3人の男を紹介します。

こんにちは。シドです。

時計(と洋服)の世界では誰もが知る、ポール・ニューマンをはじめとした同時代の主役たちがいます。彼らの素晴らしさは私が語るまでもないでしょう。しかし、最もスタイリッシュに時計を身に着けた人物といえば、実は他にもたくさんいるのです。

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1人めは、私の地元から、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師(MLK)の登場です。私にとってキング牧師は、その時代からして既に頭角を現しています。60年代は、細身でありながらテーパードしすぎないシルエット、毎日のように着られるコートとネクタイなど、1986年のJ.クルーから今日の私のコレクションに至るまで、私が手がけた全てのコレクションに影響を与えました。MLKは大きな仕事をしていましたが、彼は自分が何を着ているかをあまり気にしていませんでした。スーツを着てシャープに見えることは、実際にその仕事においてかなり重要な部分ではありました。

 いったん、ここでは時計の話をしましょう。有名な話ですが、MLKは2つの時計を身に着けていました。ロレックスのデイトジャスト(36mm、18Kゴールド、ジュビリーバンド)と、レザーストラップのタイメックスです。ロレックスの方が多く報道されていた......というか、彼はそれを身に着けて写真を撮ることが多かった。デイトジャストは確かに彼の代名詞的な時計でした。でも、私は彼がもうひとつの時計を着けた姿を想像したいのです。

 私は昔からタイメックスが大好きです。ジョン・キャメロン・スウェイジの言葉を借りれば、"take a licking and keep on ticking.(舐めても大丈夫、時を刻み続けられる)"。安くて陽気で、やるべきことをやってくれる。カッコいいですよね。スタイルとは、創造的にミックスすることでもありますが、一貫性でもあります。彼がどんな服を着るかは周知の事実で、スーツにネクタイ、蝶々で縁取った口ひげ、そしてロレックスかタイメックスだったわけです。

Getty Images

 イタリアの実業家であるジャンニ・アニェッリ(愛称はアッヴォカート・L'Avvocato)もまた、時計を自分のスタイルの一部としていた一人です。興味深いのは、G.A.が優れたセンスを持ち、美しいものを愛していたにも関わらず、彼が身に着けるものには実用性が伴っていたことです。フラテッロ、パテック フィリップのワールドタイム、巨大なオメガ プロプロフ......と、かなりの数の時計を所有していたのです。

 しかし、重要なのは時計そのものではなく、彼がそれらをどうやって身に着けていたということ。ブルックス ブラザーズのシャツのカフスやスキースーツの上、あるいはパジャマの上からでも時計を巻いていた。その理由は定かではありませんが......シャツの袖口がタイトで時計が入らなかった、ということだと思います。シーマスターの場合は、特に。しかし、それは感覚的な問題かもしれませんし(実のところは不明)、単に違和感を狙ったものかも。結局のところ、彼は自分のスタイルを貫いていたというわけです。アニェッリは、カラチェニの手作りスーツにハイキングブーツを履き、ネクタイはいつもフィアットのハンドルで結んだように見えました。

Image and Artwork © 2021 The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc. / Licensed by ARS

 さて、おまけにもうひとつ。時計マニアの友人によると、アンディ・ウォーホルはカルティエのタンク ウォッチに黒のアリゲーターストラップを付けていて、その時計は1日に2回しか時間が合わないそうです。彼は良いスタイルを表現していましたが、それは必ずしも私の好みではありませんでした。私が彼のスタイルを賞賛するのは、それが明らかに彼のものだったからです。アンディは「僕は時間を知るためにタンクを着けているわけではない」と語り、「実際、リューズを巻いたこともないんだ」と。彼は、その時計の見た目が好きだから着けていたわけです。

 人を見て、観察して、気付き、評価して......と、周りに気を配らなければ、おしゃれな人間にはなれません。アンディの遺産の大きな部分は、人に対する好奇心だと言えるでしょう。インタビューでは、アーティストやミュージシャンなど、さまざまなクリエイターの生き方や考え方、スタイリングを紹介していました。そうでなければ、カルティエが「身に着けるべき時計」であることをどうやって知ることができたでしょう? とにかく、白いウィッグと時間の分からない時計。それは変わっているのか、それともスタイリッシュなのか。どちらにしても褒め言葉です。

シド・マッシュバーンはデザイナーであり、アトランタ、ワシントンD.C.、ダラス、ヒューストン、ロサンゼルス、そしてオンラインにある5つのメンズウェアショップの名物オーナーでもある。

Top photograph: Getty Images.