Introducing オリス　プロパイロット アルティメーターが新しくなって帰ってきた（編集部撮り下ろし）

　もしあなたが機械式高度計を搭載した機械式腕時計が市場に登場するのを待っているのであれば、この時計しかないため注意しよう。

　2023年のプロパイロット アルティメーターは、オリジナルモデルのレイアウトと機能を忠実に再現しているが、高度計の複雑機構は新しく一新され、6000m（1万9700フィート）まで計測できるようになり、さらにカーボンファイバー製ケースが採用されたことで、多くの機能がアップデートされた（オリジナルのムーブメントは、4500m/1万5000フィートまで計測可能だった）。ケースの直径は47mmのまま（ただしその文字盤には、たくさんのデータが収められている）だが、オリスは厚さを1mm薄くして、新しいプロパイロット アルティメーターを16mmにすることに成功した。薄くはないのだが、実測値は薄くなっている（そして見た目もいい感じだ）。

　カーボンファイバーケースにチタン製のベゼルと裏蓋を採用し、ケース自体は9T Labs（カーボンファイバーを出力できる3Dプリンタなどの設計プロセスを開発するメーカー）とのパートナーシップにより、3Dプリントという革新的な手法でつくられている。“additive manufacturing and molding（3Dプリンターでの成型）”と表現されるこのプロセスは、従来の3Dプリントよりもはるかに精巧な技術であり、オリスは9T Labsを使用して初めて時計ケースを製造したのだ。

　このケースのなかには、約56時間のパワーリザーブ、さらに機械式高度計を搭載した自動巻きのオリスキャリバー793が納められている。この高度計は、文字盤のインナーリングにあるマーカーと同心円のスケールによって、アクティブな状態とスタート時の高度を表示することができるものだ。高度計の使用方法は、4時位置のリューズを引き出し、リューズを回転させて基準高度（ハイキングのスタート地点など）に合わせて調節するだけと非常に簡単。さらにプロパイロット アルティメーターは1度設定が完了すれば、黄色く塗られたインジケーターで高度の変化を表示し、またリューズには空気や湿気が入らないよう、特別な機能性膜を備えているのも特徴。なお100mの防水性が必要な場合は、必ずリューズを戻してねじ込んでから使用して欲しい。

　オリス　プロパイロット アルティメーターは2023年4月より発売予定で、販売価格は88万円（税込）。さらにユーザーは、高度をメートル単位で表示するものと、フィート単位で表示する、ふたつのリファレンスから選ぶことが可能だ。

　オリスの立場からすると、プロパイロット アルティメーターはブランドが持つ実力の幅を示すと同時に、独立系ブランドが望む、自由にやりたいことをやるということを強調した、個性あふれる時計だ。ダイバーズ 65とポインターデイトがヒット作ならば、プロパイロット アルティメーターは知る人ぞ知る作品に位置づけられるだろう。ちょっと見せびらかすようなアイテムだが、本当に知っている人にしかわからないからいいだろう。

　オリスの純粋なファン、または奇天烈なスポーツウォッチのファン、もしくはミッドセンチュリー的なものかそうでないか考えを持つファン、全員にとってプロパイロット アルティメーターは、オリスの全ラインナップのなかで最もエンターテイメント性が高く、さらにギーク的なアイテムとなるような特殊性、楽しさ、そして卓越性を備えた時計だ。おかえりなさい！

ブランド: オリス（Oris）
モデル名: プロパイロット アルティメーター（ProPilot Altimeter）

直径: 47mm
厚さ: 16mm
ケース素材: カーボンファイバー（3Dプリンターと同様、積層造形とモールディングによって製造）、ベゼルと裏蓋はチタン製
文字盤: ブラック
インデックス: プリント
夜光: あり、スーパールミノバ
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: グリーンテキスタイル、ブラウンレザーライニング、PVDチタンバックル（微調整機能付き）

キャリバー: Oris 793
機能: 時・分・秒、日付表示、機械式高度計（6000メートルまたは1万9700フィートまで計測可能）
パワーリザーブ: 約56時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時

価格: 88万円（税込）
発売時期: 2023年4月予定