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Introducing ノモス テトラ シンフォニーコレクション ルードヴィヒ・ヴァン・ベートヴェンへのオマージュ

ベートーヴェン好きな時計ファンの方にとって、この記事は耳に心地よく響くことだろう。

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クイック解説

 ノモス グラスヒュッテのテトラ・コレクションは、私が常々もっと注目を浴びるべきだと感じてきたものだ。これはノモスのコレクションで人々の話題に上る初めてのコレクションというわけではないが、しかし本機は、その物理的側面と、愛好家の世界に残した足跡とが、全く釣り合いがとれていないと私は感じるのだ。私は2016年に2つのモデルを手に取る機会を得るまで、個人的にはテトラの腕時計にそれほど思い入れはなかったのだが、直に触れてみると、それらがいかに説得力のあるものであるかに非常に衝撃を受けた。

 ノモスは今回新たに4つの時計をテトラコレクションから発表した。ルードヴィヒ・ヴァン・ベートヴェンへのオマージュであるとノモスはアナウンスしており、4つの時計には、ベートーヴェンのいくつかの作品に因んだ名前がつけられている。とりわけ交響曲第9番。その最終楽章は有名な『オード・トゥ・ジョイ(歓喜の歌)』で、歌詞はフリードリヒ・フォン・シラーが1808年に書いた詩からとっている(交響曲の完成は1824年)。

テトラ ディヴァイン・スパーク

 4つのモデルは、『ディヴァイン・スパーク(神々の霊感)』、『オード・トゥ・ジョイ(歓喜の歌)』、『イモータル・ビラヴドゥ(不滅の恋人)』、『フィデリオ』で、ダイヤルの色はそれぞれ、カッパー、オリーブグリーン、ターコイズ、そしてダークブルーだ。『ディヴァイン・スパーク』は、ドイツ語の「グッテルフンケン」を英語にしたもので、これは『歓喜の歌』の歌詞の中に出てくる(「フロイデ、シェーネル・グッテルフンケン、トホテル・アウス・エリーズィウム…」というように)。『オード・トゥ・ジョイ』は説明するまでもなく有名である。『イモータル・ビラヴドゥ』は、ベートーヴェンが1812年7月6日と7日にライプツィヒで書いたとみられる謎の手紙を指している(この年は、ナポレオンの大陸軍がロシアに侵攻して、緊迫していた)。

ヨーゼフ・カール・シュティーラーが1820年に描いたベートーヴェンの有名な肖像画。

 手紙は10ページにわたるラブレターで、彼の「不滅の恋人」に宛てたものだ。ベートーヴェンは結局その手紙を送らず仕舞いで、現在も未だに誰に宛てて書かれたものなのかという憶測を少なからず呼んでいる。『フィデリオ』はもちろん、1805年初演のベートーヴェン唯一のオペラだ(オリジナルの題名は『レオノーレあるいは夫婦愛の勝利』となるはずだったことをつい今しがた私は知ったのだが、『フィデリオ』のほうが少しばかりパンチが利いていると認めざるを得ないだろう)。

 作曲家ベートーヴェンのキャリアから選ばれたこれら4つの断片は、彼の最も有名な作品や、経歴における最も重要なミステリーのひとつを象徴している。『イモータル・ビラヴドゥ』の手紙は、1994年にそれを基にした同名の映画が作られた(邦題は『不滅の恋/ベートーヴェン』)。ゲイリー・オールドマンが主役のベートーヴェンを務め、彼の死後に秘書が手紙の受け取り人となるはずであった相手を突きとめようとする筋書きだ。

テトラ フィデリオ

 各時計のムーブメントはノモスのアルファキャリバーだが、これは10½リーニュのラウンドムーブメントで、厚みは非常に薄い2.6㎜だ(このムーブメントはプゾー/ETA 7001が基になっている)。

ファースト・インプレッション

 既に述べたように私は、テトラはどれも直に見ると非常に説得力があると思っている。2016年以来、ノモスの他の新モデルの陰に隠れてしまっている感があるが、真にエレガントな20世紀中盤の趣をもつ時計を求める方には、依然として実に素晴らしい価値を提供できると思う。そしてそのうえ、モダンな存在感もしっかりとあるし、なによりこれは現代の洗練された時計づくり業界の重要な一翼を担い続けているブランドの製品なのだ(そしてそのブランドは、大手ラグジュアリーグループのひとつに買収されることもなく、ビジネスをなんとか続けてきたというある種の奇跡を起こしている)。 

テトラ オード・トゥ・ジョイ

 このコレクションについての明らかな疑問は、「これらは実際どれほどベートーヴェンに結びついているのだろう」、そしてそれに続いて絶対に起こる質問は「実際、結びついていたとしてそれにどれほどの意味があるだろう」ではないだろうか。デザインに何か具体的にベートーヴェンにまつわるものは見つけられていない。というか、確かに『イモータル・ビラヴオゥ』にはブルーの陰影があり、それがゴールド色の針の輝きと対照をなしていると、戦争に苛まれた世界で叶わぬ恋の告白について思案する、悩ましい天才作曲家の哀愁を想起させると考えることも可能だ。しかし、時計を時計として楽しむのにそんな連想は必要ないし、敢えて言わせていただくが、この時計そのものの長所によってこれを気に入る方ならどなたでも、背景にベートーヴェンの影が付きまとっていようがいまいが、どちらでも同じようにこれを魅力的と感じることだろう。

テトラ イモータル・ビラヴドゥ

 作曲家ベートーヴェンとの繋がりはむしろ、もっと一般的なものだ。今年は彼の生誕250周年に当たるが、もちろんそこに、「丸ごとドイツ製のもの」という事実があてはまる。しかし私にはこの時計が、それ自体の(かなりの)長所によって立派に独り立ちしているように見える。実は、そのデザインとベートーヴェンの生涯における出来事との間の関連性を、ある種のイマジネーションに委ねているところが、このコレクションの良さのひとつだと私は思うのだ。その関連性があまりにも分かり易ければ、それは容易に何か非常に明白で興味をそそらないものになってしまうと思う。そこをノモスは何とか上手く回避している。
 この4種の配色はテトラ ラインナップを非常に魅力あるものにするアップデートであり、コレクションにパステル色を加えてさらに広がりを持たせてもいる。それも、興味を引くムーブメントと際立つ個性的なデザインを持つウォッチとしては、非常に魅力的な価格でだ。 24万5000円(税抜)で手にすることができる。

 そしてもし、あなたがこのイモータル・ビラヴドゥを覗き込んでたちまち、遠い昔の7月の日の戦争に苛まれるヨーロッパで、窓から絶望的に宙を見つめる目の血走ったベートーヴェンが浮かんでくるようなことが起こるなら、それはさらに良いことである。あなたを愛してくれることのないたったひとりの心から愛する人に、今日おひとつ購入してはいかがだろう。

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基本情報

ブランド:ノモス グラスヒュッテ(NOMOS Glashütte)
モデル名:テトラ シンフォニーコレクション(Tetra Symphony Collection)
ケース幅: 29.5mm x 29.5mm
ケース厚 :6.5mm
ケース素材:ステンレススティール
文字盤色:モデルにより様々
防水性能:30m
ストラップ/ブレスレット:ベロアレザー、ラグ幅18mm


ムーブメント情報

キャリバー:ノモス アルファキャリバー
機構:時、分、スモールセコンド
直径:10½リーニュ
厚さ:2.6mm
パワーリザーブ:43時間
巻き上げ方式:手巻き
石数:17
クロノメーター認定:無し。ノモスにより6姿勢で社内調整済み


価格・販売

価格:24万5000円(税抜)
販売:現在発売中

 全コレクションをご覧になるにはノモス公式サイトへ。