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Introducing ヴァシュロン・コンスタンタン トラディショナル・スプリットセコンド・クロノグラフ・エクストラフラット - コレクション・エクセレンス・プラチナ 2021年新作

由緒ある伝統に現代的なモニュメントを加えた一品だ。

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ヴァシュロン・コンスタンタンを長く愛用している方なら、自動巻きのラトラパンテ キャリバー3500をご存じかもしれないが、ご存じない方もいらっしゃるだろう。これはエキゾチックなキャリバーだ。ペリフェラルローターを備え、スプリットセコンドの自動巻きムーブメントで、精巧に仕上げられており、このキャリバーのための新しい技術革新がいくつか盛り込まれている。ムーブメントに興味のある方であれば、そのアイデアに固唾を飲んでいることだろう。しかし、ヴァシュロン・コンスタンタンが、2015年にハーモニー・クロノグラフ・グランド・コンプリケーション・エクストラフラットで一度しか使用したことがないため、知らないか、知っていても忘れてしまっている可能性が高いだろう。

 長く中断していたこのモデルが、メゾンによって再び限定モデルとして登場したのだ - しかし、ハーモニーのケースよりも、デザインや全体的な雰囲気が伝統的な時計製造のイメージに近いものとなっている。

 コレクション・エクセレンス・プラチナ(高そうな響きですよね?)トラディショナル・スプリットセコンド・クロノグラフ・エクストラフラットにご挨拶を - この時計は、Watches & Wondersで最も美しいクラシックな時計であると同時に、今現在、最も心を揺さぶられる素敵な時計の一つだ。

 この作品をハーモニーと並べてみて、クラシックなデザインに心が躍ったとしても、それは実際には勝負にならない。ハーモニーは決して見た目が悪いわけではないし、ヴァシュロンはその歴史の中で、しばしば変わったケース形状を採用してきた(クッションケースが時計業界の落選展“Salon des Refusés”に引っかかるわけでもない)。しかし、スプリットセコンド・クロノグラフ、特に仕上げに命をかけたムーブメントをプラチナのラウンドケースに収めることには、否定できない魅力がある。それは、ロマネ・コンティをハイボールグラスで飲んでも美味しく感じられるかもしれないが、ちゃんとした大きなワイングラスで飲むとより美味しく感じられるのと同じようなものだ。

 エクセレンス・プラチナ・コレクションは、このムーブメントを探すのに最適な場所だ。同コレクションは、トラディショナルモデルのサブカテゴリーで、特定のヴィンテージモデルを復刻するものではないが(それはヒストリークが担うものだ)、ジュネーブとスイスの伝統的な高級時計を表現することを目的としており、必要に応じて現代的な技術的解決策が組み合わされている。Cal.3500とこの時計では、まさにそれが実現されている。モノプッシャー、スプリットセコンドのデザインだが、ムーブメントにいくつかの技術的な改良が加えられており、昔の保守的な設計のスプリットセコンドキャリバーを凌駕している。

 ヴァシュロンが2015年に発表したように、スプリットセコンド・クロノグラフを“グランド・コンプリケーション”と呼ぶことは、この言葉が歴史的に意味してきたこととは若干異なるが(通常、この言葉はスプリットセコンド・クロノグラフ、リピーター、永久カレンダーを搭載した時計に用いられる)、スプリットセコンド・クロノグラフが高度な複雑機構とみなされていること、そして永久カレンダーとミニッツリピーターがなぜ同格であるのかを伝えるという点では悪くないだろう。スプリットセコンド機構には、ムーブメントの2つのコラムホイールの調整や、2本の秒針を“スプリット”させる機構など、多くの部品を正確に連動させる必要がある。

 スプリットセコンド・クロノグラフとは、2本の秒針をもつクロノグラフだ。これらの秒針は、“スプリット”ボタン(このケースでは2時の位置にある)を押すまで、重なり合って動いている。このボタンを押すと、片方の針は止まるが、もう片方の針は動き続ける。この機能によって、連続したラップタイムを正確に記録することなどが可能になるのだ。下の写真は、スプリットセコンド針を固定するためにホイールに取り付けられたペンチ型のブレーキ。挟み込みが解除されると、バネで作動するカムとローラー(ローラーは通常ルビー製)により、スプリットセコンド針が、まだ動いている秒針と一緒に反転する。この機構全体の動作は非常に繊細で、2つの秒針を正確に重ね合わせる必要があるため、調整には細心の注意が必要だ。さらに、適切に動作させるためには、秒針をできるだけ軽く、薄くする必要がある。

 先ほどCal.3500には、他のスプリットセコンドムーブメントに比べて技術的に優れた点があることをお伝えした。その中でも最も分かりやすいのが、自動巻上げ機構だ。Cal.3500はペリフェラルローターを採用しているが、このような機構は、回転エネルギーを巻上げ機構に伝達するという点で、伝統的なセンター・ローターに比べて本質的に効率が悪いことは、歯車マニアの方ならご存じだろう。そのため、ペリフェラル巻き上げ機構は比較的珍しく、また、クロノグラフ機構に取り付けるのが難しいため、スプリットセコンド・クロノグラフには搭載されないのだ。ペリフェラルローター式には、ムーブメントの動きが見えるという利点もある。これほど美しいムーブメントであれば、その動きを見るための障害物はできるだけ少なくしたいものだ。

 クロノグラフのクラッチシステムにも、ヴァシュロン・コンスタンタン独自のデザインが採用されている。それは、摩擦結合された駆動輪をもつ水平クラッチ機構である。このアイデアは、水平クラッチ機構の美しさを保ちながら、摩擦結合された垂直クラッチの利点、すなわち使用者がクロノグラフをスタートさせたときにクロノグラフの秒針に起こりうる動きの乱れを発生させないという利点を目的としている。

 また、通常の30分積算計から60分積算計に変更されたことや、パワーリザーブインジケーター(Cal.3500のパワーリザーブは48時間)なども注目すべき点だ。

 このデザインにおける唯一の欠点は、厚さではなく直径がやや大きいことだ。ムーブメントの厚さはわずか5.2mmなのだが、直径は37.66mm、つまり約16 3/4リーニュで、小型のポケットウォッチ用ムーブメントに求められるサイズに近いものだ。これに加えて、本キャリバーのコスト、複雑さ、そして排他的な性質が、ヴァシュロンがコレクション全体にこのムーブメントを採用しない理由と関係しているのかもしれない(ただし、このようなムーブメントは、いかなる場合でも大量生産されることはない)。その結果、時計全体は非常にフラットでありながら、直径は42.5mm、厚さ10.72mmと、デザインから想像されるよりもわずかに大きくなっている。レトロ好きの私としては40mm以下の方が良かったかもしれないが、この時計はどう見ても目を引く存在だ。

 クラシカルな仕上げの自動巻きプラチナ製スプリットセコンド・クロノグラフは、パワーリザーブ、ペリフェラル巻き上げ機構(当然22Kゴールドのローターを使用)、そして革新的な技術的特徴を備えており、高価で高級な提案のように聞こえるかもしれない。実際、その通りだ。ヴァシュロンはこのモデルを10本のみ製造し、価格は要問い合となっている。

しかし、この種の時計としては当然のことである。近いライバルとしては、パテック フィリップの5370Pがある。これはプラチナ製の手巻きスプリットセコンド・クロノグラフで、モノプッシャーではなく2つのプッシャーを採用するなど、細部のクラシックさではやや劣るものの、現在3152万6000円で販売されている(税込)。これは41mm×13.56mmの時計で、ヴァシュロンの方がムーブメントの直径が大きいにもかかわらず(パテックのキャリバーCHR 29-535 PSは直径29.6mm)、5370よりも大きくはない。

 このような時計を実際に見てみたいと思うのは、自動車ジャーナリストがサーキットで1日を過ごしてみたいと想像するのと同じことだ。自動車で言えば、例えば、ミッドセンチュリーのアストンマーティンのスポーツカーのような魅力的で明快なデザイン(DB-2のハンドルにゆったりと掛けられた腕には、この時計は似合うだろう)で、現代的なエンジンと、確かに現代的なクラッチを備えたものでなければならない。

 オート・オルロジュリーの時計製造の素晴らしい点は、機械的な革新と伝統的な手作業による仕上げ、そして時の試練に耐えうるクラシックなデザインが融合しているところにある。1950年当時の時計職人がスプリットセコンド・クロノグラフ・エクストラフラットを理解できないということはないだろうが、彼らが賞賛し、魅力を感じるものはたくさんあるはずだ。このような時計は、少なくとも他のものと同様に文化的な芸術品である。コンセプトモデルでありながら、単に豊かさを示すものではなく、ヴァシュロンを四半世紀以上にわたって継続的に成功させてきた手法や価値観を保持し、育んできたことを示すものでもあるのだ。

ヴァシュロン・コンスタンタン トラディショナル・スプリットセコンド・クロノグラフ・エクストラフラット- コレクション・エクセレンス・プラチナ、Ref.5400T/000P-B637

ケース: 950プラチナ 直径42.5mm、厚さ10.72mm。シースルーバック。防水性能:3気圧(約30m)。ダイヤル: タキメータースケール付きのプラチナ。

ムーブメント: Cal. 3500、22Kゴールドのペリフェラルローター。直径37.66mm、厚さ5.2mm。48時間パワーリザーブ。47石、2万1600振動/時で駆動。ジュネーブシール取得。スプリットセコンド、60分積算計とラテラルフリクションクラッチ

ストラップ: ブルーのアリゲーター、プラチナとシルクのステッチ、プラチナ製バックル付き。

世界限定10本、価格は要問い合わせ。さらなる詳細は、ヴァシュロン・コンスタンタン公式サイトへ。