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ジェイソン・ゴング(Jason Gong)氏は、時計業界と時計コレクターのコミュニティにおける多様性と受容性を高めることに焦点を当てたコミュニティとプラットフォームであるコンプレクト(Complecto)の38歳の創設者である。彼は時計業界において必要とされる新しいものを作り出したかもしれないが、彼の原点となるストーリーは彼の年齢(まあ、80年代の話だが)と同じくらい古いストーリーである。
「8歳の誕生日に初めて腕時計を手に入れたんです」と彼は言う。「ブルーのスウォッチです。私はいつも海に魅了されていました。ニューヨークで育つと、たくさんの水に囲まれることになりますが、ビーチはちょっと汚かったり、水がすごく濁っていたりするので、南国のような海に入れるところに行きたいといつも空想していました。この時計を手にしたとき、その夢が現実のものとなったんです」
ゴング氏を知るということは、彼の世界に歓迎されるということだ。それは彼の天性の温かさと、銀行とハイテク企業における多様性、公平性、包括性のキャリアがもたらした副産物だ。「企業でのキャリアを通じて、私は常に、人々が本来の自分らしさを発揮できる場を作ることに注力してきました」と彼は話す。しかし2020年、多くの人が自分とは何か、どのように時間を過ごしているのかを見つめ直し、ゴング氏は自分のスキルと情熱を組み合わせることにしたのだ。
「ダイバーシティ&インクルージョンなキャリアを追求する人は、それが自分の価値観の中核をなすものであるからこそ、それを行うのです。それは、とても困難でフラストレーションが溜まる仕事です。そして私自身、この仕事を長く続け、これまでと同じレベルでやっていると燃え尽きてしまうのです。そこで多様性、公平性、インクルージョンに根ざした仕事をしながらも、より本物らしく、力を発揮できるような方法を考え直したのです。そこで生まれたのが、コンプレクト(Complecto)でした」
つながりは、彼の個人的なコレクションの中心でもある。彼は自分に語りかける時計、ストーリーのある時計、ストーリーを語る時計を集めているのだ。「私の経験として、時計とのあいだに感情的な絆を築くことができる限り、その時計はあなたに寄り添い、あなたの人生の一部となるのです。安っぽく聞こえるかもしれませんが、それはあなたの相棒になるということです」
以下は、ゴング氏の4本の相棒と、そしてニューヨークに縁のあるひとつの特別なアイテムだ。
彼の4本
ロレックス デイデイト オイスタークォーツ Ref.19018
ゴング氏が2019年にヴィンテージディーラーを通じて購入した、1977年製のNOSのオイスタークォーツだ。彼にとって初めてのヴィンテージロレックスであり、その選択はちょっとした驚きだった。「無知だったので、クォーツにそれほど関心を持っていませんでした」というゴング氏。それが数年前、ヴィンテージのオイスタークォーツに出会ってから一変した。彼はこの時計に強い感銘を受け、「そのとき、オイスタークォーツについてできる限り知りたいという気持ちになったんです」と彼は語る。そして、1年がかりでようやく決断し、約半年かけて納得のいく1本を手に入れた。電池交換に出すと、電池以外には何も触れていないことを証明するロレックスからの手紙が届いた。「まさに販売されたままの新品同様なんです」
ゴング氏はこの時計をドレスウォッチのように扱い、主にフォーマルなシーンでの使用にとどめている。「ロレックスの最高傑作であり、高度に設計されたもので、当時の私のコレクションでは最高峰のものでした」。しかし、彼は結婚式や記念日にだけこの時計を身につけるわけではない。「時には金の時計をつけたくなることもあるんです」と彼は笑う。「でも、この時計をつけるたびに、こう思うんです。この時計が何者で、なぜ私がこの時計を愛しているかわかっているよってね。楽しくて、私たちには物語があるんだって」
パテック フィリップ ダブルサイン ゴールデン・エリプス
この時計はゴング氏の祖父が持っていたもので、2009年に祖父が亡くなった際に彼が“預かった”ものである。「祖父の持ち物はそれほど多くはなかったのですが、ふたつの時計を持っていました」とゴング氏は言う。「このパテックとピアジェのポロです。どちらも時代を感じさせる時計でしょう? イエローゴールドの70年代メンズドレスウォッチです」。この時計は、6時位置にリテーラーサインが入ったダブルネームになっている。祖父の思い出の品であり、美しい時計であることは間違いないが、ゴング氏はコレクターとしてこの時計をどう扱えばいいのか、よくわからなかった。
この時計を譲り受けた当時、彼はチューダーのペラゴスのような、もっと大きな時計をつけていた。「34mmのドレスウォッチなんて、私の腕に似合うわけがないと思っていたんです。でも、父にすすめられて試してみたら、本当にぴったりでした」。ゴング氏は、この時計の静かな優雅さを理解するようになった。しかし、この時計は家族との思い出の品であるため、あまり腕につける機会がない。祖父のことはよく知らなかったが、彼の記憶のなかの祖父は、いつも高級なスーツを着てキャデラックに乗っていた。彼は言う。「だから、そういう人がつけると思われるような時計だったんです。今、その時計を持っていること、そしてそれを身につけることで、橋が架かっているように感じられるんです。私は明らかにある所から時計マニアの気質を受け継いだのだと」
グローネフェルト プリンキピア 1941
2021年にこの時計を手に入れたゴング氏は、独立系高級時計の世界に初めて足を踏み入れた。それまでは有名ブランドの時計が中心だったが、時計ブームが加速するにつれ、独立系の世界を深く掘り下げていくようになったのだ。
「それは、私にとって本当に心に響くものでした。3代にわたる時計職人であること、兄弟であること、その感情的な部分など、彼らのストーリーが好きでした。技術、歴史、遺産は、本当に説得力があると感じたのです」。これはゴング氏にとって一過性のものではなく、彼はその後、独立系ブランドに本格的にのめり込んだ。「いずれインディペンデントブランドは、私のコレクションのなかで大きな位置を占めるようになるでしょう。間違いなくね」
パテック フィリップ カラトラバ 6119G
コンプレクトがローンチされた週に、ゴング氏がつけていた時計だ。偶然のタイミングだった。正規販売店から「しばらく時間がかかるかもしれない」と聞いていたため、1年半くらいは待つつもりでリストに名前を載せていた。それからわずか3カ月後に届いたのである。
この時計は、彼が初めて購入したパテックであり、それ自体がイベントのようなものだったが、今では彼が精力的に取り組んでいるコミュニティやプラットフォームとも永遠にリンクしているため、なおさらだ。「この時計は、80人以上の人々がこのコミュニティの一員になるために参加したミートアップで一緒にいた相棒です。それからまだ半年しか経っていませんが、私のミートアップにはおそらく1000人以上の人が来てくれました。この時計は、私にとってずっとその歴史の一部であり続けることでしょう」
また、祖父が所有していたエリプスと同じように彼のコレクションにもぴったりだ。「パテックのモットーである“時計を所有するのではなく、次の世代に受け継ぐ”ということを体現するような時計で、私が祖父から時計を預かっているのと同じように、今、私は自分から始まった作品を、いつか家族の誰かと共有することができるのです」
もうひとつ
ティンバーランド 旧正月(Lunar New Year )コレクション
ゴング氏はブルックリン生まれ、ブルックリン育ちということで、このチョイスは十分説明がつくだろうが、とにかく続けよう。「ティンバーは常に私のユニフォームの一部でした。特に意識したことはありません。年中履いているし、どこに行くにも履いていて、いろいろな意味で、自己紹介する前に自ら紹介してくれるものなんです」
旧正月の特別なデザインが施された一足だ。「このブーツは、旧正月にちなんだデザインです。私は干支のネズミなんです。私の父は中国人で、それは私の品性、先祖、アイデンティティの大きな部分を占めています。だから私にとってこのブーツは、ブルックリンと私の中国の祖先の完璧な組み合わせがひとつになったようなものでした。もし私を靴に変身させたら、私はこのブーツのようになるでしょうね」
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