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Four + One クロメオの共同創設者は70年代風のファンクを作り、それに合う時計を身につけている

彼は家具のセンスもすばらしい。

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デヴィッド・マクロビッチ(David Macklovitch)氏のマンハッタンのアパートは非の打ち所がない。レッドウッドのダイニングテーブル、ノグチのコーヒーテーブルなど。かつてアイビーリーグの学者を辞め、汗だくで踊るダンスフロアに憧れを抱かせるような、いまどきのファンク・デュオのツアーミュージシャンとなった彼のキャリアのイメージとは少し違うものだ。

 「僕は、長く保管できて人に譲ることができ、時代を超えたヴィンテージの質を持つ、厳選された財産に興味を持つようになりました」とマクロビッチ氏は言う。「子供のころからレコード収集に熱中し、ヴィンテージカーが好きでした。時計に関してはクラフトマンシップが好きで、それをもっと知りたかったんです。時計の世界には神秘的なオーラがあり、幼少期はもちろん、手が届かなかったこともあって、掘り下げてみたいと思うようになったんです」

David Macklovitch leans against a bookshelf

 彼は(ステージネームはデイヴ 1)は、ただ素敵なものを集めるだけでなく、それを知ってもらい、彼やほかのマニア、あるいは街中で見かけた人が自分の好きなものを身につけたり読んだりしているのを見て、会話を弾ませたいと思っているのだ。クロメオのシンガー兼ギタリストは、学問の世界での有望なキャリアを諦めなければならなかった(クロメオの素晴らしいシングル「Night By Night」のビデオがindie-sleazeのインターネット上でクラッシュしたとき、彼はコロンビア大でフランス文学と文学理論の博士号を取得し、教えていた)ため、好奇心を大切にするのは当然だろう。また、時代に合ったドラムマシンとシンセサイザーしか使わないミュージシャンが、美意識の高い一貫した時計コレクションを持っているのは当然のことだろう。

 「僕が教授だったとき、文学を教えるのが好きだったのは誰も僕を必要としなかったからです。一日中本を読んでいてもいいんです。僕は必要ない。でも誰かが文学作品について授業をすると、その楽しさや理解が深まるから好きなんです」とマクロビッチ氏は言う。「時計も同じです。コレクションすることができます。しかし歴史や背景、参考文献、美学、メカニズムなどを読み解くことで、より深く理解することができるのです。そして突然、物事がより美しく、より楽しく、より意味深いものになるのです」

 彼のコレクションを覗いてみよう。そしてもうひとつ、美しく意味深いものがある。


彼の4本
ロレックス  “赤サブ” サブマリーナー Ref.1680
A Rolex Submariner watch on a wrist

 彼は2017年にこの時計を手に取り、当初は70年代の雰囲気と、さりげなくも特別な赤いダイヤルの文字に引かれた。また、彼はこれが究極の会話のきっかけになると考えている。彼にとって、赤サブとそのほかのサブの違いは、4リッターエンジン搭載のレンジローバーと4.6搭載のレンジローバーの違いのようなものなのだそうだ。知っている人は知っているということである。「Jay-Zのとても有名なアドリブがあります。僕が好きなJay-Zの曲、『Imaginary Players』のなかにあります。曲のいちばん最後に、彼は誰かが彼のところに来て『僕は4.6で、君は4.0』と言う真似をするんだけど、誰かが『4.0と4.6の違いって何?』と聞く。そしたらJayは『3万から4万ドル』って言うんです」

A Rolex Submariner watch

 彼は時計について気取ったところはない。サブマリーナーの4.6に相当する時計であっても。「飛行機のパイロットや深海のダイバーのために作られたのなら、1時間DJをしたり演奏したりする人のために作られてもいいんです。それがエレガンスだと思うんです。僕が思うに、本当にエレガントな人とは、いいものを着ているけれど、生活している感じもあるように見える人だと思います」

カルティエ サントス カレ デイト Ref.2961
A Cartier Santos Carree Date watch

 「フランスのエレガントな定番アイテムは、昔から好きでした」とマクロビッチ氏。フランス語が母国語で、フランスに長く滞在していたこともあり、カルティエの時計は必然的に選ばれたような気がする。当初はタンクが欲しかったが、どうしてもマッチしなかった。2018年に手にしたこの時計は、手首にエレガントに収まる小ぶりなフォルムが気に入っているそうだ。「この時計は、70年代のようなかっちりとした印象です。エッジがスクエアでレトロな雰囲気が気に入っています。 スーツに合わせたいですね。ドレスアップしてもいいし。とにかく美しいんです」

A Cartier Santos watch
ロレックス ツートンカラーのデイトジャスト Ref.1630
A Two-Tone Rolex Datejust on a wrist

 このデイトジャストは彼が日常的に愛用している時計で、知る人ぞ知るディテールが隠されているクラシックな時計だ。「1970年代後半にロレックスはクォーツウォッチを作りましたが、その角ばったケースはまるでAPのようで、僕にはとてもファンキーでした。でもクォーツウォッチを出す前に同じケースの自動巻きを作って、人々がこの形を好むかどうかを確かめたんですね。みんな『いいクォーツだね』って。そして、『実は……』と言って、会話を始めることができるんです。そうすると、その人たちと仲良くなって、15分くらいおしゃべりできるようになるんです」

A Two-Tone Rolex Datejust
オメガ コンステレーション Ref.166.059
An Omega Constellation watch

 この時計は彼にとって思い入れのあるものだが、残念なことに現在ニューヨークとロサンゼルスのあいだのどこかの倉庫で行方不明になっている。とてもファンキーであると同時にオメガのヴィンテージ広告に掲載されていたこの時計を見たことが、彼が時計の世界に本格的に足を踏み入れるきっかけになったという。

 「いわば時計の旅をはじめたばかりの僕は、こう思いました。誰も持っていない、レトロな雰囲気のものが欲しいと。メンバーズオンリーのようなもので、つけた途端、大人になったような気がする時計です。つけると時計自体が育つような。それにフォントも気に入っています。僕はタイポグラフィーのマニアなんです」

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もうひとつ
ジョルジ・ザウスズピンのプレジデンシャルソファ
A Presidencial sofa

 「学位論文を中断したとき、最初に独学で始めたことのひとつが家具でした。ブラジルでライブをしたとき、友人がブラジルのヴィンテージ家具屋さんを案内してくれて、ブラジルのデザインや建築を紹介してくれたんです。少しは知っていましたが、詳しくは知らなかったので、そのときから本当にはまったんです。そして、それが情熱となり、コレクションするようになりました。このソファは僕にとって聖杯のような存在になりました」

 その数年後、モントリオールの地下室で、幸運にも1脚見つけたのだ。彼はそれを確保し、少しばかり改装してカナダにある彼の両親の家に無事運び込んだ。そこにいろいろなものを保管していたのだ。「クッションは硬く、両親は美しいと思ったようですが、“今さらどうしてこれをくれるの?”という感じだったようです」。結局、両親はもてあまし母親の助けを借りて、彼は国境を越え、ニューヨークの彼の家にこの宝物を運んだのだ。彼はクッションを詰め替え、張り替え、ローズウッドを手入れし、今ではそれがあるべき場所に収まっている。

 彼が大切にしているのは、その美しさや希少性だけではない。「個人的なストーリー なのです。なぜなら、故郷の地下室で見つけたから。高額で購入したわけではないです。そして、僕が手をかけることになって生き返らせたんです。ブラジルに行ったときに、“ああ、学ぶべきことがたくさんあるな”と感じた瞬間を象徴しているのです」

Photos, Ysa Perez 

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