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POINT/COUNTERPOINT 「一体型ブレスレット 」は、自己流ではなくデザインの観点で定義されるべきだ

「ブレスレット一体型ウォッチ 」とは本当は何を意味するのだろう?

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 "OEMとは : Original Equipment Manufacturerの略、オリジナルの時計メーカーが製造する正規の純正部品の呼称"。

ある時計を「ブレスレット一体型」あるいは「ブレスレット一体型ウォッチ」と呼ぶとき、我々は正確には何を意味しているか? 時計愛好家のあいだではよくあることだが、この言葉は非常に具体的な意味でも、やや曖昧な意味でも使われている。「一体型」にはいくつかの意味があり、さまざまな辞書に載っている(Merriam-Websterは、"一体化する=統合 "が微積分法の手順であることを思い出させてくれる)が、どの辞書も時計の世界に固有の定義を提供してはいない。つまり、ハンプティ・ダンプティがアリスに言った 「僕が言葉を使うとき、それは言ったとおりの意味になる」のと同じで、我々は幸運な境遇にあるのだ。

 「一体型ブレスレット 」は、ふたつの意味で使われている。

 まず、より一般的な使い方として、ブレスレットが時計全体のデザインの一部として用いられている場合。つまり、ケースのデザインを反映し、それがある程度ブレスレットに繋がっていて、さらなる表現をしているような場合に使用する。

 2番目のより狭い用途は、上記の用途に追加の条件を統合したものだ。ブレスレットをケースから外すことが、少なくとも特別な工具がない限り不可能な場合。ラグが独特な形状をしていて、愛好家がNATOに交換しようとすると、無言の頑強さで抵抗する。

 今回のPoint/Counterpointでは、ジョン・ビュースが狭義の定義、私がより広義の反対意見を述べ、いつものようにドン・コルレオーネがバージル・ "ターク" ・ソロッツォに拒否した言葉を引用して、「私は自分の理由を述べる」ことにする。

 議論を始めるにあたり、比較的曖昧さのない、いや、一見すると曖昧さのないように見える、ロイヤル オークのケースを見てみよう。ロイヤル オークは、ある意味で狭義のブレスレット一体型時計の代表例と言えるだろう。まともな神経の持ち主なら、自分でロイヤル オークのブレスレットをOEM以外(またはOEMでさえ)のストラップに付け替えようとはしないはずだ。ケースに傷をつけるのは大きなリスクだし、第一、どこから手をつければいいのだ? また、デザイン面でも、ブレスレットがケースのデザインと一体化していることは一目瞭然だ。

Royal Oak Perpetual Calendar

ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー

 しかし、意思のあるところには方法があり、マニアが時計を好みに合わせて改造する方法を見つけられないと考えるのは、こだわりのある人間の創意工夫を過小評価することになる。その方法は、お気に入りの検索エンジンで簡単に見つけることができ、手先が器用な人なら誰でも数分でできる。このことを指摘すると、APの機嫌を損ねるかもしれないが、非純正のストラップもたくさんあるのだ。

 ここで、より曖昧なケースと思われるA.ランゲ&ゾーネのオデュッセウスを紹介しよう。この時計が最初に発表されたとき、HODINKEE(私)や他のサイトなどで「ブレスレット一体型」時計と説明されたが、すぐにコメント欄で、「ブレスレットをストラップに簡単に交換できる(ブレスレットは従来のバネ棒で固定されている)ので、実際には一体型ブレスレットウォッチではない」と反論をする読者が出てきた。ブレスレットをストラップに付け替えたオーナーの写真も簡単に見つけることができる。しかし、ロイヤル オーク(私は「一体型ブレスレット」という表現が使われている時計の明確な事例として、ロイヤル オークを挙げる)に見られるように、OEMであれ何であれ、オーナーがブレスレットをストラップに交換できる能力は、「ブレスレット一体型」という表現に必要不可欠なことではないように思われる。

Lange & Söhne Odysseus

A.ランゲ&ゾーネ オデュッセウス

Odysseus in white gold, on OEM strap.

ホワイトゴールドのオデュッセウスに、OEMストラップを装着。ストラップは一見すると一体化しているように見えるが、これは特別にデザインされたラグインサートによるもので、一体化したブレスレットインサートの外観を模倣しているのだ。

 オデュッセウスのブレスレットは、デザインの観点から確かに統合されていると言える。5つのリンクが交差するデザインは、ブレスレットがラグにフィットする位置まで続いており、リンクの形状や面取りは、明らかにケースデザインのビジュアルとひと続きになっている。

bracelet, vacheron constantin overseas ultra thin

 ヴァシュロン・コンスタンタンのオーヴァーシーズやカルティエのサントスなど、他にも興味深い例がいくつかある。オーヴァーシーズ・オートマティックは、ブレスレット一体型のなかでも最もわかりやすい例のひとつだが、ブレスレットをストラップに交換できるだけでなく、オーナーが特別な工具を使わずに交換できるように特別にデザインされている。クイックチェンジシステムが独自のものであるため、OEMストラップしか選択肢がないように見えるが、もし誰かが断固たる決意を持って挑めば、オーヴァーシーズのケースに適合するストラップを作ることができるはずだ。人が作ったものなら、人が真似することは可能だ。そして、それはしばしば最大の熱意をもって行われる。

 カルティエ サントスも同様に、リンクの形状や、1コマにつきベゼルの特徴的なネジに呼応した2本のネジを使用するなど、一体感あるデザインのブレスレットを採用している。オーヴァーシーズと同様、ブレスレットはクイックチェンジシステムを採用し、素早く簡単にストラップに交換することができる(オーヴァーシーズのOEMストラップに関する意見がここでも当てはまる)。

Cartier Santos Dumont on bracelets

カルティエ サントス、一体型ブレスレット。

closeup, bracelet, Cartier Santos Dumont

 もちろん、我々が「一体型ブレスレット」という言葉を使うのは特定の時計に対してだけで、すべての時計に対して使うわけではない。特定の時計のためにデザインされたブレスレットであることは、必要条件ではあっても十分条件ではないのだ。

 例えばロレックスのサブマリーナーは、私の知る限り、ブレスレット一体型時計と表現されたことはない。技術的にも外観的にも、あのブレスレットはサブマリーナー特有のもので、しかもこれまでに述べた他のどの時計のブレスレットよりも取り外しが困難であるにもかかわらず、だ(バネ棒の位置は、オイスターケースの裏蓋を外すのに専用の裏蓋レンチが必要なのと同様に、調整可能で高精度のバネ棒ペンチを使用する必要がある)。

 サブがブレスレット一体型と言われないのは、この言葉から連想されるような呼応する特徴が、外観的に明らかでないからだと思われる。その代わり、それ自体に落ち度はないが、デザイン的にはやや一般的であり(「クラシック」と言ってもいい、そういう人もいるから)、全体を通じて頑固なまでの実用本位の雰囲気は、他の多くのダイバーズウォッチにも採用されてきた。これは品質とは無関係だ(快適性、耐久性、実用性を求めるなら、ロレックスは業界で最高のブレスレットをいくつか作っている)。しかし、サブは一般的にブレスレット一体型ウォッチと呼ばれることはない。

Rolex submariner

 「一体型ブレスレット 」という言葉は技術的な詳細ではなく、その由来についての単語で、時計論における人類学のようなものだ。通常、デザイン性の高い、一般的にプレミアムまたはラグジュアリー価格の時計を表すのに使われ、スティール製のものが多いが、必ずしもそうではない。ロイヤル オーク、ヴァシュロンのオーヴァーシーズ、ピアジェ ポロ、パテック フィリップのノーチラスなど、その代表的な時計がこれを実証している。しかし価格が高いことは必要条件ではない。SS製のQ TIMEX 復刻版デジタルLCAは、私が今まで見たなかで最も紛れもないブレスレット一体型の時計だ(ただし、標準サイズのバネ棒を使うので、その気になれば非純正のストラップにも付けらる)。しかも149ドルという価格だ。

 オーナーがブレスレットをストラップに付け替えることができないというのは、一見、狭義の「一体型ブレスレット」のように見えるが、この定義が技術的な現実や、実際の時計業界での使われ方と一致していないことは明らかだと思う。

 普段、私は狭義の規範的な言語学を支持する方だが、今回の場合、我々が実際にこの言葉を使うときの意味を調べてみると、もっと明らかになるような気がする。

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HODINKEEは、ヴァシュロン・コンスタンタンの正規販売店です。また、オーデマ ピゲカルティエロレックスの中古・ヴィンテージウォッチも取り扱っています。