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Just Because ヴァシュロン・コンスタンタン トラディショナル トゥールビヨン・ミニットリピーター

銀座のヴァシュロン・コンスタンタンブティックで、2大複雑機構を搭載する美しい時計を見つけました。

Just Becauseとは、これといって大きな理由は無いものの、我々がただただ取り上げたくなったものを執筆した記事です。

僕の控えめな時計コレクションを見ていただくと分かるのですが、所有している時計の多くは、3針のものが多く、複雑になったとしてもクロノグラフまでです。僕は、自分がどちらかといえばシンプルな時計が好きなタイプなのだと思っています。

それでも先日銀座にあるヴァシュロン・コンスタンタンのブティックを訪れた際に見た"シンプルではない"この時計に心を奪われました。

この時計、ヴァシュロン・コンスタンタンのトラディショナル トゥールビヨン・ミニットリピーターは、新作ではなく2017年からブティック限定で販売されています。2つの複雑機構と素晴らしい仕上げを堪能することができ、また伝統への敬意を表した最上級のモダンウォッチです。 

ヴァシュロン・コンスタンタン トラディショナル トゥールビヨン・ミニットリピーター

 僕が初めてこの時計を目にした時に感じたのは、意外にもクリーンでどちらかといえばシンプルな時計だなということです。それは、この時計がトラディショナルコレクションの1本であるからかもしれません。ギヨシェ装飾、トゥールビヨンとミニットリピーターの機構を除けば、ケース形状やバーインデックス、ミニッツトラック、そして針などは同コレクションに見られる伝統的なスタイルです。

 ケースは、直径44mm、厚みは12.38mmで18Kピンクゴールド製で、ケース素材にプラチナを採用したモデルも存在します。針やインデックスは、ケース素材に合わせたPG製です。光の当たり具合によって立体的な表情を見せる文字盤のギヨシェ装飾はすべて職人による手作業で施されています。

 全体的なデザインは、どちらかといえばシンプルだと書きましたが、やはり6時位置に目を向ければ、超複雑機構がその存在を主張しているのです。

ヴァシュロン・コンスタンタン トラディショナル トゥールビヨン・ミニットリピーターのトゥールビヨンのキャリッジ

 内部に搭載するムーブメントは、ジュネーブ・シールを取得した自社製の手巻きキャリバー2755TMRです。これは、キャリバー2755というトゥールビヨン、永久カレンダー、そしてミニットリピーターを搭載するグランドコンプリケーション向けのムーブメントをベースとしています。文字で並べるとやや簡略化されたムーブメントであるともいえるかもしれませんが、ケースを裏返すとその考えが間違いであることにすぐに気づきます。

ヴァシュロン・コンスタンタン トラディショナル トゥールビヨン・ミニットリピーターのケースバック

 キャリバー2755TMRは、2.5Hz(1 万8000振動/時)のロービートムーブメントですが、これによってヴァシュロンお馴染みのマルタ十字のトゥールビヨン・キャリッジが優雅に回転する様子を楽しむことができます。また、これはスモールセコンドの表示も兼ねています。

 このムーブメントをとりわけ際立たせているのは、トゥールビヨンとミニットリピーターの技術的な面はもちろんですが、職人の手によって施されるその美しい仕上げの水準にあることを忘れてはいけません。

ヴァシュロン・コンスタンタン トラディショナル トゥールビヨン・ミニットリピーターに搭載されている2755TMRの裏から見たトゥールビヨンキャリッジ
ヴァシュロン・コンスタンタン トラディショナル トゥールビヨン・ミニットリピーターに搭載されている2755のハンマー

 ジュネーブ・シールを取得しているムーブメントであるということは、ムーブメントのすべてに装飾が施されているということを意味しています。上の写真を拡大して、仔細に見ていただければさまざまな装飾を確認することができます。

 まずメインプレートは、目に見えない部分を含めてすべてペルラージュ加工が施されています。ブリッジは、コート・ド・ジュネーブが見られますが、工作機械を使ったものではなく手作業で仕上げられたものです。次にムーブメントに刻まれた文字や刻印、これも職人によって手彫りされています。ミニッツリピーターのゴングは、ブラックポリッシュが施されています。
以前、ブラックポリッシュを体験したことがありますが、少しでも力の加減を間違えると鏡のようなポリッシュにはならずまさに悪夢のようだったことを覚えています。ネジの頭や石受けももちろん磨かれています。

ヴァシュロン・コンスタンタン トラディショナル トゥールビヨン・ミニットリピーターの文字盤

 表に返して文字盤からキャリッジを眺めてみましょう。トゥールビヨン・キャリッジのブリッジのバー部分が丸みを帯びて光っているのが分かるかと思いますが、これももちろん手作業、そしてこの部分を磨くためだけに、職人は約11時間もの時間を費やしているのです。

 美しいのは仕上げばかりでは無く、リピーターの音も同様です。こればかりは文章ではお伝えできないため、是非ご自身の耳で確認していただきたいのですが、ヴァシュロンのリピーターは、他よりも音に暖かみがあるという点が特徴です。
もし、あなたがこの時計を幸運にも購入できるのであれば、もれなく「ミュージック・オブ・タイム」と呼ばれるリピーターの音を増幅させるボックスが付属します。時計をこの上に置くと筒状の部品に振動が伝わり、より大きな音で聞くことができるのです。

ヴァシュロン・コンスタンタン トラディショナル トゥールビヨン・ミニットリピーターの着用画像

 44mmのケースサイズは、普段であれば大きいなと感じるものですが、この美しい時計を身に着けているときには全くそんなことが頭をよぎることはありませんでした。

 2大コンプリケーションを搭載しながら大げさではなくシンプルに、そして手作業の装飾をあらゆる面に施したトラディショナル トゥールビヨン・ミニットリピーターは、まさしくトラディショナルなハイエンドモダンウォッチといえるでしょう。

 ヴァシュロン・コンスタンタン トラディショナル トゥールビヨン・ミニットリピーターの詳細は、公式サイトをご覧ください。

Photographs by Stephen Pulvirent