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VINTAGE WATCHES ホイヤー スキッパー Ref. 7764

有名な“スキッパレラ”に続くこのオータヴィアをベースとしたスキッパーを深く掘り下げないなんてあまりにももったない。

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本日はHODINKEE Private Salesで販売されたホイヤー スキッパー Ref.7764の画像と情報をご紹介。ヴィンテージクラシックやこのような入手困難な時計にご興味のある方は、rfordon@hodinkee.comのリッチまで直接お問い合わせください

ホイヤーのスキッパーは常に我々の心をとらえて離さないが、先日タグ・ホイヤーが最新作を発表したことでさらに注目度が高まった。限定のカレラスキッパー For HODINKEEと同様、タグ・ホイヤーの最新スキッパーはカレラケースの“スキッパレラ”からヒントを得ている。スキッパーは間違いなくホイヤーの歴史のなかで最も認知度の高いモデルのひとつだが、その特徴はアクアブルーとオレンジのアクセントだけではない。

A Heuer Skipper ref. 7764 on the wrist
A Heuer Skipper ref. 7764

 ほかの最近のヴィンテージウォッチ記事でもそうだったが、HODINKEEのオフィスを通過する時計には、どうしても紹介したくなるものがある。今回は2代目のスキッパー Ref.7764を詳しく見てみよう。

A Heuer Skipper ref. 7754

 OnTheDash.comのジェフ・スタイン氏が執筆したRef.7754 スキッパレラの“In-Depth”記事のなかで、知識欲旺盛で親切な彼は初代スキッパーが誕生した時代について詳しく説明している。時は1960 年代。当時はレクリエーションドラッグとロックンロールの時代だった。カレラケースのスキッパーは、ひと目見ただけで明らかにこの時代のフィーリングを反映している。時計のデザイン、特にスイスの時計デザインがこのような文化的な潮流に屈することは非常にまれで、それがスキッパレラのユニークさの一因となっている。

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 自由な恋愛や鮮やかな色彩とともに、60年代のスイス時計産業にはより深刻な側面もあった。技術革新、生産技術の向上、そしてデザインによって初めてプロフェッショナルやレクリエーション目的の冒険家たちが手に取りやすい価格で耐久性に優れた腕時計を製造し、販売することが可能になったのだ。当時は“スポーツウォッチ”とは呼ばれていなかったが、1960年代にはダイビング用のサブマリーナ、ドライビング用のスピードマスター(当初は)、フライト用のGMTマスターなど、現在では特定の目的のためにデザインされたことがわかっている伝説的なモデルが誕生し、爆発的な人気を博した。1960年代に定着した世代のスポーツウォッチは、今日私たちが“日常的な”時計として考えるものの多くを形作っている。私はビッグブランドの名を挙げたが、アクアスター、ゾディアック、ニバダ・グレンヒェン、そしてもちろんホイヤーといったブランドに至るまで、このトレンドは時計界の隅々にまで浸透していた。

A 1970 Heuer catalog image

Ref.7764 スキッパーが掲載された1970年のホイヤーのカタログ。courtesy of OnTheDash.com

 スキッパーの話に戻ると、ホイヤーの最初のふたつのモデルは製作された時代の自由な精神と本格的なスポーツウォッチのデザイントレンドの完璧な縮図となっている。どちらも1年間しか製造されなかったが、1968年のスキッパレラはレクリエーションドラッグの楽しさを、1969年の7764は真面目なスイスの実用性を表現している。ロレックスでいえば、エキゾチックな“ポール・ニューマン”のトリコロールダイヤルや、スキッパーと同じ数年だけ製造されたRef.6239のブラックダイヤルの優れた視認性と似ていなくもない。

 ホイヤーが本格的にターゲットとする市場の一角を見つけた証拠として、初代スキッパーから我々の7764へのカラーパレットの変化を見る必要はないだろう。スキッパレラは1967年のアメリカズカップで優勝したチーム・イントレピッドからインスピレーションを得ているが、7764では赤、白、青という、より標準的なヨットクロノグラフの配色に戻されている。この単純化された配色はイエマやギャレットなど、当時のほかのヨットウォッチにも採用されている。スキッパレラはカレラに斬新で派手な文字盤を追加したもので、7764はホイヤーがこの新しい市場で勝負しようとした本格的な試みである。

A Heuer Skipper ref. 7764

 端的に言うと、ホイヤーはこの時期、世界で最もスポーツに特化したツール志向のクロノグラフメーカーだった。スキッパーはそのヨットクロノグラフのオプションとして機能し、7764はスキッパレラの風変わりなフィーリングを受け継ぎながら、より本格的で堅牢な時計へと進化させた。アウターベゼルを備えた大型の40mmオータヴィアケースに変更したことで操作性が向上し、3時位置の特大レガッタレジスターにより文字盤の面積が広くなっただけでなく、ケース構造もカレラより優れていた。エルヴィン・ピケレス社(EPSA)が供給する7764のコンプレッサーケースは、スクリューバックケースのカレラよりも防水性が高い。コンプレッサーテクノロジーではケース外側の水圧が高まるにつれてガスケットがさらに圧縮される仕組みになっており、ケースは(水深が)深ければ深まるほど防水性が高まる。

 スキッパレラも7764も、それぞれ約200の狭いケースシリアル番号の範囲に見られる。この範囲のすべてのケースがスキッパーであったかどうかはわからないが、おおよそホイヤーは最初のふたつのスキッパーを同程度生産していたようだ。しかし市場で知られているスキッパレラが1モデルであるのに対して、7764は2モデル存在する。その上、7764の文字盤コンディションは概してずっとよくなっている。私はこれはEPSAとコンプレッサーケースのおかげであると考えている。スキッパーの購入者が明確な選択をし、しばしばその時計が作られた目的のために使用されたことを考えると、これらの時計は水辺で頻繁に使用されていたはずだ。Ref.7764は船上での(過酷な)使用にも耐えた。この時計の文字盤はその好例で、夜光部分には自然に経年変化したパティーナが見られ、ほぼ完璧だ。

A Heuer Skipper ref. 7764

 私も同じことをしているのは明らかだが、この最初のふたつのスキッパーを常に比較することは7764の人気とコレクション性を明らかに後退させている。このふたつのモデルは同時期に製造され、文字盤のモデル名も同じだが、1960年代の時計デザインにおけるふたつの異なるトレンドを反映したまったく異なる時計なのだ。つまりセカンドスキッパーは、スキッパレラのような10万ドル近い時計であるべきなのだろうか? いや、しかしもう1度見直して価値はある。