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Hands-On パテック フィリップ 5004T 唯一無二のチタン製スプリットセコンド・クロノグラフ パーペチュアルカレンダーを実機レビュー

2013年に開催されたオンリーウォッチ・チャリティーオークションのプレビューに登場した5004Tの真実をお伝えしよう。

※本記事は2013年9月に執筆された本国版の翻訳です。 

 数ヵ月前、我々はこの非常に特別な、いや、“唯一無二”の腕時計の全てを語った。あのパテック フィリップが、2年ごとに開催されるオンリーウォッチ・チャリティーオークションのために製作したものだ。レマニアをベースにした最後のCHR27-70キャリバーを搭載しており、スプリット秒針とパーペチュアルカレンダーが付いた手巻き腕時計となっている。Ref.5004は、2012年のバーゼルで、Ref.5204(自社製バージョン)と交代したが、パテックの最も称賛された腕時計のひとつだ。この5004は、世界で最も望ましいモダンウォッチのひとつであり続けている。イエローゴールド、プラチナ、スティールなどのいくつかの金属を使って作られてきたが、この最後の5004については、我々があり得ないと思っていた素材、チタンが使われている。

 我々は今週初め、アンティコルムで開催されたオンリーウォッチコレクション全体のプレビューの場において、実際にこの唯一無二の腕時計に触れることができた。実は、我々は直接には触れていない。なぜなら、この腕時計は、全てのパテック フィリップの新製品がそうであるように、プラスチックに密封されていたからだ。加えて、この時計の内部にムーブメントが搭載されているのかどうかについても、私には定かではなかった。その理由は、この腕時計が、直径36.7mmのTI製ケースに入っているにしても、信じ難いほどに軽かったからだ。つまり、我々がプラスチックを通して実際に触れたのは、ダミーの時計だったのだ。それでも、ディテールは同じだから、それは問題にはならない。

 5004Tのダイヤルは、カーボンファイバーのように見える。でも実際は違う。実は、ゴールドにハンドギヨシェの模様が施されており、それがカーボンのように見えるのだ。私にとっては、これは世界でも一番気に入った外観ではないが、パテックにこれができるという事実には感銘を受ける。3時位置のリューズはラトラパンテのボタンになっており、これにより、初心者でも5004と3970を判別できる方法のひとつとなっている。とはいえ、私はこの外観が好きだ。ラトラパンテボタンはほかの位置や、さもなければランゲが発表した美しい1815 ラトラパンテ・パーペチュアルカレンダーに見られるような10時位置ではなく、この3時位置のリューズの中にこそ付けられているべきだと信じている。

 この5004に採用されているスプリットセコンド針の色は鮮やかな赤で、これも、この特別な腕時計にのみ見出される特徴のひとつとなっている。時計を裏返すと、“プロトタイプ”と記された無垢の裏蓋が見える。実際の5004は、無垢の裏蓋(多くの人は自分たちのパテックを彫刻したいだろう)と、内部の美しいムーブメントが見えるサファイアクリスタル付きのスクリューバックの両方を備える傾向がある。

 この唯一無二のチタン製5004のエスティメートは、40万~60万ユーロ(約5260万〜約7890万円)だ。しかし、現実的に考えてみよう。この腕時計は、それよりも高い価格で売れるだろう。最後にパテック フィリップがオンリーウォッチ用に製作した唯一無二の腕時計であるSS製の3939 ミニッツ・リピーター・トゥールビヨンは、予想を大きく裏切り、200万ドル(約2億2000万円)近くの値をつけた。とは言え、SS製のパテックは一般的にはより需要が高く、3939は5004よりもっと高級で高価なベースウォッチである。全ての人が、このレーシングな美観をもつTI製の5004を愛するわけではないから、その数字を更新できるだろうか? それは、時間が経てば分かることだ。オンリーウォッチでの販売会は来週、モナコで行われる。我々は、それをじっくりと観察することにしよう。