Introducing ウブロ　ビッグ・バン トゥールビヨン オートマティック イエローネオン SAXEM

　ビッグ・バンらしさに関していえば、2005年以来、ずっと変わっていない。ウブロは、派手さとスポーティさの両方を兼ね備えており、もしかしたらスポーティな部分を忘れてしまうほど派手かもしれない。ときにはセラミックやスチール製で普通の値段のものもあれば、ときにはゴールド製のもう少し高価なもの、そして今回のように、SAXEM製で、ブランドに価格を尋ねない限り答えてくれないようなものもある。

　SAXEMとは、Sapphire Aluminium Oxide and Rare Earth Mineral（サファイア・アルミニウム・オキサイド・アンド・レアアース・ミネラル）の略（そう、SAOAREMと同じ意味だ。もしあなたがウブロのアナグラム操作チーフになることを夢見ていたのなら、残念だがそのポジションはもう奪われてしまった） だ。基本的にSAXEMとは、サファイアに光輝くカラーリングを施したもの。この場合、極彩色のイエローだ。SAXEMは、丈夫で光沢がありながら、どこか透明感がある。口のなかに入れると、喉の痛みが治まりそうな感じだ。

　SAXEMは成形することもできる。今回キャリバーはスケルトナイズされており、宙に浮いているように見えるトゥールビヨン、そして約72時間のパワーリザーブを備えた44mmの時計として成形された。その他の部品はチタン製で、ワクワクすることに、あまり技術的に野心的でない時計では通常チタンや金属で作られる多くの部品が、サファイア（昔ながらのSAXON/真鍮被せではない透明なもの）で作られているため、ムーブメントの視認性が大幅に向上している。 

　この時計は、程度の差こそあれ、ウォッチズ & ワンダーズ 2022で発表された、化学の魔法によって紫色になったサファイアケースを持つ時計とほぼ同じだ。

　このイエローの不思議な時計はウブロ初のSAXEMモデルではないが、これまでSAXEMを公式に使用した時計はすべてグリーンであった。トノー型のウブロ スピリット オブ ビッグ・バン グリーン SAXEM（ハロウィンのためにグリーンのリシャール・ミルみたいな格好をした？）は2020年に、ビッグ・バン MP-11 SAXEMは2019年に登場した。この素材をいかにして黄色に仕上げるのか、そして元素の正しい配合などを研究するのに3年という長い歳月がかかったそうだ。そのレモンキャンディーのような外装の裏には、ウブロが2021年から採用しているHUB6035 自動巻きマイクロローター スケルトン トゥールビヨンが収められている。このイエローのストラップはラバー製で、とてもファンシーなラバーダッキー（アヒルのおもちゃ）のようだ。

　当然ながら、クライマーはそれが誰のせいなのかを知りたがった。そしてビバー氏は、1980年の発売当時、ラバーストラップはウブロが最初に開発したのだと説明した。そして2000年に、APが八角形のロイヤル オーク オフショアにラバーストラップを装着したのだ。そのため、2005年に発表されたラウンドのビッグ・バンは、オフショアに似ていると言われるようになったのである。では、ラバーストラップを最初に採用したのは誰か？　それはウブロだったのだ。

　私が言いたいのは、私はウブロが大好きで、この時計も大好きということだ。そして、私が自分に課している時計のサイズの厳しい制限よりも50段階明るく、4mmも大きいにもかかわらず、私はこの時計を誇らしげに身につけるだろう。

　誰もが、黄色をテーマにしたナイトクラブを腕につけて歩き、高価なサファイアの中心部が音を立てて動き、次々に変化している様子を見たいとは思っているわけではない。私はそう思う。

　ウブロは色と大きさを武器にしている会社だ。一部にはウブロの派手さが気に入らないという人もいるが、ダイヤモンドやゴールド、あるいは有史以来まったく同じように配置された橋の上に正確な角度で自社のイニシャルを書き込む企業とは対照的に、色やサイズは安っぽい武器だと考えている人もいる。しかし私の考えでは、色や大きさは、時計がそれ自身を際立たせるために行うあらゆることと同じように正当なものなのだ。

　実際、私はウブロに否定的だったが、ウブロの時計を身につけると、私の人生全体が明るく開放的で、きらびやかなものになった。その時計とは、たった9000ドルの中古のトゥッティ フルッティだったが、同じようにこの時計が私の人生に何をもたらしてくれるのか、想像してみて欲しい。身につけた瞬間、私は純粋な光に変わるかもしれない。

　目を奪うような色彩は、ここ数年、腕時計のビッグアイデアとなっているが、そのほとんどはダイヤルに施されている。時計ケース全体をあり得ないような色合いにしたものでは、ブルーセラミック製のAPのロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー、グッチのグリップ サファイア、ブルーとホワイトのセラミック製のゼニスなどがあるものの、中・高級機ではあまり見かけない。G-SHOCKやスウォッチももちろん色を取り入れているし、それらは素晴らしい時計だが、ウブロと同じ世界にいるわけではない。

　2696万1000円（日本での税込定価）という価格だと、同じ値段でパテックが3つ、4つ、あるいは7つも手に入るというのに、この時計を選ぶ人は特別な存在だろう。このウブロの熱狂的ファンとはどんな人なのだろうか。もっと正確にいうと、この50本限定のウブロを手にする熱狂的ファンとはどんな人なのだろうか。ぜひ会ってみたいと思う。冗談抜きで、この時計を買ったら私にDMをください。どうやって購入したのか、話を聞いてみたいと思う。そして、そんなあなたはめちゃカッコいい！

　ウブロは、深い色合いの時計でありながら、真面目な時計でもあるというジャンルを自分のものにしようとしているのだ。 このビッグ・バン トゥールビヨンのイエローバージョンには、ウブロからのメッセージとして、私のような小心者から上記のような熱狂的ファンまで、苦手な人にも好きな人にも両者に対するメッセージが込められている。“SAXEM（長い物）には巻かれろ”である。

ブランド： ウブロ（Hublot）
モデル名： ビッグ・バントゥールビヨン オートマティック イエローネオン SAXEM（YELLOW NEON SAXEM）
型番： 429.JY.0120.RT

直径： 44mm
厚さ： 14.4mm
ケース素材： SAXEM
文字盤： サファイアクリスタル
防水性能： 30m
ストラップ/ブレスレット： ラバー

キャリバー： HUB6035 マニュファクチュール製自動巻きトゥールビヨン ムーブメント
機能： トゥールビヨン
パワーリザーブ： 約72時間
巻き上げ方式： 自動巻き
振動数： 2万1600振動/時
石数： 26

価格： 2696万1000円（税込）
発売時期： 未定
限定： 世界限定50本

詳しくは、ウブロの公式サイトをクリック。