ADVERTISEMENT
我々が知っていること
2021年、カルティエはタンク サントレの誕生100周年を記念してゴールド製の限定モデルを製作。今年、カルティエはこのモデルの系譜を忠実に再現し、ケース素材をプラチナ製に変更した新しいタンク サントレの限定モデルを発表した。本作はこれまでにあった特定のタンク サントレの復刻版ではなく、伝統からインスピレーションを得て、ヴィンテージの魅力に溢れたモダンウォッチに仕上がっている。
カルティエの真骨頂であるタンク サントレは、シンプルさとエレガンスに満ちたフォーマルウォッチだ。大きくカーブしたケースはサントレの特徴であり、タンクコレクションのなかで最も大胆で現代的なテイストにマッチしている。新しいタンク サントレのプラチナ製ケースは、46mm x 23mmとおなじみのサイズながら、カルティエはこれまでのモデルよりもわずかに薄くシェイプし、厚さ6mmを実現した。ヴィンテージのタンク サントレと同様、長いブランカードはポリッシュで、水平面はサテン仕上げが施されている。
カボションリューズにはルビーをセット。カルティエのファンならご存知だろうが、プラチナとルビーの組み合わせはしばしばアニバーサリー・セレブレーションとして用意されるもので、本作はプラチナ製タンク サントレの100周年を祝うものだという。カルティエはすでに2年前にサントレの誕生100周年を祝っているわけで、微妙な周年記念は個人的にはなくていいと思う。ただ、それでも美しい時計であることは否定できない。
本機にはカルティエのCal.9780MCが搭載されているが、実はジャガー・ルクルトの超薄型Cal.849がベースキャリバーである。このムーブメントの厚さはわずか1.85mmで、サントレの薄くカーブしたケースに見事にまマッチする。唯一の妥協点は、パワーリザーブが36時間と比較的短いことだ。
本機はカルティエが「リ エディション(Les Rééditions)」と呼ぶ、歴史的に重要でコレクターに人気のある時計の復刻版をリリースする企画の第4弾である。これは2021年に「タンク サントレ100周年記念」と「パシャ・パーペチュアルカレンダー」で始まり、昨年は「ペブルシェイプ ウォッチ」が発表された。いずれもヴィンテージモデルを忠実に再現した限定モデルゆえコレクターを熱狂させているが、今年のプラチナ製タンク サントレもその例に漏れないだろう。
文字盤はオフホワイトのエッグシェルで、レイルウェイを囲むように大きなローマ数字が配されており、7時位置の数字は細いセリフがレールの軌道を囲んでいる。これはヴィンテージのタンク サントレにも見られる意匠で、カルティエがこのような小さなディテールにもこだわり続けているのは嬉しいことだ。ブレゲスタイルの針は、ダメ押しのヴィンテージタッチを加えている。
サントレはその希少性と、大きいながらも洗練されたフォルムから、常にタンクのなかで最も望まれてきたモデルである。そして、なかでもプラチナがキングなのだ。今年の初め、ヴィンテージのプラチナ製サントレが35万ドルで落札された! すでにこの記事で述べたことだが、私はその時計すら好きになれなかった。
カルティエはこのプラチナ製タンク サントレを150本限定で生産し、販売価格は601万9200円(税込)である。
我々の考え
Image: Courtesy of Cartier
カルティエは1919年にタンクを発表し、1921年にタンク サントレがその最初のバリエーションとして登場させた。大きくて曲線的なフォルムは、オリジナルのタンク(ノルマル)にはなかったものだ。大きなサイズにもかかわらず(当時の時代性を考えればなおさら)、その薄いケースはまるでシャツのカフのように手首を覆う。その後、カルティエはさまざまなタンクのバリエーションを製造するが、タンク サントレの右に出るものはなかった。ときには、最初からうまくいくこともあるのだ。
この最新のプラチナ製タンク サントレはゴージャスだ。カルティエが(比較的)大量に生産したプラチナ製タンク サントレのなかでは、おそらく最高のものだろう。少なくとも、1920年代と30年代に作られたオリジナルのタンク サントレに最も忠実である。カルティエは、私たちが100周年記念サントレで愛したすべてのディテールを、それよりやや薄型のプラチナケースに落とし込んだ。また、ホワイトメタルケースにマッチするよう、文字盤の色合いも数トーン明るくしている。サントレの薄さはその大きなケースとは対照的であり、コレクターにとって常に魅力的なものであった。この最新モデルはそのバランスを崩すことなく、2005年、2018年、2021年に発表されたサントレとほぼ同じサイズ感を維持している。
1920年代のプラチナ製タンク サントレ、ブレスレット付き。 Image: Courtesy of Phillips
先述したいくつかの調整以外に、このプラチナ製サントレは100周年記念モデルから大きな変更はない。しかし、壊れていないのであればだ。
ここ数年、カルティエの他の変わった形状の時計が誇大誇張にさらされてきたのに対し、タンク サントレは幸いなことにセレブリティカルチャーからの影響は比較的浅かった。そして、おそらくそれがベストなのだろう。プラチナ製のタンク サントレは、カルティエの腕時計全体でとまでは言わないまでも、タンクにおける王者である。手首につけると大きく大胆だが、希少でエレガント。1921年に誕生したこの時計は一過性のブームではなく、『Page Six』のセレブリティウォッチ特集に載せるにはあまりにも威厳がある。
今回のリリースを見たとき、昨年の強気な価格のペブルシェイプ ウォッチ(640万2000円・税込)の次ということで、価格は700万円以上になるだろうと思っていた。しかし、601万9200円(税込)であることに安堵した。それは何よりも、時計の価格が全体的にどれほど上昇しているかを示しているのかもしれない。2021年に登場した100周年記念タンク サントレ(348万4800円・税込)と比べると、この価格は理にかなったものだ。1mm以上厚みが多い、2018年のプラチナ製サントレよりも、その時計との共通点の方が多い。
とはいえ、ヴィンテージのプラチナ製サントレが今や6桁ドルの値段であるわけで(それも見つかればの話だが)、この値段も悪くないかもしれない。金銭的なことはさておき、このタンク サントレは美しい仕上がりであり、ヴィンテージカルティエ・ウォッチへの関心が高まり続けている今、数千ドルという値段が、これらの時計がコレクターによってすぐに手に入れられる妨げになるとは考えにくいのだ。
基本情報
ブランド: カルティエ(Cartier)
モデル名: タンク サントレ リ エディション(Tank Cintrée Les Rééditions)
直径: 46m x 23mm
厚み: 6.03mm
ケース素材: プラチナ
文字盤色: エッグシェル
防水性: 非防水
ストラップ/ブレスレット: ブラックアリゲーター、ピンバックル付き
ムーブメント情報
キャリバー: 9780 MC
機能: 時、分
直径: 20.2m
厚み: 1.85mm
パワーリザーブ: 36時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 19
追加情報: ジャガー・ルクルト製Cal.849ベース
価格 & 発売情報
価格: 601万9200円(税込)
発売時期: 秋頃
限定: 150本
話題の記事
Introducing G-SHOCKがMRG-B2100に“青墨”の彩りをプラス
インディーズブランド、アルトが70年代デザインを取り入れたアート 01を発表
Hands-On カルティエ 「サントス ドゥ カルティエ」デュアルタイムを実機レビュー