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Bring a Loupe ロレックス オニキスデイトジャスト、テクニカム ドゥ ロックルのスクールウォッチ、オメガのラトラパンテ懐中時計など

話題に上がった時計を今週もお届けしていく。

本稿は2020年1月に執筆された本国版の翻訳です。

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今週もまた、おなじみのものからひねりを加えたユニークなものまで、幅広くピックアップしてお届けしよう。オーソドックスな選択としてロレックスのデイトジャストがあるが、これはただの古いデイトジャストではない。この個体はブラックオニキスの文字盤が印象的だ。クロノグラフのほうが好みなら、ジム・クラーク(Jim Clark)のギャレットと、ペルーのモータースポーツクラブのために製作されたオメガの懐中時計をおすすめする。それより壮大な規模のものをお探しなら、プゾー260を搭載したスクールウォッチと、これまで見たなかで最もシャープなチューダー アドバイザーをチェックだ。


テクニカム ドゥ ロックル スクールウォッチ

 時計業界は確かに進歩しているが、時計師の養成に専念している機関は、時計学の基本が現在まで忠実かつ適切である限り、それほどカリキュラムの変更はされない。今でも実践されている伝統のひとつとして、学生が自分の能力を発揮し、時計師として認められるために組み立てるスクールウォッチの製造がある。たまに売りに出されているのを見かけるのだが、なかには紛れもなくほかのものより素晴らしいものがある。今週初め、この表現にふさわしいスイス製ウォッチが私の目に留まった。今から明かす内容を読んでいただければ、今回のまとめ記事にこの時計が含まれていることをきっと理解していただけるだろう。

 このスクールウォッチは、1933年に学校が合併して設立されたテクニカム ヌーシャテル ル・ロックル(時計学校)まで遡る。ステンレススティール製の裏蓋の下には、コンペティション用ムーブメントのプゾー Cal.260が収められていることから、おそらくこの作品は1950年代に製造された可能性が高い。同キャリバーの例は、天文台のクロノメーターコンクールという明確な目的のために製造され、いくつかのメーカーが応募用に改造するベースキャリバーとなった。構造的にも、Cal.260は完璧なプロポーションであり、露出したコンポーネントとブリッジを隠す部分が最適なバランスとなっており、目を見張るものがある。ほかのモデルよりも高い水準で仕上げられたものもあるが、このキャリバーのデザインは最も質素な形ながら美しい。

 ほとんどの人はその起源とメカニズムだけで魅了されるだろうが、真に飽くことを知らない人のためにお伝えすると、この個体の文字盤、針、キャリバーを収納するケースは、最後に2007年のクリスティーズで一般販売されたブレゲ No.1134と同一のものだ。納得できない場合は、両方のピースのサイズを確認し、ふたつの時計に見られるユニークなラグのデザインをよく見て欲しい。ベゼルはわずかに異なっているように見えるものの、ブレゲとテクニカムは同じケースメーカーが製造していると考えていい。

 バルセロナのMimandcroketが、時計製造教育の歴史に残るこの時計を希望価格1万6000ユーロ(当時の相場で約195万円)でウェブサイトに掲載している。詳細はこちら


ギャレット マルチクロン 12

 ブラック文字盤のトリプルレジスタークロノグラフはごまんとあれど、歴史に名を残すものはほとんどない。そのような時計は、著名な人物や歴史的な出来事に関連していることが多く、次の個体もその例外ではない。F1界のレジェンド、ジム・クラークによって有名になったこのバルジュー72を搭載したモデルは、メジャーブランド以外のクロノグラフのなかでも、近年、過剰な人気を博した時期を過ぎても長生きしている数少ないモデルのひとつである。これは市場がポップカルチャーや歴史的意義とのつながりを持つ、重要なキャリバーを動力源とする伝統的なスタイルの作品に、常に親切であるということを示している。

 12時位置にギャレットのサインがあることからもわかるように、これは1970年代初頭に製造された、名高いクロノグラフの後期モデルである。初期の例では、ブランド名がすべて大文字の小さな書体で印刷され、少し後に製造されたものは、文字盤に大きく、しかし同様に統一された書体でブランド名が印刷された。私のようなコレクターのにとって、それ以前のモデルが常に特別な存在であるが、ギャレットの“G”のような奇抜な時計の針のグラフィックは長いあいだ評価されてきた。こういった細かなデティールが、深い集中状態と考察を必要とするゲームを魅力的なものにしているのだ。

 文字盤については、時間の経過とともにかなり古くなったようで、傷があったとしてもほとんど見えない。夜光塗料は完璧とは言えないものの、そのオリジル性と手つかずのナチュラルさを物語っている。ケースも同様で、表面には小さな傷があるのみで磨かれておらず、シャープな線が残ったままだ。奇妙なことに、この時計は現在、オメガ製のナンバー47のエンドリンクとナンバー1175のブレスレットに取り付けられており、出品者は単に“オリジナルではない”とだけ説明している。スピードマスターをドレスアップしたくて、もう1本ブラックダイヤルのクロノグラフが欲しいという方、一石二鳥のこの機会にどうぞ。

 カリフォルニア州サンブルーノのeBayセラーがこのギャレットを提供していた。この記事が公開された時点では、入札価格は3500ドル(当時の相場で約37万円)からとなっていた。


ロレックス デイトジャスト Ref.16018、1977年製

 誰もが経験したことがあるだろう。映画を見ていたり番組に夢中になっているとき、誰かの手首がフレームに入ると一時停止ボタンを押す。その行動はそれほどまでに時計に執着している人であることがわかる。それは私がオニキスダイヤルのデイデイトの一覧タブを別画面で開きながら、『マスター・オブ・ゼロ(原題:Master of None)』を見ているときだった。念のために言っておくと、予感を的中させたあとは番組自体に集中し、多少気になる強迫行為に歯止めをかけたが、それ以来その時計への興味が薄れたかと言えば嘘になる。

 材料はさておき、ほとんどのストーンダイヤルのデイデイトが持つ主な美しさの魅力は、ロレックスのクラウンロゴと通常の文字盤テキスト以外の要素がないことだ。この素朴で無機質な外観は、半貴石の美しさと全体のデザインに集中することができる。それはこのRef.16018 デイトジャストのようなモデルにも言えることで、間違いなくその概念を次のレベルに引き上げてくれる。曜日窓がないぶん機能性が失われるが、より無機質さが強調され、腕の上でよりピュアな外観を作り出してくれる。

 私自身の探求はすでに終わったかもしれないが、私は今でも注目すべき事例に目を光らせている。そして先日、そのひとつを発見したとき、今週のコラムで取り上げるべきだと思ったのだ。ほかのヴィンテージウォッチと同様に、ストーンダイヤルのデイトジャストを手に入れるには、コンディションとオリジナリティが勝負の分かれ目となる。オリジナルの針と完璧な文字盤、そして厚みのあるケースなど、この個体は想像しうるすべての条件を満たしている。金無垢時計にブラックダイヤルは、独特の悪趣味なルックスであり、デイトナの領域に入るまでもなく、マイナーの極みである。

 この理想的な構成のデイトジャストは、パリにあるディーラー、Harbor Watchesが提供している。価格は1万7900ユーロ(当時の相場で約218万円)だ。そのほかの写真はこちら


チューダー アドバイザー Ref.7926

 私が時計に興味を持った瞬間から今日に至るまで、チャイム機構は常に私にとって非常に興味深いものだった。問題は、ミニッツリピーターやクォーターリピーターの領域に参入するためのコストが決して安くないことだ。ほとんどの人にとって、これらは聖杯の領域に存在している。とは言っても、アラームウォッチは比較的お得に手に入れられるし、調律されたチャイムの代わりにバイブレーションの振動で時刻を知らせてくれるもので問題なければ、素晴らしい時計をたくさん見つけることができる。チューダー アドバイザーも例外ではなく、アラームウォッチを次に選ぶなら、ぜひこの記事を読み進めて欲しい。

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 これはチューダー アドバイザーの系譜における最初のリファレンスであり、1957年のヴァルカン クリケットとジャガー・ルクルト メモボックスに対するブランドの回答として始まったモデルだ。アプライドのバラのロゴでないことからわかるように、この例は1960年代後半に製造されたもの。質問される前に伝えておくと、時計に装着されているリューズは交換品ではない。サインのないリューズはRef.7926の特徴であり、チューダーのバックカタログのなかでも特に興味深いリファレンスのひとつだ。またア・シルト社製のCal.1475ムーブメントという特徴を加味すると、かなり型破りなオイスターだと思われる。

 日常的に目にすることのない時計であることはさておき、この特別な例はそのコンディションのよさも注目に値する。端的に言えば傑出した個体であり、ディーラーのなかにはこのような製品を“新古品”と呼びたがる人もいるだろうが、この言葉には少し抵抗がある。それにもかかわらず、この時計は信じられないほど素晴らしい状態で、ケースは手付かず、文字盤も完璧だ。すべての夜光部分も上品にエイジングされた均一なカスタードトーンになり、文字盤のシルバーサンバースト仕上げを大いに引き立てている。

 このチューダーはeBayに出品されており、マサチューセッツ州ミルフォードに拠点を置くセラーが出品していた。金曜日の朝の時点で、すでに1225ドル(当時の相場で約13万円)の入札を達成している。


オメガ ラトラパンテ ポケットクロノグラフ

 多くの新参コレクターは、オメガを月に行った時計のブランドとして評価するだろうが、このひとつの功績だけを認めることは、豊かで重要な歴史を無視することになる。オリンピックを見たことがある人なら、オメガの名声が月探査ミッションとの関係をはるかに超えていることを知っているだろう。1930年以来、オメガは重要なスポーツイベントに高度なタイムキーパーを供給してきた。その後状況は進歩しているが、現在のものよりも前に登場したものは、今でも非常に印象的である。例えば、今週最後に取り上げるこちらの個体だ。

 今あなたが見ているのは、同社が1950年代に製造していたであろうCal.1130を搭載した懐中時計だ。このレマニアキャリバーを特別なものにしているのは、24リーニュという巨大な存在感であり、すべての部品が識別しやすくなっている。裏蓋を外して巻き上げると、各パーツの機能や、それがどのように重要な役割を果たしているかが理解できる。実際に動いているのを見るのは本当に素晴らしいことだ。

 魅力的な理由はいくつもあるが、最も特徴的なのはオリジナルの保護ケースが付属していることだ。ストップウォッチを雨風から守るだけでなく、ケースに入れた状態だとクロノグラフのプッシュボタンしか押せないため、より厳密な計測が可能である。あまり目立たないが、おそらくもっと重要なのはふたつ目の文字盤サインだ。ペルー自動車クラブ(Automóvil Club Peruano)とを結びつける“A.C.P.”というサインがあり、この時計がもともとモータースポーツの計時を目的としていたことを裏付けている。バウハウススタイルの美しい書体と、外周トラックにある波のようなパターンと相まって、このモデルにはたくさんの魅力が詰まっている。

 パリのArtcurialが、レトロモービルショーを記念したRacing, Flying & Yachting Rétromobileオークションにて、この希少なオメガを提供した。結果は1170ユーロ(当時の相場で約14万円)にて落札。詳細はこちら


自己責任: ロレックス サブマリーナー Ref.5512

 記事を締めくくる前に、多くの人にとっては正規品に見えるかもしれないが、実際にはそうではない腕時計について触れておきたい。これは素晴らしいギルトダイヤルを持つサブマリーナーのように見えるかもしれないが、実際には偽物や不正なパーツを寄せ集めたものである。文字盤、ケース、後期のノンバタフライローターに至るまで、この部分についてはほとんど説明がつかない。また興奮してしまうほどの過度に色あせたベゼルも偽物だ。物事が見かけどおりでないことを示すいい事例だ。どんな理由であれ、偽ヴィンテージロレックスのファンは、ゴーストベゼルインサートが大好きだ。

 この時計は2月1日にアトランタで開催されるオークションに出品され、推定1万8000ドルから2万2000ドル(当時の相場で約192万~235万円)で落札される。気を付けて!