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Bring a Loupe ロレックス プレデイトナに、パンアメリカン航空ゆかりのグライシン、そして50年代のスマートなギュブランなど

今回も深遠なるヴィンテージウォッチの世界にお連れしよう。

本稿は2020年2月に執筆された本国版の翻訳です。

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よい知らせは待っている者のところにやってくる(果報は寝て待て)というが、このコラムを辛抱強く待っていた人は幸運だ。今回のラインナップには、過渡期のホイヤー オータヴィアや、パンナムにゆかりのあるグライシン エアマンのフルセットなど、いずれもオリジナルオーナーの遺品から直接入手したものばかり。ヘビーなファン向けには、思いつく限りの付属品が揃ったプレデイトナのコンプリートモデルと、ブランド創立100周年を記念して作られた特別なギュブランを紹介しよう。レターオープナーの用意もある。用意はいいかい?


ルクルト メモボックス レターオープナー

 メールやメッセージの洪水に明け暮れる現在だからこそ、ごくまれに送られてくる誰かからの手紙は格別だ。自分のことを思って、時間を割いて紙とペンで手紙を書いてくれた人がいるのだと思うと、心が温かくなる。センチメンタルな感情を覚える封書は、ある種の失われた芸術のような存在だ。道具にこだわる必要はないが、あらゆるアイテムをそろえたいと望むのであればそうすることもできる。わかりやすい道具は別として、レターオープナーはあると便利だ。そして、一風変わったものを求めているのであればもうこれ以上探す必要はないだろう。

 申し添えておくと、持ち手の内側に時計を取り付けたレターオープナーは以前にも見たことがある。だが、この逸品はより高レベルな進化を遂げているようだ。ルクルトによってアメリカ市場向けに製造されたこの多用途なコレクターズアイテムは、その末端に伝説的なメモボックスのタイムピースを装備している。この時計だけを見ると、ほかのクッションケースのリファレンスとほぼ同じ外見をしているため、デザインプロセスとしては「レターオープナーにメモボックスをくっつけよう」といった感じだろうか。とはいえ、ありとあらゆるものをコレクションしたい人にとっては格好の代物だろう。

 この製品には何の意味もなく、それについて非難するつもりもない。そんなアイテムだからこそ、私は気に入っている。これは、アラームを搭載し、日付機能を備えた時刻を知らせるレターオープナーだ。手紙を開けるのに、機械式のアラームが必要な世界とは何だ? 丸1日かけて郵便物を開封するような仕事なら役に立つかもしれない。しかしそれにしても、世の中の郵便物開封のプロが金のデスクアクセサリーで仕事をしているとは思えない。これは誰も必要としないものだが、実物をひと目見てみれば欲しいと思う人がいることも理解できるかもしれない。

 カリフォルニア州パサデナのTreasure Seeker Auctionsが、日曜日の午前中にこの時計細工を販売する。予想落札価格は800ドルから1200ドル(執筆当時。当時のレートで約8万8000〜13万2000円)に設定されている。


ホイヤー オータヴィア Ref.2446

 あなたがどうかは知らないが、私は珍しい場所でヴィンテージウォッチを見つけたり、小さくて比較的無名のオークションハウスが出品している時計を見つけたりすると、ちょっとした興奮を覚える。その筋の権威から買うのも確かにいいが、お買い得なのはやはりこっちだ。さらに他人が見向きもしないような穴場を探し回った末に時計を腕にはめるのは、間違いなくより達成感がある。私の最高の情報源を明かす前に、その条件を見事に満たした時計を見てみよう。

 見出しにあるとおりこれはRef.2446 オータヴィアだが、実はモデル名や品番からは読み取れない物語がある。具体的に言うと、これは象徴的なスクリューバックケースの第1世代と第2世代のあいだに製造された、リファレンスにおける過渡期のモデルだ。このケースを見分けるのはラグを指でなぞるのと同じくらい簡単で、エッジに面取りが施されていないのだ。ケースのなかからのぞく夜光塗料を塗布したダイヤルは、のちの“リント”オータヴィアに見られるようなアプライドのマーカーとやや小さめのレジスターが特徴的だ。

 コンディションは良好で、ベゼルのインサートはきれいに退色し、わずかに青みがかった色調にエイジングしているように見える。これは単にフラッシュ撮影の結果かもしれないが、過去にも同じようなインサートが装着された個体に出くわしたことがある。ケースがポリッシュされていないように見えるのは大きなプラス要素だが、おそらく夜光塗料が剥がれたようなマーカーがいくつかある点は若干残念に感じる。それでもこの時計は見た目が素晴らしく、まだ市場に出たばかりであり、コレクションに博物館級のオータヴィアがどうしても必要でないのであればまずまずの値段で手に入れることが可能だ。

 デトロイトのDuMouchelle Art Galleriesは、2月15日のセールでこのホイヤーを出品する。この作品への注目度は早くもオークションハウスを刺激しているようで、入札額はすでに2250ドル(執筆当時。当時のレートで約24万7300円)に達している。


グライシン エアマンRef.PAT.314050

 かつて、ある識者が私に「商品の説明文は必ず読め」と言った。正直に言うとこの助言は数年前、粗悪な時計へのリンクを興奮して転送したあとになされたものだ。だが、私は失敗から学び、その出来事を語り継ぐべく生きてきた。この時計はちょっと話が違って、その説明文を読むと価値をさらに高めるおまけが隠されていることがわかる。パンアメリカン航空ゆかりの品であり、それがこの時計を単なるエアマンではなく、まさに実際の任務のためにデザインされた1本たらしめているのだ。

 グライシンがこのモデルを発表したのは、第2時間帯を表示する時計がプロパイロットのあいだで注目されるようになった1953年のこと。その2年後、別の時計メーカーがGMT表示をうたった時計の製造を開始したのはすでにご存じだろう。同時代のモデルとは異なり、エアマンはデイトの拡大鏡や回転ベゼルをロックする4時位置の第2リューズなど、いくつかユニークで風変わりな機能を備えていた。

 個人的に好きなディテールはダイヤルの12時位置にある小さな穴で、リューズを緩めるとそこからピンが出てきて秒針の動きを止める。初期のハッキング機構と考えればいいだろう。

 該当の個体は、明らかに変更や改ざんが入っていたり研磨されたりしていない良品だ。さらにオリジナルの箱、書類、下げ札が付属するなかなかお目にかかれないものである。先に述べたように、オークションの出品者いわく元の所有者はパンナム航空で働いていたということであり、それがこの個体の価値をさらに高めていることは間違いない。現時点では、航空会社の従業員に関するさらなる情報について彼らからの返答を待っているところだ。調査結果についてはコメントで報告しようと思う。

 興味がある方は、このグライシンがオークションにかけられるアリゾナ州フェニックスのFidelity Estate Servicesへ。記事掲載時点で、事前入札価格はすでに925ドル(執筆当時。当時のレートで約10万1660円)に達している。


1954年製 ギュブラン Ref.6000

 ヴィンテージウォッチの魅力について語るとき、多くの人は初期の優れたタイムピースの繊細さをことさらに強調し、いかに多くの人々が自分の手首に巻いているものについて理解していないかに言及する。それが真実だった時代もあったかもしれないが、私に言わせれば、現在においてそうした時計はかつてのようにステルス爆弾のような存在ではなくなっている。それに、どの時代のサブマリーナーであってもサブマリーナーであることは間違いないし、そうでないと断言する人は現実から目を背けているだけだ。だからこそ、目立たないようにしながらも重厚なパンチを効かせたいと願う人たちにはあまり人に知られていない逸品をおすすめすることが多い。もしあなたがそんな願望を持っていて、偶然にも非の打ちどころのない美的感覚を持っているのなら、このまま読み進めていただきたい。

 1954年、ギュブランは創業100周年を記念して圧倒的な品質を誇る限定モデルを発表した。その価値にふさわしく、この時計製造リテーラーはたった200本しか製造していない。一見するとスマートなデザインだが、よく観察してみるとそれ以上の魅力がある。説明していこう。

 まず最初に目に見えるものについて。ほかの190本とは異なり、このモデルはホワイトゴールド製のケースにダイヤモンド(インデックス付き)のダイヤルを備えたわずか10本のうちの1本だ。現在このようなモデルが何本現存しているかは誰にもわからないが、すべてがオリジナルの輝きを保ったまま時を刻んでいるわけではないだろう。

 次にその中身を紹介しよう。このギュブランの裏蓋をはずすと、時計史に残る偉大なキャリバーのひとつ、オーデマ ピゲのCal.VZSSが現れる。APは天文台のクロノメーターや最高級のリファレンスに使用するために、直径13リーニュ(約29.3mm)のバルジュー製エボーシュをわずか2000個だけ改造したと推定されており、そのいずれも畏敬の念を抱くほどの仕上げが施されている。このキャリバーが特別なものであることをさらに理解するには、その構造がフィリップ・デュフォーのシンプリシティに搭載されているムーブメントに影響を与えていることを思い出して欲しい。これらの特徴すべてを併せ持っていることに加え、その希少性もあり、このピースは信じられないほど特別なものとなっている。

 オランダの販売店Cosimo Watchesのサイトに、この極めて傑出したタイムピースが2万1000ユーロ(執筆当時。当時のレートで約252万4200円)で掲載されている。個人的には、即座にアクセスすることをおすすめする。このような時計に次に出会えるのは、もうしばらく先のことだろう。


1959年製 ロレックス オイスタークロノグラフ Ref.6234

 ひと握りの例外を除けば、私が知る限り、本格的なコレクターはほぼ全員デイトナを持っているか、あるいは完璧な1本を追い求めている。デイトナは過大評価されているとか、もっと魅力的な時計が安く手に入ると主張する人がいるかもしれないが、デイトナが持つ比類なきコレクター性はすぐには変わらないと断言できる。ヴィンテージデイトナのゲームへの参加料は、年月が経てば経つほど高くなると確信している。そしてそれは、デイトナ以前のモデルにも同じことが言える。だから私は、次のヴィンテージロレックスを探す友人にオイスタークロノグラフこと“プレデイトナ”、もっと具体的に言えばRef.6234を探すようによくすすめている。

 このプレデイトナの価格設定は弟分(デイトナ)と同様に、比較的リーズナブルなものからふざけた値段のものまで幅広い。しかしどのような形であれ、このモデルは非常に希少である。ステンレススティール製のこのリファレンスはわずか2300本しか製造されなかったと推定されており、その品質の高さにもかかわらず、同じ本数はもはや流通していないと考えていいだろう。そのため、このマルチスケールの個体のように完璧で素晴らしい時計が発見されるのは本当に喜ばしいことなのだ。念のため言っておくが、実際に着用され、楽しまれていた時計はおおむねこのような状態である。

 ダイヤルはミントコンディションではないが、長い年月を経て均一なパティーナ(古色)を帯び、なおかつ美しい状態を保っている。ラジウムは最後のひとつ残らず無傷で、テレメーターもタキメーターも完全に読み取れる。非常に望ましい個体だ。保証書、領収書、修理記録とともに、オリジナルのクラムシェルケースが付属しているのもコレクターにとってはありがたい。このモデルを所有していた家族からの2通の手紙も、今回の取り引きに含まれている。2通のうちより重要なものは元の所有者の妻が書いたもので、アラバマ州ハンツビルでこの時計を購入したのち、1959年の記念日に夫に贈ったことが記されている。私のようなロレックス中毒者は、表紙にあの紛れもなくクールなイラストが描かれた初期のブランドカタログも楽しめるに違いない。

 ロサンゼルスのCraft & Tailoredでは、このプレデイトナのセットを4万8500ドル(執筆当時。当時のレートで約530万円)という価格で販売している。詳細と写真はこちらから。