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Auctions クリスティーズ 香港 インポータントウォッチ「チタニウムコレクションとアジアの重要なプライベートコレクション Part3」に登場する注目の時計たち(編集部撮り下ろし)

パテック フィリップのチタン製ミニッツリピーターを筆頭に、ヴィンテージ、モダン、コンテンポラリー時代のモデルからなるコレクションから特に注目のモデルを見ていく。

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 コロナウイルスの影響は時計業界に大きくネガティブなインパクトを与えていますが、直近で開催されたオークションでは、ジャン-クロード・ビバー氏がコレクションしていた4つの時計が876万ドルで落札されたり、3つのロレックスが新たな落札記録を更新したりするなど、それを物ともしない素晴らしい結果が出ています。そんな中、来る7月13日、クリスティーズ香港は「チタニウムコレクションとアジアの重要なプライベートコレクション Part3」が開催されます。世界中の時計愛好家たちが注目するオークションの1つであり、先日HODINKEEのダニー・ミルトンが「Auction Report パテック フィリップ「チタンとルビー」コレクションが、今年の夏と秋にクリスティーズ香港で開催予定」の記事の中で、既に9本の注目すべきオークションピースについてご紹介しました。

 HODINKEE Japan編集部は、オークションプレビューにて、その記事に登場したいくつかの時計を含む、7月13日に登場する時計を実際に手にとって見る機会を得ました。今回は、そこから厳選した時計たち7本を編集部撮り下ろし画像でお届けします。


パテック フィリップ Ref. 5033T 年次カレンダー ミニット・リピーター チタン製

 今回のオークションの目玉トップロットであり、タイトルの由来ともなっている時計の1つ、パテック フィリップ Ref. 5033Tを最初にご紹介しないわけにはいかないでしょう。このリファレンスは、2002年にわずか10本だけが特別受注品として製作された時計のうちの1つです。9本がプラチナ製で、10本目のこの時計だけがユニークピースとして、チタンで作られました。もちろんリファレンスナンバーもこの時計だけ独自のものが与えられており、9本のプラチナ製モデルが5033P-001であるのに対して、本機は5033T-001となります。

 シルバーグレーの文字盤は、中心部にギヨーシェ装飾が施され、細長いブラックのローマ数字インデックスが特徴的。5033の多くがブラックダイヤルだったことを考えると、これも非常に特異な点でしょう。またケースの仕上げについても、プラチナ製の5033は全体的に鏡面仕上げであるのに対して、チタンモデルの本機は全面にサテン仕上げが施されており、よりシャープでクールな印象を与えます。

 内部に搭載するムーブメントは、合計483個の部品からなるCal.R27 PS QA。実際に手にとってみると凝縮されたコンプリケーションムーブメントが搭載されていることを忘れてしまうほどの軽さです。さらにリピーターを作動させた際に放つ音色にも驚きました。ミニッツリピーターは、一般的に素材が硬いほど大きくはっきりとした音になります。チタン製の本機の音色は、確かに大きな音ではありませんが、同社が開発したカセドラル・ゴングが優しく豊かな音色を奏でます。

 Ref. 5033は、2002年から2012年までの10年間に約80本程度のみが生産されました。18年前に発売されてからこれまで、市場には5本しか登場しておらず、元の所有者に愛されている時計と言えるでしょう。今回ご紹介したチタン製の5033Tは、中でも最も希少な時計。今回のオークションで市場がどのように受け止めるのか非常に注目されます。

本機は、LOT 2492で予想落札価格は780万〜2400万香港ドル(約1億~3億3300万円)。


パテック フィリップ スカイムーン・トゥールビヨン Ref. 5002 プラチナ

 Ref. 5002は、2001年から2011年まで生産され、年間10本程度しか生産されませんでした。現代において最も重要な時計の1つであることは間違いありません。特にプラチナ製は40本しか生産されなかったと考えられており、そのうち17本が市場に出回っています。

 Ref. 5002はパテック フィリップがこれまで製作した最も複雑な腕時計であり、最初のダブルフェイスモデルとしても知られています。片面にはムーンフェイズ表示付きのレトログラード式パーペチュアルカレンダーが、もう片面にはブルーのディスクを背景に、北半球の星座と満ち欠けする月が回転。その他にもシリウス星の子午線通過時刻、月の子午線通過時刻など合計12の複雑機構を有しています。

 スカイムーン・トゥールビヨンを駆動するムーブメントは、686個の部品で作られた手巻きのCal.R TO 27 QR SID LU CL。本機のミニッツリピーターもカセドラル・ゴングをもっており、文字通り聖堂の鐘の音色で時刻を知らせます。文字盤やケースには至るところにカラトラバ十字の刻印が見られ、ミニッツリピーターを作動させるスライドピースも例外ではありません。

 ダニー・ミルトンが、記事の中で「全く化け物級だ」と表現していましたが、そのとおりの時計です。もちろん時計として手首に巻くことができ、実際に僕も身に着けてみましたが、とてもシュールな感覚でした。5002は、同社の技術をアピールするための時計であり、コレクターの中でも最も裕福かつ複雑機構への愛に満ちあふれている人のための時計なのです。

本機は、LOT 2504で落札予想価格は780万〜1200万香港ドル(約1億~1億6650万円)。


パテック フィリップ 永久カレンダー・クロノグラフ Ref. 1518 18Kイエローゴールド

 Ref.1518は、1941年に発表されて以来、同社の複雑時計の中でも最も人気のあるモデルの1つです。HODINKEEでも度々ご紹介してきているため(例えば、ステンレス製のパテック フィリップRef.1518)、馴染みのある方も多いのではないでしょうか。内部にはバルジューベースの手巻きCal.13を搭載。永久カレンダーとクロノグラフを初めて同時に搭載したリファレンスです。

 ここに登場したのは、Ref. 1518の初期のシリーズで、1945年までのモデルにみられるマーク1ダイヤルを有しています。マーク1ダイヤルは、"Patek Philippe & Co."と長いロゴ表示があり、日付と月の表示に際立った大きなフォントを採用していました。また、タキメータースケールは後のシリーズとは異なり、"BASE"の文字が12時位置よりも右側に配置されています。

 実際に身に着けてみると、35mmという小ぶりなサイズ感の割に、とても存在感があります。リーフ針、アプライドのアラビア数字インデックス、文字盤外周に配されたタキメータースケールや大きめのリューズといった意匠がそう感じさせるのかもしれません。

 1518は、常に需要が供給を上回るモデルであり、当時も一部の公式代理店にのみ供給され最も重要な顧客の手に渡ったとされています。281本のみが製造されたとされ、現在のオークション市場でも非常に高い人気を誇ります。希少価値による人気はもちろんですが、それ以上にこの美しいデザインが惹きつけるのでしょう。

本機は、LOT 2489で落札予想価格は270万〜420万香港ドル(約3740万~5829万円)。


パテック フィリップ Ref. 2499 3rdシリーズ 18Kイエローゴールド

  Ref. 2499は、先にご紹介したRef.1518に取って代わる形で1951年に登場し、1985年まで製造されたモデルです。生産期間は、35年近くに及びますが、生産本数は349本にとどまっています。生産本数の少なさから愛好家たちの間でも非常に人気が高く、先日フィリップス第11回ジュネーブ時計オークションに登場したジャン-クロード・ビバー氏のRef. 2499は、260万スイスフラン(約2億9400万円)で落札され話題になりました。

 針の形状やタキメータースケールの有無、風防の素材といった違いにより、1stから4thシリーズまでがありますが、こちらは3rdシリーズのもの。3rdシリーズは、それまであったタキメータースケールを廃止し、インデックスもアラビア数字からバトンインデックスに変更され、全体的にクリーンな文字盤になったことが特徴です。

本機は、LOT 2490で落札予想価格は220万〜320万香港ドル(約3000万~4445万円)。


パテック フィリップ Ref. 2524 18Kゴールド

 Ref.2425は、直径33mmの小ぶりなケースにミニッツリピーターを搭載したモデルです。Ref. 2424の後継機モデルとして1955年に発表され、2つのバージョンが存在します。1つはスモールセコンドがなく、スライドピースを下にスライドすることでリピーターを作動させるもの、もう1つはスモールセコンドがあり、スライドピースを上にスライドさせリピーターを作動させるものです。後者は特に生産本数が少なく、12本以下ではないかとされていますが、今皆さんにご覧いただいているのがまさにその時計。オリジナルのプロポーションをほとんど保った個体です。

 一見すると小ぶりなカラトラバのようなRef. 2425の中には、手巻きのCal. 12'''が搭載されています。本機のムーブメントのメインブリッジには、アメリカ市場向けの数少ないモデルであるということを意味するHOXという刻印が施されています。実際に身に着けてみるとそのサイズ感から、ヴィンテージのカラトラバを腕に乗せたような感覚です。一度スライドピースを操作してミニッツリピーターを作動させるとその感覚は吹き飛びます。Ref. 2425が手首の上で響かせる透き通った高音を聴いていると、ミニッツリピーターにおける芸術性を非常にピュアな形で体現したこの時計がなぜコレクターたちから称賛を受けるのか分かるような気がするのです。

本機は、LOT 2493で落札予想価格は400万〜800万香港ドル(約5500万~1億1117万円)。


グルーベル・フォルセイ、フィリップ・デュフォー、ミシェル・ブーランジェ ガルド・タン

 ガルド・タン(Le Garde Temps)-Naissance d'une Montreは、伝統的な時計製造技術を次世代の時計師に伝えるために考案されたプロジェクトです。このプロジェクトの生徒として選ばれたのは、フランスの時計史であるミシェル・ブーランジェ氏。同氏は、毎月パリからラ・ショー・ド・フォンまで足を運びロベルト・グルーベル氏、スティーブン・フォルセイ氏そしてフィリップ・デュフォー氏の3人に会い、CNCを使わず手作業でゼロから時計づくりを行うために必要な伝統技術を学びました。そうして6年の歳月をかけて11本作られたうちの1つが今ご覧いただいている時計です。文字盤には12時位置にグルーベル・フォルセイ、6時位置にはフィリップ・デュフォーと印字されています。この2人の名前が同じ文字盤上に載るのはこれが最初で最後かもしれません。

 現代の時計製造では、ほとんどの生産作業は高度なコンピュータ制御の機械(CNC)によって行われ、金属加工技術の向上によって、ムーブメントやケースの製造は数百年前に比べてはるかに容易です。しかし、テクノロジーが存在する以前から時計職人たちは時計を製造してきたわけです。卓越した伝統的な時計製造技術が失われないよう次世代に継承することを目的とし、全て手作業で作られた本機は、時計製造業界においてはもちろんですが、希少な技術に興味を持つコレクターにとっても重要な意味をもつのです。

本機は、LOT 2300で落札予想価格は400万〜800万香港ドル(約5500万~1億1117万円)。


ロレックス スペースドゥエラー Ref.1016

 ロレックス スペースドウェラーは、日本市場向けに試験的なモデルとして短期間にごくわずかな本数のみ製造されました。NASAのマーキュリー計画に参加した7人の宇宙飛行士"マーキュリー・セブン"の来日を記念したモデルとされています。ロレックス エクスプローラーI Ref.1016をベースに、本来"EXPLORER"の文字が入る12時下の位置に"SPACE-DWELLER"と表記。それ以外のスペック面などの違いはなく、実際に身に着けてもその感覚も同じです。

 結局、宇宙飛行士の人気にも関わらず、スペースドゥエラー自体は通常ラインナップとして生産されることはありませんでした。その数が非常に少なかったことから実際に手にしたことのあるコレクターはほとんどおらず、伝説的なモデルとなっています。

 本機は日本の著名なコレクターからの出品です。日本から出品された個体は状態が良いことが多く、オークションハウスによっては、しっかりとUsed In Japan(日本で使われた)と表記しアピールするほどですが、日本向けに発売されていた本機がどのような結果を引き出すのか非常に興味深いです。

本機は、LOT 2346で、落札予想価格は40万〜80万香港ドル(約555万〜1100万円)。

クリスティーズ 香港 インポータントウォッチ「チタニウムコレクションとアジアの重要なプライベートコレクション Part3」に登場する全ての時計をご覧になりたい方は、特設サイトへ。
オークションの参加方法などの詳細は、クリスティーズ・ジャパン公式サイトをご覧ください。