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Photo Report ドバイ・ウォッチ・ウィーク 2019

比較的小規模な時計見本市である、ドバイ・ウォッチ・ウィークが徐々にメインプレイヤーへ。

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 ドバイ・ウォッチ・ウィーク(DWW)は腕時計見本市の中でも例外的な存在だ。ある特定のブランドやグループによって組織される見本市ではなく、世界最大の腕時計小売業者の一つが開催しているものである。アフメド・セディキ・アンド・サンズ(Ahmed Seddiqi and Sons)は、ドバイのある拠点をベースに同族経営の企業として1949年に設立された。それ以来、影響力を持つ真の大手企業、およびアラブ首長国連邦(UAE)における高級腕時計製造の代名詞的な小売業者へと成長を遂げた。アフメド・セディキ・アンド・サンズは今も同族経営の企業だが、現在UAEに50を超える事業拠点を構えている。ドバイ・ウォッチ・ウィークは、現代の時計製造業において、重要な役割を担う多くの人材が互いに交流や意見交換を行う場を提供するために、同社が開催しているイベントだ。参加者には、多くの時計メーカーや時計ブランドはもちろんのこと、国際的に名の通った時計ジャーナリストの面々をはじめ、フィリップ・デュフォーやジャン=クロード・ビバーなどの著名人やミシェル・ロリス=メリコフ(窮地に立たされているバーゼルワールドの新ディレクター)などの姿が見られた。

 2019年のドバイ・ウォッチ・ウィークはドバイ・インターナショナル・ファイナンシャル・センター(DIFC)で開催された。DIFCはドバイの経済特区で、商業および国際貿易のハブとして機能すると共に、それ自体が一つの観光地となっている。ドバイ・ウォッチ・ウィークのメイン展示ホールは、「ザ・ゲート」と呼ばれる正方形の建物の吹き抜け部分の下に位置している。ザ・ゲートは、ドバイ証券取引所などが入るDIFCの中心ビルだ。

 参加しているブランドの数は30を超える。ヴァシュロン・コンスタンタン、ロレックス、グランドセイコーなどの大手ブランドのほか、MB&Fなどの独立企業、ディオールやボールガール(非常に繊細な手彫りのオパール製文字盤時計を専門に扱うカナダの企業で、私がDWWで初めて耳にした企業)などのジュエリーを中心に扱うメーカーが軒を連ねた。出展者数は最大の見本市であるバーゼルワールドに比べて少ないが、数多くの素晴らしい腕時計が披露されており、現代の時計製造の多様性を改めて実感させられる。
 より規模の大きい見本市について取り上げる際、知名度の高いブランドに重点的にフォーカスするのは容易である。しかし、ドバイ・ウォッチ・ウィークのような比較的こじんまりとしたイベントでは、より規模の小さい製造業者やニッチなアイテムを取り扱う業者(例えば、去年のジュネーブ・ウォッチ・グランプリ=通称GPHGでメカニカル・エクセプション賞を受賞したジーナスなど)にとって、より大きな規模の見本市では得がたい注目を浴びることができるチャンスなのだ。

フレデリック・コンスタント

チュチマ パイロット クロノグラフ

ユリス・ナルダン

ジラール・ペルゴ  プラネタリウム トライアクシャル トゥールビヨン

F.P.ジュルヌ アストロノミック スヴラン

 以上のような出展ブランドのほか、GPHGで賞を獲得した時計の展示も行われた。ドバイ・ウォッチ・ウィークでは、今後、GPHGに大幅な再編が行われることが主な発表の一つとして挙げられた。GPHGはオスカー像を授与するアカデミー賞のようなアカデミーを設立する予定で、人数は今のところ未定だが(GPHGの役員であるレイモンド・ロレンタン<Raymond Lorentan>とカリーン・メイラード<Carinne Maillard>によると、当初は200~300名を予定)、この業界でさまざまな経歴を持つ著名な人物をその構成メンバーに起用するとの内容であった。これにより、このアカデミーが時計をノミネートすることが可能となる(GPHGでは初の試み。これまでは参加ブランドが自ら時計の提出を行ってきた)。しかし、実物の時計の提出が求められるため、ノミネートされたブランドは参加に同意する必要がある。また、時計を直接検査する、より少人数の審査員団は今後も継続して維持される。ロレンタンとメイラードによると、審査員の票はアカデミーの票よりも比重が高く設定されるとのことたが、具体的にどの程度なのかは現時点で不明である。

ダブル・インパルス・エスケープメントを搭載したチャールズ・フローシャム

アーミン・シュトローム デュアル レゾナンス GMT

H.モーザー 

話題を呼んでいるチューダー ブラックベイ P.01

クラシックなIWC ポルトギーゼ クロノグラフ

ドバイ・ウォッチ・ウィークのメイン展示ホール内

ディオール オパール製文字盤時計

ドバイ・ウォッチ・ウィークのために用意されたレッセンスの非常に変わった限定モデル

MB&F 「グラント」クロック

プラチナ製でピンクの文字盤が特徴的なヴァシュロン・コンスタンタンのパトリモニー 限定モデル。

ルドヴィック・バルアー 「アップサイドダウン」ウォッチ。現在の「時」を示すディスクが正しい向きに回転しており、「分」は中央の分針1本で表示される。

ベル&ロス ステンレススティール製 BR05

ショパール L.U.C フルストライク ミニッツ・リピーター

ロレックスブースの外観

 ドバイ・ウォッチ・ウィークで大きな存在感を放っていたのはロレックスで、展示スペースをメインホールの外に設置した時計ブランド二社のうちのひとつであった(もう一社はショパール)。展示スペース内には、ロレックスの歴史における重要な節目の数々に焦点を当てた展示が行われていた。展示スペースは巨大なオイスターブレスレットのような造りが再現された。

ジーナス GNS1.2

トリローブ 時刻は三つ葉のマークを使って、3つの回転するディスクから読み取る。ブランド名はこの三つ葉が由来である。

チャペック

オートランス

ボールガール 手彫りMOP文字盤のトゥールビヨン

シンガー アジェングラフ・クロノグラフ・ムーブメント搭載のウォッチ。

ローラン・フェリエ

 ドバイ・ウォッチ・ウィークが他の見本市と明らかに違う点を一つ挙げるとすれば、それは時計フォーラムだ。この時計フォーラムは、モデレーターが舵を取るさまざまなパネルディスカッションから成っている(DWWの期間中は、レクチャーや実践型ワークショップなど、その他のアクティビティも開かれる)。このパネルディスカッションには、時計業界において時として非常に異なる経歴を持った人物が参加し、ゲストモデレーターが注意深く見守る中、ある特定の(そして時には物議を呼ぶ)トピックについて議論を行った。

 「State Of Affairs」(現況)と題したパネルディスカッションには、SIAR創設者のカルロス・アロンソ(Carlos Alonso)、バーゼルワールドのディレクターであるミシェル・ロリス=メリコフ、ドバイ・ウォッチ・ウィークの総ディレクター兼アフメド・セディキ・アンド・サンズのマーケティング&コミュニケーション最高責任者のヒンド・セディキ(Hind Seddiqi)、そしてGPHG会長のレイモンド・ロレンタンが一堂に会し、見本市と産業展示会の将来について議論した(クイル&パッドのイアン・スケラーン<Ian Skellern・中央>がモデレーターを務めた)。このディスカッションでは、いかにしてこのような見本市や展示会を一般消費者のためにより有意義かつ有益なものにできるかという問題について意見が交わされた。

ドゥ・ベトゥーン

ショパール 去年の新作であるアルパイン イーグル

グランドセイコー 「ゴジラ」 

ブライトリング プレミエ B01 クロノグラフ

ジェイコブ アストロノミア ドラゴン

ロレックス サブマリーナー

 ドバイ・ウォッチ・ウィークと時計フォーラムは、見本市が今後どのようにあるべきかについての非常に興味深い方向性を提起している。すなわち、時計自体の展示がもちろん主な開催目的である一方で、業界と一般消費者の両方にとって有益となりうるユニークで興味深いコンテンツも提供可能な見本市だ。フォーラムディスカッションは全体的にとても活発な議論が交わされたものだった。現在、世界各地で多くの時計見本市が開催されているが、その中でもこのフォーラムを中心としたドバイ・ウォッチ・ウィークは、ますます注目すべき見本市であると言えよう。