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Hands-On シチズンの“フジツボ”が、ブラックのスーパーチタニウムで復活

このクラシックなスタイルのダイバーズウォッチは、シチズンのほかのラインナップの流れに逆行するものだ。だが、ときとしてそれこそが重要なこともある。

Photos by Mark Kauzlarich

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特定のブランドを買い求める際、その製品ラインのなかでもさほど象徴的でないものを手に取るような人はいるだろうか? 昨年、ジェームズ・ステイシー(James Stacey)は、初期のプロマスター メカニカル “フジツボ”ダイバー(通称“チャレンジ”ダイバー)が、少なくとも表面上において、シチズンのラインナップのなかでも極めて典型的なダイバーズウォッチのひとつであることを率直に指摘した。シチズンといえば、直径46mmのオルカ、同じく46mmのエコ・ドライブ プロマスター ダイバーズ、そして直径48mmのエコジラなど、巨大で人目を引く時計が思い浮かぶ。そして、これらはまさにブランドにとってアイコン的存在だ。

Citizen Promaster Dive Automatic in Black Super Titanium

 「シチズンというブランドを愛しているからこそ、シチズンが欲しいのだ」と自分に言い聞かせ、その時計のなかでもっとも“スタンダード”なものを選ぶ人に私は拍手を送りたい。もしかしたら、あなたはネオヴィンテージのディープなモデルのほうが好きかもしれないし、伝統主義者であるかもしれない。しかし、もしあなたがシチズンのなかでも、現代的なカルトクラシックモデル(しかも大振りでワイルドな)のなかから“フジツボ”に手を伸ばしているのだとしたら、それはおそらくシチズン愛好家のうちでは少数派だろう。だが、私はそのことについてあなたを責めはしない。オリジナルのスーパーチタニウム製プロマスター メカニカルダイバー(そして私が所有するブルー文字盤モデル)は、同僚のジェームズの言葉を借りれば“別格”だ。

 そう、そしてシチズンはスーパーチタニウム製プロマスター メカニカルダイバーにデュラテクトDLCコーティングを施した新モデルを発表した。今作は“別格”か、それ以上のものだ。

Citizen Promaster Dive Automatic in Black Super Titanium

 新しいプロマスター メカニカルダイバーシリーズは、シチズンのヴィンテージ“チャレンジダイバー”を完璧に再現したものではなく、同作を確固たるベースとして作られたものだ。だが、1960年代や1970年代のヴィンテージダイバーズファンならば、どこからインスピレーションを得ていかなどはすぐにわかるだろう。オリジナルモデルを見たときに私が最初に感じたのは、セイコーの62MASに似ているなということだったが、これはその当時の流行だったからにほかならない。

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 もちろん、この時計はヴィンテージの時代からは少し強化されており、200m防水と少し大きめの41mmケース(ヴィンテージの40mmから1mmアップ)を備えている。20mmのラグ幅は私がこの手のダイバーズに常に求めている基準であり、夏のあいだはNATOに付け替えれば気軽に装着が可能だ。それにしても、なぜ私はブレスレットをはずそうと思うのだろう?

Citizen Promaster Dive Automatic in Black Super Titanium

 ここで話を単純化しすぎないようにしたいのだが、私がこの時計を好きな理由の大部分は、ケース、ブレスレット、文字盤のすべてが一体となった全体的な雰囲気(子供っぽい表現だが)にある。私は“コーティング”された時計が(おそらく非論理的なまでに)大好きだ。PVDであれ、DLCであれ、そのほかのコーティングであれ、私の関心を引きつけてやまない。もし資金が無限にあったら、ヴィンテージのあらゆるコーティングウォッチのコレクションを作るだろう。

 シチズンは、ケースとブレスレットにデュラテクトDLCコーティング(多くの小売業者のサイトに掲載されているようなPVDコーティングではない)を採用している。ブランドはこれをブラックコーティングと呼んでいるが、ポルシェデザインのクロノグラフ1やヴィンテージホイヤーの “ダークロード”のような時計に見られる本物のマットブラックとは異なり、どちらかというとダークグレーのように見える。このカラーは光の加減で変化し、ケースのファセットやフォルムにコントラストがあまり見られない、多くのマットコーティングの時計との違いは興味深いと思った。

Citizen Promaster Dive Automatic in Black Super Titanium

 文字盤はダークグレーの外観に倣うようなフュメダイヤル。モーザーレベルのフュメではないが、17万500円(税込)でそれを期待してはいけない。シチズンのオンライン画像では、ダークな外縁から内側のグレー部分にかけてのグラデーションの度合いがよくわからないが、実際に見ると劇的な効果を生み出している。この写真からは、光や周囲の環境から時計が受ける色によって、グリーンからマゼンダに近いトーンに変化している様子がわかるだろう(光やカラーバランス、グレーの色調を頻繁に扱うフォトグラファーにとっては驚くべきことではないかもしれないが)。

 デイト窓の有無は常に議論の的になる。ここで「水中で日付を知る必要がある場合、どれだけ困ることか!」というジョークが入るわけだが、私には少しも気にならなかった。デイト窓と文字盤の色を合わせれば、より統一感のあるデザインになるのは明らかだ。だが、このようなグラデーション文字盤の場合、色を合わせるのは難しいだろう。今作においては文字盤の周りにインデックスがあるため、白のコントラストはそれほど強く見えない。

Citizen Promaster Dive Automatic in Black Super Titanium

 ケースのコーティングは言うまでもなく、シチズンによるスーパーチタニウムのケースはかなり素晴らしい。このモデルでは、ジェームズがレビューで語ったものと同じ幅41mm、厚さ12.3mmのケース寸法を踏襲している。同じドーム型ではめ込み式のクリスタルや、シチズン独自のCal.9051(秒針ハック機能付きで2万8800振動/時の自動巻きムーブメント。手巻き機能、日付表示、42時間パワーリザーブを備え、耐磁性ヒゲゼンマイを採用)の搭載も同様だ。確かにムーブメントは手首に装着すると、ちょっと、まあ、“価格相応だな”と感じるかもしれない。軽量なケースは、時折荒々しく回り、わずかにルーズな感触のローター内部を際立たせているようだ。少なくとも、これが動き続ける限りは。

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 しかし、ここではケース自体の素材が鍵となる。時計業界や時計コレクターのコミュニティでいろいろな人と話していると、たとえその100倍の値段の時計を持っていたとしてもほとんどの人がシチズンをいくつかコレクションに加えているようであり、そのなかでもスーパーチタニウムのモデルは傑出している。ある人はこの素材を「ほとんど無敵」だと言った。それは少し大げさな表現であるにせよ、どれだけ頑丈なのかを物語っている。まあ、オリジナルのヴィンテージチャレンジダイバーが、フジツボまみれになってオーストラリアのビーチに打ち上げられるまでの数年間を海で過ごしたことから“フジツボ”と呼ばれるようになったことを考えると、それもあながち間違いではないのかもしれない。この時計も、まさにそうなりそうな予感がしている。

 より手ごろな価格で時計を提供するためには、どうしても譲歩しなければならないことがある。私は最近、このシチズンのブルーモデルをチューダーのペラゴス 39と並べてみたことで、シチズンのブレスレットが少し硬いことに気づかされた。手首に巻いている分にはほとんど気にならない。だが、時計をはずしたときには、その厚みと、ラグの最初のリンクと残りのブレスレット間のたわみが少ないことがわかる。時間が経てばこれがゆるんでくるのかどうか、気になるところだ。

Citizen Promaster Dive Automatic in Black Super Titanium
Citizen Promaster Dive Automatic in Black Super Titanium
Citizen Promaster Dive Automatic in Black Super Titanium

 この時計が本格的なダイバーズウォッチであり、その機能を十分に備えていることは強調しておきたい。ねじ込み式リューズ、ダイブベゼル、そしてクラスプのスライドによるダイバーズエクステンションを駆使することで、この時計はその実力を十分に発揮することができる。最近、バハマの温かい海で何度かダイビングをした。時計をレビューするには過酷な環境だ。

 水中で潜水時間を計測するためにベゼルを握ろうとする私のやせ細った指でも、ベゼルはきちんと回転する。ダイブコンピューターの代わりにはならないが、あなたがHODINKEEの読者なら、手首に昔ながらの時計があるに越したことはない。ナッソー沖にあるジェームズ・ボンドの映画で使用された難破船付近は40フィートと比較的浅かったのだが、翌日潜った難破船“レイ・オブ・ホープ号(Ray of Hope)”付近は60フィートと少し深かった。だが、文字盤が暗いので針とインデックスは見やすく、コントラストが効いている。

Citizen Promaster Dive Automatic in Black Super Titanium
Citizen Promaster Dive Automatic in Black Super Titanium

ジェームズ・ボンドの難破船は、もはや映画『007/サンダーボール作戦(原題:Thunderball)』のためにグラスファイバーで作られたバルカン爆撃機の模型の面影を残していない。代わりに、サンゴで覆われた水中ジャングルジムのように見える。

Citizen Promaster Dive Automatic in Black Super Titanium

難破船“レイ・オブ・ホープ号”を通過。

 これは、この黒い時計のなかでひときわ目立つ夜光によるところが大きい。とはいえ、高価なダイバーズウォッチに見られるような急速な蓄光はできない(ロレックスのように一晩中ベッドサイドで光っているような時計とは違い、長持ちもしない)。だが、この比較的浅いダイビングにおいて、ボートに乗って太陽の下で1時間充電した後に確実に仕事をこなしてくれた。

Citizen Promaster Dive Automatic in Black Super Titanium

 ブラックの新作“フジツボ”で数日間ダイビングをしたのちに私が発見した最高のディテールのひとつが、使い込んだ後のユニークな外観だ。コーティングされたケースにありがちなことだが、この時計も傷などではなく、海水のしぶきによる水染みやダイビングを終えてボートに乗ったときに付着した水滴の跡で、すぐに風格が漂うようになった。これらの模様は少しすると拭き取れてしまうが、なぜそんなことをするのか? この跡が時計をより個性的なものにしているのに。

Citizen Promaster Dive Automatic in Black Super Titanium
Citizen Promaster Dive Automatic in Black Super Titanium

 すでに持っている時計と同じ役割のものに手を出したり、すでにコレクションしている時計の色違いを買ったりすることで、あまり多くの時計を所有しないよう本当に最善を尽くしてきた。しかし、もうすでに気に入ってしまっていると理解しているとき、心地よく、慣れ親しんだものに引かれないように意識するのは困難だ。そのような理由から、この時計についてはほとんど記事にしてこなかった。事実、この時計は旧型のブルーダイヤルのモデル(税込12万1000円)と比較してそれなりの値段がする(北米では995ドルで約1年間販売された後、現在796ドルに値引きされている)。1年待てば、この新しいブラックウォッチもいずれ割り引きの対象となるかもしれない。しかし、私がこれを書いているという事実が、いかに抵抗するのが難しいモデルであったかを物語っている。なんといっても、この値段でこれだけのものを手に入れることができるのだから。

 シチズンのダイバーズウォッチで、ほかのすべてのラインナップと比較しても新しいブラックの“フジツボ”を購入しようとする人……、その正体はこうだ。ネオヴィンテージスタイルの傑作を、17万500円(税込)で買いたい人、だ。

シチズン プロマスター メカニカルダイバー200m Ref.NB6025-59H。直径41mm、厚み12.3mm、ラグ幅20mm。デュラテクトDLCコーティングを施したブラックのスーパーチタニウム製、潜水時間を表示するブラックのアルミニウム製60クリックベゼル、3時位置にデイト表示窓とリューズ。200m防水。シチズンによる自動巻きムーブメント9051、時・分・秒表示、デイト表示、秒針停止機能、手巻き機能。42時間パワーリザーブ。クローズドケースバックとデュラテクトDLCコーティングが施されたブラックチタンブレスレットが付属。価格:17万500円(税込)。

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プロマスター メカニカルダイバー200mmの新作については、シチズンのウェブサイトをご覧ください。