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Historical Perspectives 4ラインのトロピカル ビッグ・クラウン サブマリーナーを実機レビュー(そしてなぜそれが重要なのか)

これは唯一無二のサブだ。

本稿は2013年4月に執筆された本国版の翻訳です。

ビッグ・クラウン サブマリーナーは、サブマリーナーのなかでも特に人気があるモデルのひとつだ。時間をかければある程度コンスタントに見つけることもできるが、文字盤やケースが分厚いままの、素晴らしいオリジナルコンディションで見つかることはめったにない。我々の#roadtobaselの旅についてきてくれた方は、途中で何度か立ち寄ったのを見たことがあるだろう。そのうちのひとつがクリスティーズ・ジュネーブで、信じられないほどの数のヴィンテージロレックスウォッチを見ることだった。先日は白文字盤のエクスプローラーⅠを見てもらったが、今日は我々が見てきたサブマリーナーのなかでも、特に素晴らしかったビッグ・クラウンを見ていただきたい。

 これはリファレンス6538のサブマリーナーだ。多くのサブが、ディーラーやコレクターが“ジェームズ・ボンド”の称号を与えてきたが、唯一の本当のボンドサブは6538である。その巨大で特大なリューズがそうさせる(5510にもビッグクラウンの個体があるが、それはコネリーがつけていた時計ではない)。この特別な時計をより特別なものにしているのは、以下の3つの点にある。

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  まず、このモデルは4ラインだ。つまり、ごく簡単に言えば6時位置に4行のテキストがあるということだ。何とも思わないかもしれないが、ほとんどの6538には文字盤に“200m=660ft”と“SUBMARINER”の2行しか表記されていない。しかし、この例にはさらに“OFFICIALLY CERTIFIED CHRONOMETER”という2行が追加されている。しかし、この4行プリントをさらに興味深いものにしているのは、それのプリント方法にある。この行のなかでは、3つの異なるトーンとフォントがある。防水性の表示はシルバーでプリントされ、その下の“SUBMARINER”は12時位置の“ROLEX”とクラウンマークと同様にゴールドで記されているが、文字盤自体には印刷されていない! 文字盤の下にある飾り板に控えめな形で描かれているのだ。そして最後の2行の文字は文字盤にグレーがかった色調で薄く印刷されている。不思議だろう? コレクターにとってこの4行ダイヤルは大きな違いを生み出す。

 それから実際の文字盤の色だ。この時計は1959年のもので、54年の歳月を経て、オリジナルの文字盤は驚くほど濃厚なチョコレートブラウンに変わった。“トロピカル”とも呼ばれるこれらの褪色した文字盤は、黒のままの文字盤よりも非常に高いプレミア価格で取引される。この特別な例は、均等かつ全面的に褪色しているという点で素晴らしい。とにかくゴージャスで、光の当たり方によってガラッと色が変わる。

 この時計を特別なものにしている3つ目の特徴は、全体的なコンディションである。オリジナルのダイヤル(言うまでもなく)、オリジナルにマッチした針、赤い三角マークがついた本物のベゼル、本物のビッグ・クラウン、当時のブレスレットが特徴だ。その上ケースはとてつもなく分厚く、このような古い時計ではめったに見られない、パリッとした面取りが施されている。

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 信じられないほどの品質、珍しいトロピカルダイヤル、そして4ラインのクロノメーター表示の組み合わせにより、ジェームズ・ボンドサブを最高のモデルに押し上げた。クリスティーズの販売見積もり額は15万スイスフラン~25万スイスフラン(当時の相場で約1580万~2635万円)だ。この数字に問題はないと思われる。ヴィンテージサブマリーナーの愛好家にとってこれは最高のものであり、もしかしたらそれ以上のものかもしれない(編集注記:結果は51万9750スイスフラン、当時の相場で約5475万円にて落札)。