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Historical Perspectives ダイバーズウォッチの防水深度表示が本当に意味すること

落ち着いて。あなたが思っているよりも良いニュースだ。

夏は、時計愛好家にとってダイバーズウォッチの季節だ。そこで長きにわたって繰り返される疑問の1つは、時計の耐水性の評価が実際に何を意味するのか、より正確には、ダイバーズウォッチの深度表示が実際に何を意味するのかということだ。この疑問にはいくつかの側面がある。つまり、ダイバーズウォッチが公式に記された水深まで使用できるかどうか、あるいは使用すべきかどうか、そして深度表示が実際のさまざまな状況下で時計を守るのに十分かどうか、ということだ。もちろん、繰り返し言われることだが、潜水深度表示は "静的 "な規格に過ぎず、動作によっては実際に時計にかかる圧力が劇的に上昇し、耐水時計の気密性を超えてしまう可能性がある。

Rolex COMEX Sea-Dweller; depth rating 600 meters

ロレックスのCOMEX シードゥエラー。600m防水。

 それぞれの問題を順番に見ていこう。200m防水であれ300m防水であれ、手持ちのダイバーズウォッチが実際にその水深で本当に使えるかどうか。それはどのようなダイバーズウォッチかにもよるが、一般的に言って、おそらく大丈夫だろう。2つの例を挙げてみよう。セイコーとロレックスだ。

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 2015年5月、HODINKEEはスイスにあるロレックス 全4工場の舞台裏に足を踏み入れるという前例のない機会に恵まれ、想像通り、宝の山ともいえる情報を得ることができた。今回のダイバーズウォッチの深度表示について特に関連することとして、ロレックスは組み立て後、出荷前に全ての時計を静止状態で水圧試験にかけているという事実がある。

 全てのオイスターケースの時計は、表示された最大水深より10%深い地点の圧力を、静止状態でかけられてテストされる。ダイバーズウォッチ(サブマリーナーなど)に至っては、表示より25%深い圧力となるようだ。このことは、エンジニアリングの常識的な観点から明らかだと思われる;少なくとも表示されたスペックを超えたところまで持ちこたえるものを作りたいと思うのは当然だ。例えば、現代の潜水艦のための最大の "テスト深度 "は、一般的に "クラッシュ深度"(船体が破損すると予想される圧力)の2分の1から3分の2までの間で設定されるが、戦闘条件下でクラッシュ深度を超えても内部破壊が見られなかったという報告もある。

 ダイバーズウォッチは表示された水深よりもどのくらい深く、機械的故障をせずに潜ることができるのか。またしても答えは、 "時計によって異なる "となるが、セイコーが制作したこのビデオは示唆に富んでいる。

 2014年9月、セイコーは1000m防水のマリーンマスターを2本、ROV (無人潜水機) の船体に取り付け、日本海の深海に沈め始めた。1000m防水ということは、単純にいえば、理論的には1000m付近での故障を予想されたはずだ。だが、驚くべきことにクォーツモデルの針はROVが水深3248mに達するまで止まらず、機械式モデルに至っては、なんと4299mまで動き続けた。そのときのケースへの水圧は、1平方インチあたり6263ポンド(約2818kg)になっていた(10mごとに約1気圧、または1平方インチあたり14.6ポンド上昇する) 。

 ダイバーズウォッチに関する国際標準規格、ISO 6425が定めるように、耐水性の静的テストがダイバーズウォッチの規範ならば、それは少なくとも公式の評価として信頼できるだろうし、ロレックスとセイコーのケースに至っては、おそらくその評価をゆうに超えていると言っていい(私は常々セイコー ダイバーズ SKX007 がどれほど素晴らしいか語ってきた)。

 次なる疑問は、ダイバーズウォッチが実生活での使用において故障(つまり、水の浸入)から十分に保護されているかどうかということだ。ISO 6425の必要条件を、もう一度見てみよう。

Oris Diver's Sixty Five

 こちらは100m防水のオリス ダイバーズ65だ。時計愛好家はこのような100mの表示に対し、不十分だと非難することがある。確かにプロが使用する場合は可能な限りの安全性を確保したいが、実際のところ、ほとんどのレクリエーションダイバーでは、トレーニング機関が推奨する最大深度の40mまでしか潜れない。これよりも深いところは、専門的な器材とさらなるトレーニングが必要なテクニカルダイビングの領域に入る。

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 40mは、100mの深度表示の半分以下なので、たとえ表示深度で故障するとしても(ほぼ確実にそうならないが)非常に快適な安全性が担保されていることに変わりはない。これは200m防水のダイバーズウォッチになると、さらに明確になる。ダイバーズウォッチの所有者の中で、実際にダイビングをする人がどれだけ少ないか、また、その中で40m超のテクニカルダイビングをする人がさらにどれだけ少ないかを考えてみると、100mダイバーズウォッチに対する反対意見がほとんど学術的なものであることが分かる。

IWC Aquatimer 2000

IWCのアクアタイマー・オートマティック 2000。2000m防水。

 通常、こういった議論では、誰かが静的と動的の水圧の概念に言及するものだ。実際に表示水深に迫る深さでダイバーズウォッチを使用してはいけないという意見が出る。水深表示は「静的な」水圧下のものであり、例えば水泳中の腕の動きは、実際にかかる水圧を劇的に増加させるというのだ。

 インターネット上でよくあることだが、誰かがこの問題に興味をもち、実際の数字を調べた。結果、動作は実際に圧力を増加させるが、些細な程度であることが判明した。Watchuseekの関連投稿には、このような記述がある。

「全ての計算を繰り返しませんが(分母やギリシャ語のアルファベットなど、面倒な数字だ)、330フィート(100m)の深さで、腕を約1m/秒で動かすと、動的圧力は、0.04mまたは深さの0.04%。もし毎秒6.1m(時速22.53km!)で腕を動かすことができるとしても、動的圧力は、追加水深でいうと約1.9m(<2%)でしかありません」

 したがって要約すると、我々は特定のケースを除いて、(a)100m防水で十分すぎるくらいであり、(b)時計は表示数字以上にタフな作りで、(c)表示水深を破るほど、我々は速く泳げない、ということだ。(c)のケースでは、ものすごく速く水をかけば、もちろん、ある時点で問題となるほどの圧力の上昇を引き起こすかもしれないが(ジェットスキーのように)、その時点ではきっと、他の問題で大変なことになっているはずだ。

 高い水圧がかかるところで人体と時計に何が起こるかは、IWC アクアタイマー・オートマティック 2000に関する記事を参照して欲しい。