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Dispatch アメリカ最大級の時計見本市「クチュール」での出来事と注目すべきもの

クチュールで起こったことが、クチュールに留まるとは限らない。

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Illustration by Andy Gottschalk

ラスベガスで3日間開催されたクチュールショーから帰国したところだ。ジュエリーがメインの老舗の展示会だが、時計ブランドもかなりの数が参加している。また、メディアよりも小売業者を主な対象とした展示会でもある。しかし、ここ数年は展示会の中止や縮小が続いていたため、新しい時計をチェックし、業界の人たちと交流したいと思ったのだ。

 業界では、どのような展示会モデルが最も効果的なのかをまだ探っている最中で、ここアメリカでは参加するブランドが少なくなっている。しかし出展したブランドは、話題になるような時計を持ってきた。ここでは今年の展示会のハイライトを紹介しよう。

私の足を止めた時計たち
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セイコーのダイバーで、今までで最も快適だ。

 セイコーがついにやってくれた。私はSBDC111(SPB153)の大ファン、ジェームスはSPB143の大ファンだ。どちらも最近リリースされた人気のモデルだが、新しいSPB317(日本未発売)を装着してみると、そのふたつを凌ぐ出来栄えだと思った。大胆な表現だと思うが、ケースのプロポーションは完璧で、装着感も抜群。こう言ったからにはこの時計はできるだけ早く手に入れたいと思う(そしてこれについて大いにレビューする)。

 SBDC171(SPB313)とSBDC173(SPB315)も見たし、SPB313(ホワイトダイヤルのモデル)はこの夏、とてもホットな時計になりそうな予感がする。このモデルは、6105-8000のスタイルを復活させたもので、しかもとてもよくできている。しばらく使ってみて、私の最初の印象が保たれるかどうか楽しみにしている。このモデルは7月にアメリカで発売される予定だ。

 セイコーといえば、新しいセイコー5のGMTシリーズも見た。かなりいい。下のビデオを見て欲しい。

 プレス用の画像だけでは、実際に時計がどう見え、どんなつけ心地なのかを判断するのは難しいため、実際に手に取って見ることができるのはうれしい。新しいセイコー 5スポーツ GMTのベゼルは、写真と実物とではまるで違う。ベゼルは標準的なアルミニウムのインサートで、その上にハードレックス(セイコーがクリスタルに使用している素材)の層がある。GMTベゼルの輝きと質感は、実際に見てみないとわからないものだ。実は、私はセイコー5のスポーツモデルに興味を失っていた。なぜなら、それらはリプレイスされたSKX007に匹敵すると感じたことがないからだ。しかし今回のGMTモデルで、このプラットフォームが新たな方向性を示すことができたと評価している。SKX007をセイコー 5の世界に畳み込むというアイデアも、このようなものを作るためなら悪くないかもしれない。

ノルケインの新アドバイザーが話題
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ベン・カッファー(Ben Küffer)氏(左)とテッド・シュナイダー(Ted Schneider)氏(右)

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 先週、新興時計メーカーのノルケインが、時計界の巨匠ジャン-クロード・ビバー氏を取締役に迎え、アドバイザーの役割を担うと発表した。その経緯について、ノルケインの創業者であるベン・カッファー氏と取締役のテッド・シュナイダー氏に話を聞いた。

 ふたりはパンデミックをきっかけに意気投合し、カッファー氏がビバー氏にノルケイン社の施設を案内したところ、ビバー氏のテンションが上がったという。「40歳以上の社員はいないんです。彼はスイスの時計産業の次世代を導くことが重要だと感じていたのです」とカッファー氏は付け加えた。そして細かな調整を経て、ビバー氏はブランドのアドバイザーに就任した。カッファー氏が教えてくれた今後の計画だが、ビバー氏はさっ即、その第一歩を踏み出したようだ。彼のアドバイザリーとしての役割は、きっとおもしろいものになるはずだ。

この時計はシャッフルのなかで失われたが、今、それを見た私はそれについて考えるのをやめられない。
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 5月にシチズンの最新作を取り上げたが、実機を見たときに目に飛びこんだ時計がある。NY0155-58Xは、ブラックIP加工ステンレススティールのダイバーズモデルで、フル夜光のダイヤルを採用したモデルだ。この時計でいちばん好きなのは、ケースバックに刻まれたフグかもしれない。早く海に連れて行って、暗く濁った水深でフル夜光ダイヤルの輝きを堪能したい。これはヒットする商品だ! ツールとしてよくできた時計が好きな人なら、ぜひともチェックしてみて欲しい。

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毎年恒例、グランドセイコーの登場
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 昨年は限定トリオのグリーンが話題を呼んだが、今年は250本の数量で生産されるSBGK015 “Ryūsendō”だ。鮮やかで気まぐれなダイヤルは、2018年の“渦巻き”ダイヤルを踏襲しているが、今回はGSロゴがなくなり、シンプルなラインのテクスチャーがその代わりを担っている。ブルーの色合いは岩手県の龍泉洞の奥にある湖から着想を得ている。2019年の限定モデルSBGK005のデザインも、そこからインスピレーションを得た。また、今年はもうひとつ、既存のSBGK009をアレンジした限定モデルもあるが、こちらは南部鉄器の質感を模したグレーダイヤルだ。そして最後に、ピーコックダイヤルを復活させたSBGJ261のアメリカ市場向け限定モデルもある。

オリスベアが帰ってきた!

 パンデミックのあいだ、オリスベアはどんなイベントにも参加しなかった。我々もそうだったが、これはベアについての話だ。しかし先週末、彼はついに姿を現し、プロパイロットX キャリバー400をテーマにしたカクテルとともにオリスのルーフトップパーティーで参加者たちを魅了したのだ。この写真はHODINKEEのバイヤー、マイルス・クサバ(Myles Kusaba)と。彼は先日、HODINKEEの面接で何をつけたか、という記事で紹介された。旧友との再会はうれしいものだ。

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