trophy slideshow-left slideshow-right chevron-right chevron-light chevron-light play play-outline external-arrow pointer hodinkee-shop hodinkee-shop share-arrow share show-more-arrow watch101-hotspot instagram nav dropdown-arrow full-article-view read-more-arrow close close email facebook h image-centric-view newletter-icon pinterest search-light search thumbnail-view twitter view-image checkmark triangle-down chevron-right-circle chevron-right-circle-white lock shop live events conversation watch plus plus-circle camera comments download x heart comment default-watch-avatar overflow check-circle right-white right-black comment-bubble instagram speech-bubble shopping-bag

Hands-On ブリュー ヴィンテージにインスパイアされたふたつの時計で対決

手頃な価格のハイブリッドメカクォーツウォッチが、ふたつのヴィンテージの価値を味わわせてくれるが、どちらに軍配が上がるだろう?

私はカッコいい“ハイ/ロー”スタイルが好きだ。本当に大好きなのだ。ジーンズにTシャツ、そしてゴールドのクロノグラフ(欲を言えばパテック 5004Jのようなコンプリケーションがいい)。5004を所有することはないだろうが、男には夢がある。

Brew Metric Chronographs in Gold PVD

 リストのもうひとつにはロレックス Ref.6263 デイトナのイエローゴールドか、あるいは金無垢のRef.6239がある。正直に言おう。私の史上最高の憧れの時計リストトップ5にはRef.6264 “ジョン・プレイヤー・スペシャル”が入っている。本当に、ゴールドのクロノグラフにブラックギルト文字盤の組み合わせに勝るものはない。

 その好例が、PVDゴールドコーティングの316Lステンレススティール製ケースにブラックダイアル、そしてハイブリッドメカクォーツムーブメントを搭載したブリュー・メトリックだ。もちろん本物の18Kゴールドではないが、475ドル(約6万8000円)という価格は、ここ1週間ほど私にとっては痒いところに手が届く値段であり、予算内でなんとかやりくりすることができるものだった。また、この時計はオマージュを適切な方法で表現しており、愛すべきデザインのよさを示唆しながらも独自の個性を放っている。

Brew Metric Chronographs in Gold PVD

 私はブリューの本拠地であるニューヨークに住んでおり、創業者のジョナサン・フェラー(時計愛好家のあいだでは有名人だ)に会っていたこともあって、ブリューウォッチは以前からよく目にしていた。このブランドが目指している大きなポイントのひとつは、手の届きやすい価格もさることながら、似たような美的感覚に流されがちな時計のなかでブリューを際立った存在としている、まとまりのある独特のデザイン言語にある。それは外部からのインスピレーションを取り入れた場合であっても同様だ。

Brew Metric Chronographs in Gold PVD
Brew Metric Chronographs in Gold PVD
Brew Metric Chronographs in Gold PVD

 ブリューの初期のレトログラフは、ジェームズがOne to Watch記事で取り上げたように、エスプレッソショットタイマーという目的に特化したツールだった。(ジェームズがハンズオンで取り上げた)メトリックは、1970年代のヴィンテージオメガの“ジェダイ”クロノグラフに近いモデルだが、ケースとブレスレットの継ぎ目のないデザインで、ヴィンテージゼニスのエル・プリメロ “TVケース”のような丸い文字盤のデザインでもある。ケースは幅36mm、長さ41.5mm、厚さ10.75mmとバランスがいい。理論的には横から見ると“小さい”のだが、これはそうしないとブレスレットとケースの形状が手首を支配しすぎてしまうため必要なのだ。

 内部にはセイコーインスツルメンツ(SII)のCal.VK64A メカクォーツムーブメントを搭載している。スムーズなスイープを実現するメカニカルクロノグラフモジュールと、時計全体を駆動するクォーツムーブメントが組み合わされたものだ。

 特にヴィンテージ・ゴールドクロノグラフの雰囲気を楽しみたいが、本物には手が出ないという人には、この価格でこの時計に勝るものはないだろう。それとも、この時計に打ち勝つことのできるものがあるだろうか?

Brew Metric Black PVD Chronograph

新たな挑戦者が近づいてきた。

 私の黒塗り時計好きはよく知られているし、そのことについてとやかく言うつもりもない。だが、そのなかの最高峰はオルフィナが製作したポルシェデザイン クロノグラフ1であることは言っておこう。ヴィンテージの“コーティング時計”コレクションを作ることを夢見ながら、この1年間、何度もそのオリジナルウォッチの購入を検討した。価格はロレックスのどのデイトナよりも、ましてやヴィンテージのゴールドデイトナよりも遥かに手が届きやすいが、ここ数年、私は大きな買い物をするために貯金をしていて手に取ることはなかった。しかしブラックコーティングが施された逞しいスティールケース、経年変化したイエローの夜光、そして印象的なオレンジのクロノグラフ針への思いは変わっていない。

 ここで私は問題に直面している。というのも、ブリューがブラックPVD加工を施したメトリックで、オマージュデザインと同じ思慮深いタッチを与え、素晴らしい仕事をしてくれたからだ。コピーではなく模倣がお世辞の最たるものであるならば、ポルシェデザインは顔を赤らめるはずだろう。この時計は豪華装備の新型ポルシェデザイン クロノグラフ1の市場と共食いすることはないだろうが、世の中には新作やヴィンテージのポルシェデザインウォッチには手が届かないものの、私と同じようなものを愛する人は大勢いる。

Brew Metric Chronographs in Black PVD

 このふたつのどちらかを選ばなければならないのは、確かに難問だ。公平に見て、ブリュー・メトリックの5つのデザインはどれもしっかりしているが、今回は真っ向勝負で、私は好きなほうを選ぶつもりだ。正直なところ、この原稿を書いている時点でもどちらが勝つかわからない。

 というわけで、以下のようにひとつの時計が単体としてどれだけ素晴らしいかはさておき、ディテールのいくつかに取り組んで、地球上で最も分析麻痺に悩まされる人間のひとりある私が勝者を選べるかどうか見てみよう。

Brew Metric Chronographs in Gold PVD

 まずは私が最も注目する文字盤から見ていこう。ブラックPVDのメトリックでは、深みのあるマットブラックの文字盤に真っ白な文字が浮かび上がり、ポルシェデザインのクロノグラフ1のフォントに似た印象的な印象を与える。また、オレンジの秒針と積算計は、インスピレーションの源となった象徴的なオレンジのクロノグラフ針とマッチしている(すべてのオリジナルモデルがインダイヤルにこれらの針を備えていたわけではないが、それは些細なことだ)。針とアワーマーカーに施された蛍光塗料もヴィンテージウォッチに見られるようなクリーミーな色合いだ。

 黒の文字盤はメトリックの全体的なデザインには合うが、ヴィンテージのデイトナにインスパイアされた時計には必ずしも合わない同じフォントが使われている。この場合、それはいいことかもしれないし悪いことかもしれない。私はブリューが独自のデザイン言語を体系化したことに評価しているが、ブラックのメトリックを見たあとにこのフォントを見ると、この時計がアイコンの引用をいかにうまく成し遂げたかを考えさせられる。しかし文字盤はブラックとゴールドのツートンカラーで、それほど煩雑な印象はない。“ジョン・プレイヤー・スペシャル”の雰囲気を出すために外側のトラックをゴールドかシャンパンにしたらどうだろうか。もしかしたら窮屈すぎるかもしれない。いずれにせよ、私は勝者を手に入れた。ブラックに1点だ。

Brew Metric Chronographs in Black PVD
Brew Metric Chronographs in Gold PVD

 ブレスレットはどちらも素晴らしい。デザインは同じで、ブリューではピンを押し出してリンクを簡単に外すための工具と説明書まで付属している。 これは時計コミュニティに初めて参加する人が購入する可能性のある手頃な価格の時計にはありがたい機能だ。私はいつも工具を置き忘れてしまうので、これも助かる。残念なことに腕毛がブレスレットに絡まるというトラブルがあったが、これは生まれ持ってのことであるし、ほかの時計でもよくあることだ。どちらのブレスレットもサテン仕上げとPVDコーティングが施されている。

 ブラックPVDは指紋が目立ちやすく、私はブラックの時計が大好きなのだが、ゴールドモデルのサテン仕上げのブレスレットは光を楽しく受け止めてくれる。そう、これは本物のゴールドではないのだが、いいものを台無しにするつもりはない。ゴールドに1点だ。

Brew Metric Chronographs in Black PVD
Brew Metric Chronographs in Gold PVD

 着用感に関しては、何よりも“雰囲気”で選ぶのがいちばんだ。理論的には、どちらの時計も同じように着用できる。ケースも同じ。ムーブメントも同じ。文字盤のレイアウトも同じ。だから、自信と威勢のよさが問われるような気がする。私にはそれがあるだろうか?

 私のコレクションにはもうひとつ、カシオのワールドタイムというフルゴールドトーンの(ゴールドではない)時計がある。むかしは気に入っていたのだが、所有してから数週間後にはあまり身につけなくなった。50ドル程度なら大きな損失ではないが、派手なゴールドの時計に対する私の理論的な愛がここで試されることになった。私はゴールドのロイヤル オークを毎日身につけ、ブレスレットとケースの強い“しなり”を金属の塊として手首につけると信じたい。だが、この時計を身につけてみるとそうとは思えない。残念ながら黒に1点だ。

Brew Metric Chronographs in Gold PVD
Brew Metric Chronographs in Black PVD

 そのほかにも検討する価値のある小さなディテールがたくさんある。各ダイヤルには3時位置に小さなレリーフロゴがあり、さりげないが、私はゴールドメトリックのツートーンダイヤルのほうが好きだ。ブラックメトリックのシルバーのサンドブラスト仕上げのプッシャーとリューズはユニークな方法で視覚的なコントラストを高めている。どちらの時計も表面はサテン仕上げとポリッシュ仕上げのコンビネーションだが、ゴールドメトリックはゴールドコーティングのおかげで光をよりよく受け止め、本当に輝いている(文字盤のインデックスも同様だ)。一方、ブラックのコーティングも周囲の環境を少し拾って色を照り返すが、タフで精悍な印象は変わらない。

 しかし時計の全体的なベースが同じであるため、ディテールからこのふたつの勝者を選ぶことはできなかった。私はこれを引き分けとし、ブラックメトリックに軍配を上げたい。

Brew Metric Chronographs in Gold PVD
Brew Metric Chronographs in Black PVD
Brew Metric Chronographs in Gold PVD
Brew Metric Chronographs in Black PVD

 これらの時計の勝敗を分ける別の指標(ダジャレではない)を見つけるのに苦労している。下のゴールドの時計の写真を見ていると、とても素晴らしく見えるため、もう1度チャンスを与えてこの対決を決着させたいと思う。最近、Instagramでブリューの創業者がこの時計をつけているのをよく見かけたが、私はこの時計が彼に似合っていて素晴らしいということ以外にいうことはあまりない。きっと多くの読者が共感できるはずだ。

 しかしこのストーリーを読み、時計を手に取り、写真を見ていると、私は前から勝者をわかっていたような気がする。

Brew Metric Chronographs in Gold PVD

 ブリューは、私の分析麻痺を解消してくれる素晴らしい時計をふたつも作ってくれたが、私のことを知っている人たちは、もしブラックPVDのメトリックが私の時計ボックスに入っていたとしてもショックを受けることはないだろう。しかし475ドルであれば、いつかそれぞれ1本ずつ所有することも決して叶わないことではないし、時間がとともに精悍で大胆なゴールド(またはゴールドトーン)の時計に自信を持てるようになるかもしれない。そうすれば、もし私が“宝物”のひとつを手にする日が来たとしても、堂々と構えていられるように自分を鍛えておくことができるだろう。

Brew Metric Chronographs in Gold PVD
Shop This Story

ブリューウォッチについての詳細はウェブサイトをご覧ください。