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先日、初めて『マトリックス(The Matrix)』を観た。遅ればせながら、哲学科の学生なら誰もが好きなシーンをついに目の当たりにしたのである。モーフィアス(ローレンス・フィッシュバーン)とネオ(キアヌ・リーブス)のあいだで行われる有名な「赤い錠剤」と「青い錠剤」の議論だ。1999年最も観られたSF映画を20年以上先延ばしにしてきた私のような人ならば、そのコンセプトはかなりシンプルに感じるだろう。それは個人の選択についてなのだ。未知の世界を受け入れ、赤い錠剤を飲めば、悟りを開き、人生を変えることができるかもしれない。青い錠剤を飲めば、何も知らないまま満ち足りた人生が続く。
なぜ、こんな話をするのか? 先日、運動音痴のウドの大木である私が、メジャーなスマートウォッチとフィットネストラッカーの記事を作成するにあたり、本当に赤い錠剤/青い錠剤のようなシチュエーションがあったからだ。
私は機械式が好きだ。機械式時計にはエネルギーや魂があるが、スマートウォッチにはそれがない。WiFiを搭載する時計は存在しないことにして、世界で最も売れている時計はApple Watchではなく、ランゲのスプリットセコンド・クロノグラフであるかのようなふりで、私は楽しく人生を送ることができるだろう。
問題は、今日の腕時計を完全に理解しようとするなら、ウェアラブルテクノロジーを理解しなければならないということだ。両者は多くの人が言うほど対立するものではない。一方のジャンルがすべてよくて、もう一方がすべて悪いという人は真実を語ってはいない。
ガーミンのFenix 6XやフィットビットのSenseのようなフィットネス向けウェアラブルの本質は、運動習慣のトラッキングや健康状態のモニタリングによって生活を向上させることにある。そしてApple Watchは、心拍数の警告、緊急転倒検知、電話なしで緊急サービスに連絡できる方法などを通じて、数え切れないほどの命を救ったり、治療につなげたりしてきた。数え上げればきりがない。ニコラス・デ・レオン氏は、Apple Watchのおかげで体重を57ポンド減らすことができたというエッセイを寄稿してくれた。一方、ガーミンにはゴルフのスコア改善に特化したものもある。あなたの腕で、あなたが助けを必要とするほとんどすべてのものが見つかるのだ。
たしかに、スマートウォッチにも問題がある。スマートウォッチを身につけると、あなた自身がハードウェアのアップデートと新バージョンのサイクルに組み込まれることになり、毎年アップグレードしなければついていけなくなる。最悪の場合、腕時計は使い捨てになってしまう。
しかし、覆い隠したいのは山々だが、機械式時計にもよくない面があり、いつも楽しく動いているわけではない。ここにはエリート主義が横行する傾向がある。リファレンス番号やオークションの金額を暗唱する能力が、人格に取って代わるものではあってはならないが、しばしばインターネット上の階級付けにつながることがある。この趣味に参加することで、我々自身にかかる不必要な経済的負担について言及する必要はあるだろうか。あるいは、戦時中(特に第二次世界大戦)の残響が、我々が賞賛するブランドの中に不快に響き続けていることについても言及する必要があるだろうか?
スマートウォッチについてひとつだけ言いたい。サポートするブランドを選ぶのが簡単だ。スマートウォッチのOSに関しては、基本的にアップルかグーグルだ。アップルは、最近発売されたApple Watch Series 7で新世代のwatchOS 8を使っているが、ソフトウェアをライセンス供与していない。グーグルのWearOS(旧称Android Wear)は、G-SHOCK Moveからタグ・ホイヤー コネクテッド、モンブランのサミットまで、あらゆる製品に搭載されている。フォッシル、マイケルコース、スカーゲンといったメーカーの普及版スマートウォッチも、すべてグーグルを採用している。
ガーミンは独自のOSであるGarminOSを持ち、シリコンバレーの覇権の外で、人気があって高機能の選択肢を提供している。サムスンも最近、自らが開発に携わったOSであるTizenを離れ、新しいGalaxy Watch4からWearOSを採用している。つまり、スマートウォッチが提供するあらゆるメリットを十分に享受するには、現在世界で最も影響力のある大企業の2社に、自分自身と健康についてのデータをどんどん渡すのに抵抗がないことが必要なのだ。悪いようにはされないだろう? そうだろう?
その解決策は、ジャックが見事に示しているように、両方の手段を活用すること。
スマートウォッチを持たずに過ごした年月は、私が『マトリックス』を観ずに過ごした年月とほぼ同じになった。今ようやくアナログのコンフォートゾーンを出て、最新、最高のApple Watch Series 7を購入する準備ができたのかもしれない。もしかしたら、スマートウォッチと従来の時計の両方を所有し身につけることで、私自身の人生と健康の新たな側面を解き放つことができるかもしれない。結局のところ、ネオが赤いピルを飲んだとき、彼は自分の知っている唯一の人生を後にした - しかし、彼は自分の内なる二面性を解き放ったのだ。彼は、外見上はまだ人間だったが、モーフィアスが言ったように、人類を機械から救う救世主になり得る可能性を得たのだ。
私には、それがまるで悟りの境地への道のように思えた。
Lead image by Alessia C_Jpg.
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