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モナコ・レジェンド・オークションのフォトレポート第1弾を見て興味を持ったなら、これから見るものに驚かないよう心の準備をしたほうがいい。もし最初に行われた2日間のプレビューを目安にした場合、オークションの初日ではとんでもない時計をいくつか目にしたりおもしろい人たちに会えたりすることができるだろうと思っていたのだが、これから何が待ち受けているのか準備ができていなかった。
3セッションで行われ、2460万ドル(日本円で約33億5320万円)にも及んだ今回のオークションは、モナコ・レジェンド・グループ(以下MLG)の記録を更新した。MLGの会長であるダヴィデ・パルメジャーニ(Davide Parmegiani)氏によると、エスティメートを超えたロットはほとんどなかったが、それは意図したものだったという。エスティメートの範囲は、パルメジャーニ氏が適切だと思う値に設定されていたそうだ。オークションで売れなかったロットもいくつかあり、チームはその後も販売の仲介を続けていた。そのなかには、最終的にハンマーが振り下ろされた直後に新たな買い手が決まった、超薄型のヴァシュロン・コンスタンタン ミニッツ・リピーターも含まれている。しかしたとえひとつも買わなかったとしても、2日間のオークションで十分な興奮を味わうことができた。
実はその興奮は、前夜に開催されたモンテカルロのTwigaで、ヒーローショットで使用したロレックスを見つけて、もう一度見つけなければと思ったのがきっかけだった。想像以上に素晴らしかった。
レアなロレックス オイスタークォーツ デイデイト“オクトパシー” Ref.19168。ジョバンニ・ボナンノ(Giovanni Bonanno)氏所有のもので、フルパヴェダイヤルとサファイアを使用した逸品だ。しかしそれだけではない。
時計にダイヤモンドやサファイアをあしらうのはとんでもないことだが、ロレックスがロゴをガラスに入れて文字盤の邪魔をしないようにしたことを評価したい。
ハンジャルの裏蓋からわかるように、オマーンのスルタンが所有していたものでもあるのだ。
私はInstagramで冗談を言った。一度モナコに行って、ダイヤモンドガイになると。この写真を改めて見て、あれは本当に冗談だったんだろうかと思うようになった。モナコという土地はこのような時計をほぼ安全に着用できる、地球上で数少ない場所のひとつだ。多くのコレクターがまさにそう言っていた。これらの時計の多くがコレクターらの金庫から出てきたのは、ロンドン、ローマ、フィレンツェ、ミラノ、ジュネーブなど、ここ以外の場所ではオーナーが時計を身につけて歩くことができなかったからでもある。
申し訳ない、ジョバンニ・ボナンノ氏のパテック 5004Pを忘れていた。普段は影が薄くならない時計だが、今回はそうなってしまった。
数人の友人とモナコで夕食をとりながら、“ナプキンの裏”を使って、その週末にル・メリディアンのオークション会場で手首に巻いたすべての時計の価値を見極めてみた。我々が予測したなかで、最も有力なところは、8000万ドル(日本円で約109億4720万円)から1億ドル(日本円で約136億3090万円)以上といったところか。でもいちばんよかったのは? 数千ドルの腕時計が、品質や状態、希少性などにこだわって手にする人たちを夢中にさせていたことだろう。私がヴィンテージの世界を愛している理由のひとつでもある。
タンク バスキュラントを着用する、サザビーズのブノワ・コルソン(Benoît Colson)氏。
すべての人の名前(場合によっては、プライバシーにより名前を伏せてもらうこともあった)を聞き取ることは叶わなかったが、この写真で時計と会場の雰囲気が伝わればと思う。また写真に写っている人で、名前を出して欲しいという方は気軽にコメントを寄せてほしい。
では前置きは置いておいて、時計、人、そしてモナコで開催された春のオークションの様子、起きた出来事も、すべて紹介していこう。
この日はディーラーのタリク・マリク(Tariq Malik)氏が朝食のテーブル越しに見せてくれた、ホワイトゴールドにウッドダイヤルを備えた、ロレックス デイトジャストからスタート。
WGのリベットブレスレットが特別感を演出している。
朝食を食べに行くとき、クロワゾネのパテック ワールドタイマーを写真へ収めずに危うく通り過ぎるところだった。二度手間になるところだった。
この写真を公開するのにこれ以上待つ必要はないだろう? パテック、セカンドシリーズのRef.2499Jと、偶然にもティファニーサイン入りの5970Jを身につけたコレクターがいた。今日はダブルリストアップの日だった。
前回の記事でサンドロ・フラティーニ(Sandro Fratini)氏の話をしたが、初対面の私に対していかにフレンドリーに温かく接してくれたか、改めて伝えしなければならない。もちろん何十年も前から知っているジョン・ゴールドバーガー(John Goldberger)氏が紹介してくれたのも助かった。だがサンドロ氏の情熱は深く、フィレンツェ、ベネチア、ローマで、時計をテーマにした3つのホテルを立ち上げたほどだ。
サンドロ氏が18歳のとき、初めて自分のお金で買った時計であるツートーンカラーのエナメル文字盤を持つロレックスを身につけているのを見て、とてもうれしい気持ちになった。ほかにもたくさんの時計がある中で、彼はいちばん身近な時計を巻いていたのだから。
今日もまた、ポール・ニューマン デイトナ。
しかし土曜日の午後2時30分からはじまる第1セッションまでに、まだオークションが行われていて、261ものロットに目を通すことができたことを忘れてはならない。
そして、会って挨拶する友人もたくさんいた。
新鮮な空気と景色を楽しまないのはもったいないだろう。
そしてなんという眺めだっただろうか。
最後のロットの様子。
ディーラーのあいだで大きな話題になったのが、このオニキスデイデイト文字盤のコンディションだった。ホコリなのか文字盤にクラックが入っただけなのか、時計職人に頼んでケースから出してもらい、みんなでそれを見ていた。
シャンパンも用意してあり、欲しい人は手にすることができた。
そのあいだにも私は、このパヴェダイヤルのデイデイトのようなリストショットを撮っていた。
とてもスタイリッシュなジャン・ポール・メニクッチ(Jean Paul Menicucci)氏。
ベゼルにバゲットをセットしたソーダライト デイトナとともに。
そしてよりモダンなプラチナ デイトナ。だがまあいい、オークションに入ろう。
共同議長のクロード・コーエン(Claude Cohen)氏、オークション最初のロットであるロジェ・デュブイをスタートさせる。
入札が始まった。ここでクラウディオ・サルヴァティ(Claudio Salvati)氏が活躍する姿を捉えた。
ロットの入札が始まったあとも、入札を決める前にもう一度見てみたいという人もいた。(まだあるかどうかは別として)時計はまだ会場で閲覧可能な状態にあった。
素敵な愛犬に素敵な時計という、常に持っていたい2大アイテム。
日光の下に持ち出さずとも、オークションを見る人がいる会場のなかで手首を見ることができた。なかでもこのセルティダイヤルのゴールドロレックス GMTが目に留まった。
そこで、ちょっと密かにウォッチスポッティングをしてみた。
なかにはウブロも登場した。
そして私のすぐそばに、スケルトン仕様のロイヤル オーク パーペチュアルカレンダーをつけた人が座っていた。
第1弾のヒーローイメージで使用した、トロピカルが美しいロレックス Ref.6263、ポール・ニューマンのRCOダイヤルを覚えているだろうか? これは彼がもう片方の手首につけていたもので、“Rolex Chronometer”の文字盤を持つRef.6240のポール・ニューマンだ。そう、私は本気だ。ポール・ニューマンのダブルリスティングである。
オークションの最中は外の空気を吸ったり、タバコを吸ったり、ジョン・ゴールドバーガー氏のように時計を見たりと、いつでもこっそりとひと休みできる。
ゴールドバーガー氏の写真には必ず、カルティエかロンジンのどちらかと一緒に写っていることが義務付けられているため、ラッセル(Russell)がつけていた1969年のカルティエ ロンドンのスモールサイズを紹介しておこう。ゴールドバーガー氏は“これほど小さいサイズは見たことがない”と言い、ラッセルは“ユニークだ”と言っていた。
もっとブレゲを? もちろんどうぞ、仲間に入れてくれ。
ただのゴールドデイトジャストとは違う。
一般的なデイトジャストのブレスレットでもない。
今度はまったく違うものだが、ゴールドの流れを汲んでみた。ダイヤモンドをセットしたベゼルに、ティファニーのダブルネームが入ったパテック ノーチラスだ。だってそうだろう?
新しいブロックチェーンプロジェクト、Altrについて説明している。
一方、このオークションで最も注目を集めていた3つのカバーロットのうちのひとつである、この記事で取り上げたユニークなプラチナ ヨットマスターのときは特に会場が盛り上がっていた。オークションは100万ユーロ(日本円で約1億5170万円)でスタートしたが、ハンマープライスはスクリーンに映し出されている価格よりも高い結果に。実際、かなりの差となった。
サンドロ・フラティーニ氏は競りには参加せず、最前列に座って、このセールの様子を記録に残していた。
入札をただ見ているだけの人も緊張していたようだ。
またその瞬間を後世に残したいという人もいた。
ダヴィデ・パルメジャーニ氏と彼の電話入札者、彼の息子アンドレア(Andrea)氏と彼の電話入札者が競り合う結果に。その結果アンドレア氏は、オークションの途中まで入札するつもりがなかったらしい買い手に、電話入札でハンマープライス180万ユーロ(日本円で約2億7310万円)という落札額をつけた。その彼はダヴィデ氏のクライアントだったのが、ダヴィデ氏はすでに電話をしている人がいたため、それを家に持ち帰ったのはアンドレアの仕事だった。
初日を締めくくるにふさわしい一戦だったが、この日はまだ終わらない。
2日目も残り161ロットとなり、明日に出てくる時計を見ようと多くの人が展示場に足を運んだ。
ほかの人たちが、初日の素晴らしい結果を祝福するべく、ダヴィデ・パルメジャーニ氏と約束したのだろう。
一方私はというと、ヴィンテージウォッチのなかでもひときわ目を引くリシャール・ミルをはじめとする時計へと直行した。このオーナーと少し話をしたところ、彼はこだわりをもった重度のヴィンテージコレクターであることがわかった。せっかくなら、RMを身につけてみてはいかがだろうか?
そしてこちらが、ローズゴールドのオーデマ ピゲ ロイヤル オーク スケルトン ダブルバラスホイール(ダイヤモンドベゼル)、Ref.15412ORだ。少なくとも手首の4分の3以上がクールだ。
1日の終わりには、素晴らしいホストを務めてくれたモニカ・パルメジャーニ(Monica Parmegiani)氏に賞賛を送ることもできた。
彼女のブルガリ セルペンティ トゥボガス、そして美しいキートンのドレスも気に入った。
夜はチプリアーニで行われたディナーで幕を閉じた。チプリアーニは閉まったことはないがここにいる。
モナコでの最終日、オークション2日目がやってきた! 161でロットは午前10時30分と早めのスタートで、そこからはもう力強く駆け抜けていった。
私はこの素晴らしいロンジン 13ZNにスポットライトを当てて、1日のスタートを切った。
私はダヴィデ・パルメジャーニ氏が少し変わったクロノグラフをチェックしているのを見つけた。ルーペで見ると、“普通の”ゴールドのポール・ニューマン デイトナだった。
デイトナといえば、このSACOはいかがだろう(私のようにまだジェムセットのロレックス用語を学んでいる人のためにお伝えすると、これはサファイア・コニャックと言う)? この週末の心残りは、会場の向こうに116588TBRの“ロレックスタイガーアイ”が見えたのに、私が行った時にはその人は消えてしまっていたことだ。腕時計の乗り継ぎ遅れだった。
宝石をセットしたデイトナをもっと見たい? じゃあ、レインボーが香ばしいWGはいかがかな。
さて正直なところ、ウォッチスポッティングが楽しすぎて、オークション2日目の写真はあまり撮れなかった。初日からこの写真のような感じだったはずだ、きっと。しかし、もしあなたが入札しない参加者だったら、私と同様会場にあったすべての時計を見ていたに違いない。
それでも皆、多くのものを目にできるロットを楽しんでいた。
そして、Italian Watch SpotterのFabrizio(ファブリッツォ)氏が着用していた最高のファーラン・マリを発見した。
ファブリッツォ氏がエドモンド・アイゼンバーグ(Edmond Eisenberg)氏と話をしていた。彼はこのまったくもってクレイジナーなパテック Ref.5711/112Pを腕に巻いていた。そう、これはプラチナにルビーをセットしたノーチラスである。
それからパテック ノーチラス Ref.5711/1300A-001が欲しいのかも?
セッションだ。“Le Monde Edmond”、ただひとりのエドモンド氏が身につけていた、ピンクゴールドのロレックス バブルバックはどうだろうか。
ピアジェ デュアルタイムは、ベルベットのストラップがとても気に入った。また両方のタイムゾーンをまったく時間に設定できるのもいい。
しかし私が本当に愛するのは、よく使い込まれたオルフィナ社製のポルシェ・デザイン クロノグラフ1かもしれない。
いろんな時計が集まるなか、特段目立っていたかもしれないのが、あの週末で見た唯一のホイヤー カレラ Ref.7753NTだ。とてもカッコいい。
ファッションの世界で活躍したあと、父や兄と一緒にモナコ・レジェンド・グループに入社したばかりだというカルロッタ・パルメジャーニ(Carlotta Parmegiani)氏を外すわけにはいかない。週末をとおして、彼女がクライアント相手に懸命に働く姿を見ていたのと同時に、彼女が着こなしていた楽なスーツに合わせたスタイルにも注目していた。
彼女はデイトナを愛用しているが、ミラノではあまりつける機会がないと話してくれた。兄弟やお父さんのように長きにわたり集めているわけではないため、自分のコレクションをつくるのはこれからだとも言っていた。
またまた昨日のリピート写真になるが、2日目の最後は最大のロット、パテック 2523/1ワールドタイマーだった。先ほど、最終的に落札した人のリストショットに大きなパテックが2本写っているのを見たが、入札が急増した。
最後に激しい競り合いの末、335万ドル(日本円で約4億5665万円)というオールインプライスで落札した落札者に拍手喝采が送られた。
その後は昼食の時間になり、お腹を空かせた入札者のために大規模なビュッフェが用意された。
このロイヤル オーク パーペチュアルカレンダーは、スティール製ながらプラチナベゼルを備えている。
しかし、もっと新しくてよりダークなものが好みなら、ブラックセラミック製のスケルトン ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダーをどうぞ。
最もモダンな時計は、この2本のロイヤル オーク コンセプトかもしれない。こちらはチタンとホワイトセラミックでできたモデルだ。
そしてこっちが、ローズゴールドとホワイトセラミックを使用したクロノグラフだ。
ロイヤル オークで疲てしまう前に、スーパートロピカルな文字盤を持つRef.5402を紹介しよう。これが最後のロイヤル オークだ。
まだみんな、ロットを見ていたのだろう。
一方その頃、ゴールドバーガー氏は私の肩を掴んで、彼のタンク ノルマルとともに新たに獲得したものを見に行った。それはリューズを押すとシャッターが開いて、しばらくすると閉じて文字盤を保護するという、ミニッツリピーター式のカルティエ ポケットウォッチだった。
ゴールドバーガー氏の協力により、またまたスペシャルなスポッティングがはじまった。「週末に最高の時計を見せるよ」と言ってくれた彼は私の腕を掴み、友人らがつけている時計を見せに連れて行ってくれたのである。それは何だったのか? ヴァシュロン・コンスタンタンのチョコラトーネ カレンダーウォッチであり、ほぼ新品のようにも見えた。
ケースを見てみて!
裏側も超キレイだった。
ああ、それからこのパテック3939HPもそうだ。複雑な時計をとことん小さくすることはできないとと言わせてなるものか。
先にご紹介した、ハンジャル好きのコレクターの甥っ子。この素晴らしいRef.6265 ハンジャルデイトナを、オークション終了間際に着用していた。
その叔父は、ハンジャルの刻印が入ったパテック Ref.3700を100万ユーロ(日本円で約1億5170万円)で入札したあと、うれしそうにその場を立ち去った。繰り返しになるが、ダヴィデ・パルメジャーニ氏が信頼するコレクターのネットワークを構築しているからといって、そのまま100万ドルもする時計を持ち帰らせるというのもおかしな話である。そして、誰もがハッピーに終わるのだ。
ハッピーな気持ちで立ち去るといえば、2523/1の新オーナーも、5970 ティファニーダブルネームを左腕に装着して大喜びな様子だった。時計は身に着けるものとし、金庫には入れていないといっていたが、とても新鮮な感じがした。
そして彼の家族のひとりは、パテックの5004A(そう、SSの5004)と、ティファニーのサインが入った5970Jをダブルリスティングして手に入れていた。
SSの5004? それとも5970 ティファニー?
両方ともいい感じじゃないか?
一方の私は? 彼の奥さんがつけていた、ギュブランのダブルネームが入ったSS製のパテック 1463を選ぼう。勝負事ではないのが幸いして、もしかしたら彼女が勝つかもしれないと思うほど素敵だ。
でもそれは勝負事ではなく、友人や時計の話が対象なのだ。そしてみんなで集まり、海辺にあるマルコで最後の晩餐をすることになった。
照明の助けを借りて、我々のテーブルでは手持ちの時計の撮影をしてみた。
少しだけ食事をした。
そして、一晩中パーティをしてともに過ごした。
それではモナコからおやすみなさい。また次回まで、ciao ragazzi!
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モナコ・レジェンド・オークションの詳細については、公式ウェブサイトをご覧ください。
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