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Editors' Picks ジュネーブ・ウォッチ・デイズでの9つのお気に入りの時計

時計製造の首都から、トップレベルの時計をお届けします。

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ジュネーブ・ウォッチ・デイズはこれまでの大規模な時計トレードショーのように、全身全霊をかけた時計の世界ではなかったものの、主催者や出展ブランドが、時計を実際に見てみたいという欲求が健在であることを示してくれました。参加ブランド数は比較的少なかったものの、それが逆に際立たせる形で参加ブランドは比較的すっきりとしたステージで製品を展示することができました。

 小規模な展示会にもかかわらず多くの時計が展示され、いつものようにお気に入りの時計が見つかりました。久しぶりにスイスで開催された展示会において、日米のHODINKEE編集部員9名が選んだお気に入りの新作をご紹介します。

ローガン・ベイカー:パルミジャーニ・フルリエ トンダ PF スプリットセコンド クロノグラフ

パルミジャーニ・フルリエの誕生年を祝うにはあと1年足りない。もし同社と私が同じ年に生まれていたら、新しいトンダ PF スプリットセコンド クロノグラフを買うために一生借金をしなければならないところだった(Affirm社は6桁の時計の購入者に毎月100ドルでの支払いを認める? そんなことはないだrとう)。パルミジャーニの25周年を記念して発表されたこの新しいラトラパンテ・クロノグラフは、同社の最も複雑な自社製ムーブメントの1つである華麗なハイビート・キャリバーPF361(ローズゴールドのブリッジがたまらない)、なめらかなプラチナ製のケースとブレスレット、ブラスト仕上げと思われるプラチナ製の文字盤を備えている。どこから見ても非常にゴージャスだ(私のお気に入りの副次的なディテールの1つは、文字盤にパルスメーターを配したこと;標準的なタキメーターよりもはるかにいい)。
創業20周年を記念して発表されたスプリットセコンドクロノグラフの精神的後継モデルであるこの時計は、パルミジャーニ・フルリエの新たな未来への出発点でもある。この時計は、新CEOのグイド・テレーニ氏が入社して最初に手がけたコレクションであるトンダ PFコレクションの一部である。誕生日おめでとう、パルミジャーニ。

トンダ PF スプリットセコンド クロノグラフ 1960万2000円(税込み)

ジョン・ビューズ:チャペック アンタークティック・ラトラパンテ

この4、5年のあいだに、独立系、非独立系を問わず、ステンレススティール製のラグジュアリースポーツウォッチを世に送り出した多くのブランドのなかでも、チャペック アンタークティックは、私にとって最高のひと品だ。チャペックと聞いて、一番に思い浮かべる時計となった。オープンワークのスプリットセコンド・ムーブメントを大きく見渡せるこの最新バージョンは、2021年、最も視覚的に面白い時計のリストに入っている。ラトラパンテを作動させると、多くの動作がスタートする。ジュネーブ・ウォッチ・デイズでこのモデルを実際に見て、ボタンを押す機会があればよかったのにと思う。

アンタークティック・ラトラパンテ 660万円(税込・予価)

ジャック・フォースター:ブルガリ オクト ローマ セントラル トゥールビヨン パピヨン

非常に高価で、非常に珍しい複雑時計を好むのは簡単だ。しかし、ある意味で非常に興味深いものではあるものの、デザイン的にも技術的にも成功している時計に出会うのは比較的稀である(ジョージ・ダニエルズは、「ガスメーターのような文字盤にならない複雑時計を作るのは難しい」という有名な言葉を残しているが、これは今でも正しい言葉だ)。 セントラルトゥールビヨンは、最も希少なタイプのコンプリであることは間違いなく、どのようなタイプであってもそれだけで興味深い。しかし、私はダニエル・ロートがセンターセコンド付きのタイム・オンリー・ウォッチのために開発した、古いデザインをベースにしたブルガリの新作は、このアイデアを見事に取り入れていると思う。センタートゥールビヨンとジャンピングアワー表示を組み合わせることにインスピレーションを得ており、経過時間を示すパピヨン表示と組み合わせることで、バランスや調和の面で何かを犠牲にすることなく、機械的な魅力を前面に押し出した構成になった。

オクト ローマ セントラルトゥールビヨン パピヨン 1480万6000円(税込・予価)

ダニー・ミルトン:ブライトリング オートモーティブ トップ  タイム・カプセル・コレクション

微妙なニュアンスはいいが、私は暗黙の了解やプレスリリースを必要とせず、見ただけで時計を理解したいタイプだ。新しいブライトリング トップタイムコレクション。このブランドでは、実際のヴィンテージカーのような3つの時計です。特にブルーダイヤルのシェルビー・コブラは、40mmという小さめのサイズ感もあって、気に入っています。ヴィンテージに関しては、共同ブランドの時計や、ドミノ式ロレックスのような難解なダブルスタンプが大好きです。時計の世界には、私たちが愛してやまないヴィンテージと同じ世界で活動している現代の作品を嘲笑するという、ある種のダブルスタンダードがあります。それは、本が好きだから映画を嫌いになるようなものです。
私は昨年のブライトリング・トップタイム・リミテッド・エディションのファンですが、60年代のミッドセンチュリーの精神を見事に表現したこのモデル群を継続して扱っているのを見て嬉しくなりました。クラシックなコルベットやコブラ、マスタングのハンドルを握ることはすぐにはないので、それらの雰囲気を持った現代的な時計がちょうどいいのです。
ブライトリング・トップタイム・オートモーティブ・カプセル・コレクション、5,500ドル。

コール・ペニントン:ウルベルク UR-100 エレクトラム

私はいつもウルベルクの奇抜なデザインに魅力を感じている。他に類を見ないデザインだし、彼らの時計には常に斬新な創作ストーリーがある。この時計の美しさは、私の好きなSF映画のひとつである『フィフス・エレメント』を思い起こさせる。このデザインは示唆に富むものであり、その効果は絶大だ。私は結局、エジプトで使われていた自然発生的な金合金であるエレクトラムの歴史を調べたり(『フィフス・エレメント』との関連性を説明できるかも)、地球の自転速度を正確に調べたりしたが、これはUR-100 エレクトラムが表現している数字である。私にとって、優れた時計作りとは、完璧な製造を追求することと同様に、頭脳的な探求でもある。この時計は、その両方の要素を兼ね備えているのだ。

ウルベルク UR-100 エレクトラム 6万2000スイスフラン(約745万円)

ジェームズ・ステイシー:ドクサ サブ 600T リミテッドエディション

何を選んだらいいだろう? スプリットセコンド・クロノグラフやトゥールビヨンを楽しむことはできても、オーブリー時代のデザインから影響を受けたチタン製のドクサ? 600Tは、キッチンで冷蔵庫のなかの残り物を探しているようなものだ。幅40mm、600m防水のこのモデルは、80年代を彷彿とさせる角ばったデザインで、視認性、軽量性、そして何よりもカラフルさが特徴。セラミック製のベゼルインサートと付属のラバーストラップには同じブルーが使用されており、ノンデイトのドクサはスイス製の自動巻きムーブメントを採用し、鮮やかなオレンジのアクセントで仕上げられている。
 一般的に、手に取りやすいスポーツウォッチは、ジュネーブ・ウォッチ・デイズのような展示会ではあまり注目されないが(上述のスプリットセコンド・クロノグラフやトゥールビヨンが主役だろう)、このサイズで高いスペックを持つダイバーズは200本限定で、価格は1890スイスフラン(約22万7000円)。60年代後半にインスピレーションを得たドクサの新しい道を切り開いた600Tは、素晴らしいサイズで(同社にしては)適度に大胆で、ジュネーブ・ウォッチ・デイズで発表された新しい時計のなかで最も気に入っている。ただし、ローガンがショーで発表されたある他のチタン製ウォッチと勝利をわたいのであれば別だが。

ドクサ サブ 600T リミテッドエディション 1890スイスフラン(約22万7000円)

和田 将治: ユリス・ナルダン マリーン トルピユール パンダ

今年創業175周年を迎えたユリス・ナルダンは、新たに7モデルをブランドのルーツでもあるマリンクロノメーターからインスピレーションを得たマリーン トルピユールに追加し、コレクションを拡大しました。ラインナップのなかには、トゥールビヨンやムーンフェイズなど複雑機構を搭載したモデルもありますが、個人的にヒットだったのはマリーン トルピユール パンダです。マリンクロノメーターの主要なデザイン要素をそのままに身につけられるサイズで作り上げてきたマリーン トルピユールは、これまで比較的保守的な外観のモデルが多かったように思います。確かにユリス・ナルダンのポートフォリオにフリークコレクションのようなアバンギャルドで挑戦的なモデルがラインナップされていることを考えれば、対照的にマリーン トルピユールを100%トラディショナルに展開していることには納得がいきますが、僕のようにドレッシーな時計をドレスダウンして身につけたい人にとってはこのパンダダイヤルは魅力的に映るのではないでしょうか? 白いステッチの入ったネイビーのストラップがマッチしてTシャツやラフな服装にも似合うのが想像できます。マリンクロノメーターのレイアウトは維持しつつもデザインに少し遊び心を追加した本作のようなモデルが、今後もナルダンから登場するのかとても楽しみです。

佐藤 杏輔: H.モーザー ストリームライナー・パーペチュアルカレンダー

個人的に、2021年はパーペチュアルカレンダーの当たり年だと思っている。新作を俯瞰してみると、今年は特にいくつものブランドがパーペチュアルカレンダーモデルを投入していることがわかる(WATCHES-AND-WONDERS-2021GENEVA-WATCH-DAYS-2021で検索してみて欲しい)。
 パーペチュアルカレンダーは閏年(うるうどし)まで計算し、日付の調整が不要(厳密には100年に一度、400年に一度の例外が生じるタイミングでは調整が必要)な便利なカレンダーウォッチだが、反面、時計を止めてしまい、不用意に調整ボタンでカレンダー修正をしてズレてしまうと、歯車輪列でプログラムされている月、日、曜日、うるう年、月齢と、すべてを考えて設定し直さなければならない。しかも一般的に機構の逆戻しを想定していないため、一層調整は面倒だ。
 そのため、パーペチュアルカレンダーというと、かつては技術力をアピールする目的、あるいは体裁を整える意味合いでコレクションの最上位モデルとしてラインナップされる“お飾りモデル”という印象が強かったが、今年の新作では、機構やスタイルなど各ブランドならではのスタンスでユーザーフレンドリーなパーペチュアルカレンダーを目指している様子が見られた点はとても興味深かった。中でも印象に残っているのは、H.モーザーのストリームライナー・パーペチュアルカレンダーだ。手巻きムーブメントだが、搭載するCal.HMC 812のパワーリザーブは168時間、約1週間と長く、週に1度フルで巻き上げてやれば止めてしまう心配も少ない。また、仮に止めてしまっても日付の送りも戻しも可能なため、一般的なパーペチュアルカレンダーよりも極めて扱いやすいだろう。ミニマルなデザインや表示もさることながら、こうした実用に配慮している点はこの時計の極めて大きな魅力ではないかと思っている。

H.モーザー ストリームライナー・パーペチュアルカレンダー

関口 優:ジェラルド ジェンタ アリーナ レトログラード スマイル ミッキーマウス ディズニー

ジュネーブ・ウォッチ・デイズは2020年に発足したトレードショーで、時計の首都・聖地ともされる都市での開催であることから、その格調にふさわしい時計や新しい素材、機構を携えた時計たちが発表される雰囲気に満ちている。今回、そのなかで異彩を放っていたのがこのミッキーだ。抜群にかわいい。毎年毎年、文字盤のカラーについてや時計が大きくなったの小さくなったのと騒ぐ僕らとしては、眉間にシワをよせて観察し『素晴らしい仕上げですね。でもあと1mmサイズが小さければ、、、』ともっともらしく語る必要がない点で、この時計はただ素晴らしい。
 時計は単なる趣味でありながら、知識の多寡や目利き的な観点ばかりが注目を集める傾向がある(男ばかりの世界はそうなりがちだ)が、このモデルにおいては、ミッキーがかわいいかかわいくないか、動く手で時刻を示すのが好みかそうでないかを見て、楽しめばよいのだ。時計が動くのを見てワクワクしたり、目をやるだけで高揚感が生まれる、そんな根源的な楽しさを思い出させる1本だ。ただ、僕はドナルドが好きだけれど。

ジェラルド ジェンタ アリーナ レトログラード スマイル ミッキーマウス ディズニー 1万6500ユーロ(日本円未定)※EC限定150本

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