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Watching Movies ポール・ニューマン、『ハスラー 2』で異なるロレックスを着用

彼はデイトジャストもこの上なくクールに見せている。今週の時計関連映画だ。

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1986年、マーティン・スコセッシ監督は、ポール・ニューマンから1通の手紙を受け取った。このアイコニックな名優は、『ミーン・ストリート』『タクシードライバー』『レイジング・ブル』を監督したスコセッシと仕事をすることに興味を示していた。しかし、この時期のスコセッシ監督は、必ずしもカルト的なヒット作を生んでいたわけではなく、過渡期にあった。自分が本当に作りたい映画(例えば、その4年後に封切られることになる『グッドフェローズ』のような)を撮るために、スタジオが気に入るようなハリウッドの大ヒット作を必要としていた。

 スコセッシ監督は根っからの映画好きだ。そのため、ニューマンが伝説的な映画『ハスラー』(1961年)の続編の監督について、ファスト・エディー・フェルソン役の再演とともに提案してきたとき、スコセッシが興味を示したのは当然だった。その映画は後に『ハスラー 2』(1986年)となる。たしかに9ボールビリヤードの映画だが、実際には初期の狂気じみたトム・クルーズと、円熟期のストイックな(しかしクールな)ポール・ニューマンという、まさに両者のピーク時を切り取ったタイムカプセルのような作品だ。ニューマンといえば自分の名前を冠したデイトナが有名だが、この映画ではそれを控えて大衆のためのロレックスであるデイトジャストを身につけている。

『ハスラー 2』で、プールホールの風景を眺めるヴィンセント・ローリア(トム・クルーズ)とデイトジャストをつけたエディ・フェルソン(ポール・ニューマン)。スクリーンショット; Touchtone Pictures/ The Walt Disney Company


注目する理由

 先週の日曜日に全米オープンプール選手権が終わり、10月にはAPA世界プール選手権が控えている。この時期はまさにプール(注:米国ではビリヤードでポケットを用いるゲームをpoolと称することがある)の季節だが、泳ぐ方のプールではない。『ハスラー 2』は間違いなくプール=ビリヤードを題材にした最高の映画であり、『ハスラー』も同じ世界を描いていたことから、一つのシリーズなのだと言える(マーベルよ、用心だ)。

『ハスラー 2』のファスト・エディ・フェルソン(ニューマン)は、ビリヤードのキューを手に、腕元にはロレックスのデイトジャストを装着。スクリーンショット; Touchtone Pictures/ The Walt Disney Company

 1986年、ファスト・エディ(ポール・ニューマン)は全盛期を過ぎ、ビリヤード場でバーテンダーと軽口をたたきあったり、ハスラー達(ジョン・タトゥーロがそのうちの一人を演じている)のゲームに現金をかけたりして過ごしていた。しかし、そこに新たなやり手が参戦する。トム・クルーズ演じるヴィンセント・ローリアはアーケードゲームが大好きで、そのキャラクターとグリースで固めた髪型は、ちょっとブルース・リーっぽくもあるが、やはり誰よりトム・クルーズにぴったりの役柄だ。フェルソンはこの若き天才に何かを感じ、彼の面倒を見ることにする。映画は、80年代の音楽とタバコの煙が充満したビリヤードバーの夢の競演であり、見るたびにそのよさがわかる作品だ。

ローリア(クルーズ)、デイトジャストをつけたフェルソン(ニューマン)が『ハスラー 2』で9つのボールを一気にポケットに入れようとしている。

スクリーンショット; Touchtone Pictures/ The Walt Disney Company

 時計の観点から見たこの映画の素晴らしさは、キャストやスタッフがどれだけアイコニックな時計と深くかかわっているかということだ。ニューマンは、あちこちで("here, there, and everywhere"は、ビートルズの過小評価された曲名と同じだ)言及されているように、ロレックスのデイトナの代名詞となっている。マーティン・スコセッシ監督は、現在ロレックスのブランド・アンバサダーを務めており、"プレジデント "として知られる象徴的なデイデイトをつけているのをよく見る。トム・クルーズは? 彼は、「宇宙で映画を撮り」「飛行機の翼にぶら下がり」「オプラ(注:米国のトークショー番組)のソファに飛び乗る」などの「スタントをすべて自分でこなす」ということのアンバサダーだ。それでも過去に1つや2つ身につけていた時計があったと知られている(『ザ・エージェント』でのタグ・ホイヤーとか)。

 この映画でポール・ニューマンはブンドストラップやおなじみのデイトナから脱却し、コンサバティブな36mmのロレックス デイトジャスト(Ref.16200と思われる)をジュビリーブレスレットで装着している。ニューマンの時計はアイボリーに近いオフホワイトの文字盤にスムースベゼルを備える。つまり、この時計はすべてスティール製ということだ(エディ・フェルソンにゴールドは適さない。ビリヤード台の上ではすぐ傷がついてしまう)。映画のほぼ全編にわたってニューマンの腕にこの時計があるのが確認でき、手や手首を撮影したショットが多いことからも納得できる。結局、これはビリヤード映画ということだ。

『ハスラー 2』でニューマンが着用しているものと同型のロレックス デイトジャスト16200。Photo, Phillips

 『ハスラー』と『ハスラー 2』のあいだには24年の隔たりがある。オリジナルの映画では、フェルソンはデイトジャストを着用していない。つまり、フェルソンがどうやってこの象徴的な時計を、ビリヤード台に置かれた手首に装着するようになったかは、我々の想像に任せられている。私は、彼が大きなトーナメントで勝利を収めたのちに購入したと考えている。我々は皆、1つの素晴らしい時計を必要としており、それが彼にとってのこの時計なのだ。

 参考にするにはあまりにも多くのよい時計シーンがある。例えば、フェルソンがおもちゃ屋で働いているローリアに声をかけ、ナインボール大会に参加するよう説得するシーンもそのひとつだ。店内の倉庫にある仮設の休憩室に座ったフェルソンは、プレスされたグレーのスーツ、ワインレッドのタートルネック、アビエイターサングラスを身につけ、シブい口髭をはやし......手首にはデイトジャストが輝いているのだ。

おもちゃ屋の休憩室でローリア(クルーズ)と話しているフェルソン(ニューマン)。デイトジャストでスタイリッシュな装いを仕上げている。スクリーンショット; Touchtoney Pictures/ The Walt Disney Company

 この映画は時を経ても色あせていないが、時計はある種のテイストメーカーとなった。時計界のレジェンドであるオーレル・バックス氏は少し前の記事で、この映画をきっかけにこのデイトジャストに惚れ込み、「エディ・フェルソン」と命名したことを紹介している。ポール・ニューマンのスタイル・アイコンとしての影響力をよく表した話だ。ニューマンは、彼の名前を冠したレーシング・クロノグラフ以上の存在であり、今でもそうあり続けている。

『ハスラー 2』でニューマンが着用しているものと同型のロレックス デイトジャスト16200。Photo, Phillips


見るべきシーン

 最高の時計映画には、冒頭のシーンで時計が登場するものだ。スコセッシのナレーションによるクレジットが消えた直後、プールホールのバーに座ったフェルソンが、女性バーテンダーと妙に官能的なウイスキーのテイスティングをしているのが見える。ビリヤードを辞めたあと、彼は酒の卸売りをするようになったかのようだ。

 二人は、フェルソンがかつて彼女に作ったオムレツの種類について口論を始め、やがてそれはサワークリームとキャビアのオムレツだったと判明する(味については食べてみないと判断できないと思う)。この奇妙な議論のあいだ、フェルソンの腕はバーカウンターに置かれており [00:04:38]、ジュビリーブレスレットのデイトジャストがはっきりと見える。この時計、襟の開いたシャツ、ダークグレーのスーツで、我々は映画の冒頭からエディ・フェルソンという人物をよく理解することができる。

スクリーンショット;Touchtone Pictures/ The Walt Disney Company

 このシーンの直後、バーのスピーカーからフィル・コリンズの「ワン・モア・ナイト」が流れる。フェルソンは背後のビリヤード台でボールを打つ音を聞く。驚いたフェルソンは、エネルギーに溢れたローリアがプール台を支配していることを知る。数分間プレーを眺めたあと、フェルソンはローリアと彼のガールフレンドを食事に誘う。このディナーで、フェルソンはローリアにフルタイムのプレイヤーになること、そして自分の弟子になることを勧め始める。フェルソンはローリアのなかに、かつての自分のような才能を見出したのだ。

 彼はローリアに、ビリヤードの学習は人としての行動を学ぶことと似ていると語る。クルーズ演じるローリアは、この会話のあいだ、フェルソンの時計を手にしている。そしてフェルソンは、バーにいる女性を2分以内に連れ出すことができるかどうか、ディナー代を賭けようと言う。彼はちょっとした策を弄して女性を承諾させたあと、テーブルに戻って勝利を宣言する。このとき、ローリアの手のなかの時計がよく見える。フェルソンは言う。「人間らしい行動だよ。君は時計を観察していたが、私は君を観察した。君のおごりだよ。」そして時計を取り戻すと、タクシー代としてテーブルに現金を置いて去っていった。これ以上ポール・ニューマンらしいシーンはないだろう。

スクリーンショット; Touchtone Pictures/ The Walt Disney Company

『ハスラー 2』(出演:ポール・ニューマン、トム・クルーズ)監督:マーティン・スコセッシ、小道具:ジェフリー・R・レンフロウ。iTunesやAmazonでレンタルできる。

Lead illustration, Andy Gottschalk

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現代のロレックス デイトジャストの詳細については、Rolex.comをご覧ください。