Introducing タグ・ホイヤー　2021年新作カレラ3針モデルとライアン・ゴズリングがロサンゼルスで共演（編集部撮り下ろし）

　ゴズリングとタグ・ホイヤーの関係は、単なる俳優がスイス時計のメジャーブランドの顔になっただけだと思われるかもしれないが、時計そのものを吟味する前に、ちょっとした説明が必要だ。

　若きフレデリック・アルノー氏がタグ・ホイヤーの新しいCEOに就任したのは、ちょうど昨年の夏（正確には2020年7月1日）のこと。その30日後、タグ・ホイヤーのチームはゴズリングとパートナーシップの可能性について話し合いをスタートさせた。有名人が物を売ることで地域経済が成り立っているハリウッドでは珍しく、『ラ・ラ・ランド』のスターはこれまで一度もブランドと関わりを持ったことがなかった。洋服のブランドでも、ウォッカの蒸留所でもだ。

　この瞬間を記念して、ゴズリングはイエローベルベットのスーツにTシャツを着て、手首には光り輝くタグ・ホイヤーをつけてパーティに登場した。最初のキャンペーンで、ゴズリングはカレラの3針モデルを着用している。4つのバリエーションがあり、タグ・ホイヤー カレラ デイデイト 41mm、カレラ ツインタイム デイト 41mm、カレラ デイト 39mm、カレラ デイト 29mmの合計13本が用意される。

　カレラは、俳優としてのゴズリングが深い個性を持っていることと、これらの時計が超ストレートであることから、眉唾物のセレクトとなった。ゴズリングはステージ上で、「僕は基本的にシンプルなデザインを好むんだ」と語り、「僕らは限られた予算に育てられたで、流行を追いかける必要がなく時代に左右されないものを選ぶようになった。それが定着したのだと思う」と、自身の時計について話した。

　カレラは「プロのドライバーとスポーツカー愛好家のためにデザインされた象徴的なスポーツウォッチ」と謳っていますが、それぞれのバリエーションは簡略化されている。これらの時計は、コレクション全体で3つのコンプリケーションを備える。デイデイト、日付表示のみ、デュアルタイム機能である。アウターベゼルもタキメーターもない、シンプルな時計。ゴズリングの映画『ドライヴ』や『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ』で車やバイクが登場することを考えると、モータースポーツとのつながりも腑に落ちる。

　41mmのカレラ デイデイトは、このコレクションで最も親しみやすいモデルだ。日常生活（またはデート）に必要なものがすべて揃っており、41mmのケースサイズはデイデイトの窓がきれいに収まり、目立ちすぎない。この時計に限らず、コレクションのどの時計も興味深いのは、同社のよく知られた時計を思いやりのもとでシンプルにリニューアルしたということだ。

　カレラ デイトは、この同じデザイン思想を少し縮小し、さらに曜日表示をなくし、日付を6時位置に移動させている。発売されたすべての時計のなかで、このモデルが最も腕にしっくりくる。私にとっては、39mmというサイズがちょうどよく、日付表示の位置もシンプルなダイヤルレイアウトをキープしている。ブルー文字盤はクラシックな感じがするが、ローズゴールドの針とマーカーを配したブラック文字盤のモデルが際立っている。ダイヤルには放射状のパターンがあり、マーカーの光沢と相まって視覚的なパンチが効いている。これは、ハリソン・フォードが『ブレードランナー2049』の撮影現場でゴズリングを誤って殴ったときのようなものだ。

　最もスポーティなモデルは、デイデイトと同じ41mmケースサイズの新型カレラ ツインタイムだ。実際に手にしてみると、この時計は本当によくできている。24時間表示とデュアルタイム針の赤のポップなバイカラーは、ヴィンテージ（数字のスタイル）とモダン（文字盤デザインとケース形状）の境界線を見事に表現している。残念ながら、私の手首ではデザインの美しさとケースサイズの組み合わせにより、時計につけられている感じになってしまった。大柄な人にはこの時計がオススメだ。

　また、39mmと同じデザインで、それより10mm小さい29mmのカレラ デイトもラインナップされる。女性や細身の男性、あるいは小さい時計が好きで身につけている人にオススメだ。また、ダイヤモンドマーカーの付いたバリエーションもある。

　これらのモデルには、タグ・ホイヤーが誇る2つのムーブメント、Cal.5とCal.7が搭載されており、どちらもケースバックから見ることができる。レザーストラップとSSブレスレットの仕様があり、文字盤はブルー、ブラック（ローズゴールドのアクセント付き）、シルバーの3種類から選択可能だ。

　ゴズリングに話を戻すと、彼がこのような時計に関わっているのは興味深いことだ。私たちは、彼が小さな（例えば34mmの小さな）ヴィンテージモデルを身につけることに慣れているからである。今回のアンバサダーの発表を受けて、今日、時計ブランドを代表する有名人の役割について考えてみた。パーティの席でアルノー氏に話を聞いてみたところ、「ブランドとは、人と同じようなものだと思います」と話してくれた。「ブランドには独自の属性や個性があり、それを支持し、具現化してくれる一人の人間がブランドを代表することは素晴らしいことです。私たちにとって重要だったのは、（ライアンが）もたらすことのできる創造性です。彼のイメージを活用するだけではなく、一緒に何かを作り上げることが可能だということです」と述べた。

　ゴズリングをタグ・ホイヤーにおける現代のスティーブ・マックイーン（おそらく最も有名なホイヤーの着用者）と見なさないわけにはいかない。それに対してアルノーは、"つながりはよく知っているが、正直言って、彼の映画はあまり見たことがない "と言った。私は彼に、映画はとてもいいものだから、ぜひ見てみてくださいと伝えた。

　親愛なる読者の皆様は、新しいカレラのキャンペーンをご覧になって、どう思われるだろうか？　世界中のどんな時計ブランドにも推薦できるであろうゴズリングが、タグ・ホイヤーのために何を成すのか、考えてみる価値はあるだろう。昨晩、アルノー氏は、カレラのキャンペーンは始まりに過ぎないと発言した。ゴズリングがそのヴィンテージ志向のテイストを、より幅広いカレラのラインに取り入れてくれる日が来るかもしれない。タグ・ホイヤー社の未来に34mmのモデルが登場するかもしれない？　夢は膨らむ。ゴズリングは、すでに俳優としての地位を確立しており、今後彼がタグ・ホイヤーで行うことは、自身を時計の殿堂に押し上げるかもしれないのだ。

その他、詳細はタグ・ホイヤー公式サイトへ。

All photos, Kasia Milton